死んだ人を偲んで涙を流すという行為に、有効期限が、あるのだろうか?

 

"BEST IF USED BEFORE MM/DD/YYYY"

(○○年○○月○○日までにご利用ください)

 

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死んでから既に7年と1ヶ月。

 

私は今だに彼を偲んで泣く。さすがにもう、仏壇(無いけどね。物の例え。)の前に座り込んで大声をあげて泣き叫びはしない。そんな大袈裟なことではなく、日々の暮らしの中で何かの拍子に、ふと彼の思い出が色鮮やかに脳裏をかすめた時に感情が溢れて涙も溢れる。

 

 

がしかし。

 

 

他人の前、あ、この場合の他人は親や姉、甥っ子や姪っ子も含む。それらの他人の前では可能な限り、グッとこらえて泣かないようにしている。理由?

 

 

ウザって、思われたくないから。

 

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ところが先日、こんなことがあって、結構な心的ダメージを受けた。

 

 

心的ダメージ砲弾を売った人は、姉だった。

 

 

  お嬢さん育ち

  離婚歴

  3人の子持ち

  実家に戻り子供と母と同居

  実家の商売をついでいる

  経済的苦労の経験なし

+ 世間知らずな部分多少あり

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  姉という人

 

 

上のつみ算、パソコンやスマホ画面で上手く表示されているかな?

 

その日、姉と私は一般論として病院の処置について話していた。私が、夫の最期の瞬間に医療機関がしでかした最悪の「ありえない」出来事を、例をあげるつもりで話し始めた時だった。泣きはしないが、こめかみの部分がキューと寄って行くのを感じだ。泣きはしない。我慢できるから。平然と話し続けた。

 

その時だった。姉が結構大きな声でこう叫んだ。

 

 

「泣かんといてや!いちいち面倒臭いし!」

 

 

わかってるよ、と一言言って本題を話し続けた私だが、心底では、砲弾で体を撃ち抜かれたぐらいの衝撃を浴びていた。胃からみぞおち辺りにかけて、砲弾が貫通した大きな穴が空いているような錯覚がしたほどだった。

 

 

泣くな、だと?

いちいち、だと?

面倒臭い、だと?

 

 

(沈黙)

 

 

彼は、殺されたんだよ。

無残にも一瞬で。

その一瞬の直後、彼の足元に駆け寄ろうとした私は、関係者二人から背後から取り押さえられて、廊下の突き当たりまで引きずられていき、彼の姿すら見えなくなったしまったんだよ。

そうやって最愛の人が視界から消えていったのが最期だったんだよ。

 

 

あれから、まだ、7年。

 

 

ハリウッド映画スターの休日みたいなファッションで、手入れの行き届いた長い髪で、呑気そうに花壇にお花を植えて、立ち寄るご近所さんたちの相手してケラケラと脳天気そうに笑っているが、

 

私は「準ひきこもり」「自称うつ」「睡眠障害」「摂食障害予備軍」だ。

 

 

泣くな、だと?

いちいち、だと?

面倒臭い、だと?

 

 

その時の姉の表情、眉間にしわを寄せて、本当に嫌そうな顔が脳裏に焼き付いて離れない。いちいち面倒臭いのは、その顔の方だろうが。

 

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 死亡日から、

 

1ヶ月以内は公共の場で泣いてもいいですよー。

 

1年過ぎたら死んだ人の話すらしちゃいけませんよー。

 

7年過ぎたら家で一人でこっそり泣くのも精神異常ですよー。

 

なんせ、涙の有効期限はとっくの昔に切れていますからねー。

 

 

 

そんな感じだろうか?世間の人にとっての「他人の死」は。

 

私はきっと、一生泣くだろう。泣き続けるだろう。

私の人生の長さが、私の涙の有効期限だ。