次に向かったのは、2011年10月にオープンした
道の駅縄文ロマン南かやべ です。
渡島半島(おしまはんとう)南東部を内浦湾(噴火湾)に沿って更に南下すると、途中から国道278号バイパスに分岐します。
海岸線を離れた丘陵地帯をしばらく走ると、そのバイパス沿いに道の駅はありました。
ここは2011年10月1日にオープンした新しい道の駅ですから、勿論私も初めてです。
コンクリート壁の横に細長い建物なのですが、これを上空から見るとこのようになります。
(パンフレットより写真借用)
ここ、“南茅部地区” は現在は函館市に合併していますが、昭和40年代には日本で最初の昆布養殖に成功するなど、豊かな海の恵みと共に、道内屈指の漁業基地として発展してきました。
更にもう一つの特徴は、縄文時代早期から晩期にかけて約7000年もの間、綿々と縄文文化が栄えてきた地域だということです。
この道の駅の配置図でお分かりのように、ここは 「函館市縄文文化交流センター」 という博物館と一体化しているのです。
建物の右手の方にお店らしきものが見えたので行ってみると、そこが道の駅の入り口になっていました。
その少し左手にもう一つ、博物館の入り口もありますが、中で繋がっています。
売店には縄文グッツなども売っていましたが、あまり大きいお店ではありません。
通路を辿ってゆくと、博物館の受付があります。
手前にある休憩所から外を見て気が付いたのですが、ここは2階部分であり、この下に1階があるのです。
折角ここまで来たので博物館を見学してゆくことにしました。
入場料は300円です。
「中で写真の撮影をしても構いませんか?」 と受付の女性に尋ねると、「フラッシュを使わなければ大丈夫ですよ」 とのことで、一安心!
受付のある2階部分は事務室や体験学習室などがあり、主な展示は階段を下りた1階にありました。
展示室にも説明の女性がおられたので、念の為に撮影の許可を頂きました。
ここには遺跡から発掘された様々な生活道具などが展示されていました。
私の認識では、縄文時代というのはかなり原始的な生活だと思っていたのですが、それらの道具の精巧な造りに、驚くばかりでした。
これは、実際に発掘された地層を展示したものです。
この地域の遺跡は、他の縄文遺跡に較べて住居の規模が極めて大きいことと、集落の密集が非常に高いことが特徴です。
例えば一般的な竪穴式住居跡は。深さが0.5m、長さが4~5mほどですが、ここは深さ2.4m、長さが8~11mもあります。
住居の規模から、かなり安定した縄文生活が想像できるのだそうです。
女性に案内されて更に奥の部屋に進むと、そこにあったのがこれです。
これがなんと “国宝” である、“中空土偶” です。
これは著保内野遺跡から出土された土偶で、高さは41.5cm、内部は空洞で頭部から足先まで全身が薄く精巧にできていて、優れた文様が刻まれています。
縄文時代後期の約3500年ほど前の墓から出土したもので、単なる生活道具でなく、精神面でもかなり進んでいたことを示す遺物です。
暗い部屋で、ガラスケース越しに撮影したのであんまり鮮明ではありません。
入場券の写真を掲載しておきましょう。
そして、国宝であるという証明がこちらです。
それにしても、“国宝” の現物が展示してある道の駅というのは、全国でもここだけでしょうね。
数万年に及ぶ氷河期が終わって地球の気温が上昇し、世界で様々な文明が生まれては消えてゆきましたが、1万年にも及ぶ日本の縄文文化は、世界的にも珍しいのだそうです。
南茅部地区でこれまでに確認された遺跡は91カ所、延べ面積は160万平方メートル、出土した遺物は400万点を超えています。
この内、18カ所の縄文遺跡が現在ユネスコの世界遺産暫定リストに登載されており、函館市では平成27年度の本登録を目指しているのだそうです。