あなたは貧乏ゆすりをしますか?江戸時代から使われているこの言葉は、貧乏な人が寒さにふるえて思わず足を揺する様から名付けられたようです。

他人がしているのを見るのは、あまり気持ちのいいものではありません。何か急かされているような気持ちになるものです。でも、医学界では、ふくらはぎ、ひいては全身の血行促進に効果があると、概ね好意的な見解が示されています。英語ではLeg shaking。見てそのまんまのネーミングで、貧乏なニュアンスは全くありません。

なぜこんなお話をしているのかといいますと、実は僕には中学生、いやもしかすると小学校の頃から、右足を高速でゆらす癖があるからです。不思議なことに左足ではそんなに早くは揺らせません。僕の近しい先生は足首だけ揺すっていますが僕には不可能です。人によって「貧乏揺すり中枢」は異なっているようです。

いままで、これは恥ずべき癖であると思って来ました。しかし、たくさんの読影レポートを書くとき、この左足のシェイクは極めて有効です。

ドイツの童話「モモ」には、せかせか生きることの弊害が書かれていて、一つ一つ目の前のことに集中すれば、いつの間にか長い道のりも達成できると説かれています。これはマインドフルネスでも説かれていることで、確かにそれも正しい。ですが、一つの症例に集中し、それが終わると、「これから読まなければならない画像リスト」が見えてしまうと、段々息苦しくなり、心拍も上がって、時に気分が真っ暗になります。そうなる前にすることは、実は、強強打破を3本飲んだりアイスクリームを食べたり、身体に負荷を掛けることばかりでした。しかも大して効果は無い。

ところが、本来は自然に出るものであるところの「貧乏ゆすり」を、敢えてわざとするのです。そうすると心の半分くらいは足に持って行かれます。残りの半分では、余計なことを考えられないらしく、仕事に集中できるのです。貧乏ゆすりを自然に出るより前に、わざとやる。この効用は素晴らしいものがあります。

自分で言うのも不遜かもしれませんが、僕の書くレポートは、詳細です。10件くらいならあまりストレスでもないでしょうが、30件40件となると、貧乏ゆすりが必要になってきます。将来関節炎になったりしないように祈りながら、今日も僕は足を揺すっています。