ジョン・コリンズ
トンガを旅したとき、僕の精神状態はどん底だった。
ひとり旅だったから、できるだけ孤独な時間を過ごさないように色々な人としゃべっていた。
ひとりになった時には、強烈な苦しみが襲ってくるからだ。
トンガの離島にある小さなゲストハウスに泊まった時、白人のジイサンがしゃべりかけてきた。
名前はジョン。
そのゲストハウスに併設されている小さなカフェをやっている。
好奇心旺盛な目で僕をのぞき、いろいろ聞いてくる。
お前はなぜトンガを旅してるのか?
大学の論文は何を書いたのか?
将来の夢は?
などなど。
そんなジョンと僕はすぐに打ち解けて、いろいろな話をするようになった。
ジョンは僕の精神状態をわかっているらしく、なぐさめの言葉なんてものはかけてこない。
そのかわりに食材を買いに一緒にマーケットにいったり、
ワキガのおばあさんで元映画女優(アメリカ人)の家に遊びにいったり、
ジャッキー・チェンの映画を見たりした。
特別にただでカフェのご飯も食べさせてくれたりもした。
ジョンはものをはっきり言うので、嫌っている人もいた。
マッチョなオージーはぼろくそに言われていたし、
ビッチのトンガ人女がいて、そいつのことも、「あいつはクソだ」なんて言ってた。
そんなジョンにぼろぼろのエンピツで紙の切れ端に彼に肖像画を描いてプレゼントした。
「こんないい絵は見たことない!」
なんて言って、喜んでくれた。
それがきっかけになって僕は絵を描きはじめたのかもしれない。
ジョンはせきがひどかったので、もう死んでるかもしれないけどもう一度会いたいなあ。
遠い南の島。
