『ドラゴンクエストIX 星空の守り人』 | 現代メディアよろず研究所

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ドラゴンクエストIX 星空の守り人
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★★★★★★★☆☆☆


賛否両論のあるドラクエナンバリングタイトル。


ドラクエナンバリングタイトル最新作はDSでという報と、草なぎ君がいかにも楽しそうにやってたテストプレイの風景で、多くの人がWi-Fi対応の半ネットゲームになると思っていたはずだ。


ところがフタを開けてみると、ただのローカル通信プレイ。
しかも、なんか新しいアイデアでもあるのかと思っていたら、普通の協力プレイ。
戦闘システムもリアルタイムアクションになると言っておいて従来の非リアルタイムターン制。



DSで発売することの意味は?



最新作をDSで出すこと自体は別に悪いこととは思わない。

『クロノトリガー』含め、過去のドラクエ作品のリメイクもさほどのチープさを感じることなく十分楽しめたからだ。



しかし、今回は狙いが見え見えでイヤだ。


DSは据え置き型マシンよりも圧倒的に普及している上に、開発費も安く上げられる。


大きな利幅X大きな販売本数=ウハウハ。


DSだから通信対応にしましょう。どうせならリアルタイムにするか。



いやいや、節操ないって。


わざわざ友達とやらなくていい。


ドラクエの秀逸な世界観、ストーリー、シナリオ、ゲームバランス。これはあくまで一人でやってこそ楽しめるものであって、わざわざ友達とやってこれらの長所を崩す必要などない。


やるなら外伝的タイトルでやってくれ。



また、今回はPC(プレイヤーキャラクタ)のデザインを自由に決めることができる上に、ほとんどの装備にオリジナルのグラフィックが用意されている。


いやいや、これも据え置き型でやってこそナンボでしょう。DSの画面は小さすぎますって。



さてさて、文句を言いながらもワイヤレス通信プレイ、やってみました。


これ、ネトゲファンならこう思ったはずだ。


「えっと、これ、『ディプスファンタジア』ですよね?」


『ディプスファンタジア』とは、スクエアと合併する前のエニックスが発売していたドラクエ型のオンラインゲームである。
ネトゲには珍しいドラクエタイプの戦闘システムと美しいグラフィックスで話題を呼んだが、なんせシステムがチープで飽きられるのも早かった。

パーティに参加すれば移動は先頭がやってくれ、戦闘になるとメインで戦うやつにパワーを送る「チェイン」(ドラクエ9で言う「おうえん」みたいなもの)をするだけ。


やはりドラクエ型はネトゲとしては無理があるのだ。


ある意味、ちょっとの時間だけ楽しむドラクエ9のやり方はアリといえばアリではある。



DSでドラクエ……で、モンスターは?


ドラクエと言えばVとVIにおいてはモンスターを仲間にして成長させたり転職させたりすることができた。


これはかなりよくできたシステムで、ストーリーが印象的なVはもちろん、話をよく憶えてないVIでさえ、システムに関しては面白いと言う記憶を強く持っているファンも多いと思う。



で、過去にこういう大きな遺産を残しているのに、なぜ初めての携帯機で、初めての通信プレイが可能になったDSでこれをやらなかったのか。


「それをやりたいなら『ドラクエモンスターズ』でいいでしょう」ということなのかもしれないが、だからってわざわざ世界観を壊してまで中途半端な『ディプスファンタジア』をやる意味はあるのだろうか。



人間の蒐集欲とそれによる間接的な自己顕示欲は相当なものがある。
ポケモン、ドラクエモンスターズ、モンスターハンター、特にこういった作品は人間のそういう欲求に支えられて大ヒットした典型だろう。



協力通信プレイという形は残しつつ、それを「転職できるモンスター」でやればもっと面白かったんじゃないか?


例えば、「モンスターお散歩システム」とかって名称にして、主人公キャラは参加できないことにして、宝の地図だけを探索できるシステム。


気に入ったモンスターがいれば、こちらのモンスター、あるいはレアアイテムとトレードなんかもできたりして。


そんな風にして、いかにもDSらしく、いかにもドラクエらしく、それでいてドラクエモンスターズとは区別されるシステムというのは作れるように思うのだが…。


中途半端な転職システム


結論から言うと、IIIとVIを足して3で割ったようなシステム。


オンタイムの世代なら、IIIで「転職ができるようになる」「魔法が使える戦士が作れる」といったフレーズに心躍らせて発売を待ったことを憶えているだろうと思う。

特に、「魔法が使える戦士」というのは、物凄くテンションをあげてくれたものだ。


だがIXはそれはできない。


転職した場合、継承されるのは「特技」だけであって、「呪文」は一切継承されなくなる。


だから、杖のスキルを100まで上げてどの職業でも杖装備にしたところで、戦士に転職してしまうと、「杖が装備できる戦士」というほとんど意味のない特性だけが残ってしまうのだ。

これがIIIであれば、「そこそこ強い魔法を使える戦士」になるのだが。


こえは、あえてよく言えば「勢いだけの転職を不可能にし、やや戦略的に考えていかなければならない」ということだが、それ以上に選択肢が狭められている気がする。


それもこれも、「特技」の中に「呪文」が含まれていないせいであり、例えば「しんこう心」スキルの中に「誰でもホイミ」みたいな感じでいくつかの呪文に限定して継承できるようになっていれば格段に面白くなっていたはずである。

ザオリクは僧侶と賢者専用呪文だけど、ザオラルは継承可能、みたいなね。


コギャル妖精は?


いらないと思う。

ドラクエの世界で、現実の時代を感じさせるファクターは無用の長物だ。


ドラクエの世界観は中世ヨーロッパをベースにしていながら、現実の世界風の現代的かつ日本人的な情緒を感じさせる独特なものだが、といってそこにはモロに現実的なものはなかった。コギャル妖精はそのルールを犯したという感じ。

調子に乗りすぎたか。



ってことでまだクリアしてないんですが、また何か書きたくなったら書きます。