プラスティック・プラグマティック | 想像で遊び創造で遊ぶ

プラスティック・プラグマティック

ポール・オースターの本、「ティンブクトゥ」を読んだ。



人語が理解できる犬と、ちょっと狂った死にかけの放浪詩人の話だ。





その本を読み終えて外に出たとき、

ただ、車で道を走っていただけなのだけれど、

何か違和感を感じた。



この違和感は単純に、

長くいた本の世界から、

今生きている世界に戻ってきたという認識のズレだとおもうけれども、

思考がぐるぐると回転しはじめた。







この街からは異物が取り除かれ、

緑はコンクリートで覆われ、

おかしな人は病院に収容され、

自由に歩いている犬は収監されころされる。



人の判断基準は、

何を着ているか、

何を食べているか、

どんな家に住んでいるか、

で決まる。





それで、他人の不幸をテレビで見て

そうならないようにより良い家、より良い車を得ようとする。





他人が基準なので、自分は絶対的ではなく

相対的になる。





まわりの汚い、忌むべき部分はすべてプラスティックでおおわれている。

自分の周りだけは純粋無垢なディズニーランドであって欲しいと願う。

その近所でかわいい動物が大量焼却されていて、

違和感のある人々は薬漬けにされている。







昔、町にいた戦争でおかしくなったおっちゃんはどこへ行った?

いまにもこわれそうな家に住んでたひと達は?

トトロが出てきそうな森は?

なにもない静かな河原は?

水たまりにいたアメンボは?







うーん、世界は完全に狂ってる。





 
ポール・オースター, 柴田 元幸
ティンブクトゥ