山本周五郎「五辨の椿」感想 | リタイアライフのつぶやき

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65才でサラリーマン生活からリタイア。さて、これから何をしていこうか。ブログでつぶやきながら日常生活を報告。参考になれば幸いです。

前に、山本周五郎の「日本婦道記」を読んで感動したことを思い出して何かいい本がないか物色していたら「五辨の椿」が面白そうでした。Amazon kindleで購入しました。

簡単な内容です。(wikipediaより)

「おしのの最愛の父・喜兵衛が死んだ。婿に入って以来、遊びもせず身を粉にして働いた身体は労咳に蝕まれていた。一方、母・おそのは夫を避けて寮に移り住み、遊興に耽り、男を連れ込んで、不行跡を続けていた。おそのが夫の死を知ったのは、おしのと見舞いに行く約束を破って、役者と行った箱根から帰ってきてからだった。おそのは夫の遺骸を前にしても悲しまないばかりか、死人の側にいるのを嫌がる。おしのに、父への不人情をなじられると、夫を悪く言い、この人は本当の父ではないから悲しむことはないと言い放った。呆然としたおしのは一人、部屋にこもり、己を恥じない母を汚れていると思った。母の血が流れる自分の身体も汚れていると身震いした。そして実の子でない自分への父の愛情を思った時、女ばかりか人間ぜんぶを辱める罪を犯した母と母と一緒に父を苦しめた男たちに、罪を償わしてやると誓う。寮には、父が眠り、母と役者が酒を飲み抱き合って眠っている。おしのは、そこへ火を放ち、去っていった。一年後、おりうという女が一人の男を殺した。男の傍らに一片の花びらが落ちていた。それは、喜兵衛が子どものころ悲しいことがあった時に見てすごしたと、おしのに語った椿の花びらだった…。」

簡単に言いますと「最愛の父が死んだ夜、自分が父の実子ではなく不義の子なのを知ったおしのは、淫蕩な母とその相手の男たちを、自らの手で裁く事を決心する。おしのは、母を殺し、母の男たちの胸につぎつぎに銀のかんざしを打ちこみ、その枕もとに赤い山椿の花びらを残してゆく」

即ち「この世には御定法で罰することのできない罪がある」という事です。

文章が美しく、格調高い風景描写、無駄のない厳選された言葉など期待してその通りでしたが内容は、復讐に燃える女の執念の話でした。しかし、人気が高く小説はロングセラー、映画化は1回、ドラマ化は4回しています。舞台にもなっています。表題の五辨の椿は、サザンカの事。サザンカの散り方は、パラパラ散ります。父親の大好きだった山椿。供養のつもりで殺した死体のそばに置いていきました。

まるで昔見た必殺仕置人のように悪い人間を殺していきます。

殺し方は、かんざしで心臓を一突きして、横に山椿を一片置くというやり方です。父によびかける。これでで恨みは一つ減ったでしょうと。

殺そうとする男の悪行がばれていくのが面白く、5人をひとりづつ追い詰める過程がドキドキしていきます。つい殺す主人公に味方をしてしまいます。

最愛の父の無念をはらし最後のシーンでは、涙が止まりませんでした。

何度もドラマ化される意味が分かりました。素晴らしい作品にであえました。

山本周五郎の別の作品を読んでみようと思いました。

最後までご覧になりありがとうございます。

 

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