不二家銀座の思い出に加賀マリ子さんと隣り合わせになり、彼女と握手をした、というのがある。
5年くらい前の話しだけど、彼女が食していたプリンが乗っかったパフェは、ひどくハイカラな感じがしたし、
サングラスもレースのグローブを外さず、長い柄のスプーンを綺麗に縁取りされた小さいけれどぽってりと厚い桃色に光る唇で
食す姿はコントロールされたお人形みたいだった。
びっくりするくらい小さくて、心配するくらいか細くて、痛々しいほど白かった。
人生の先輩に対して失礼だけれど、思わず「お一人で大丈夫なのですか?」と、彼女の取り巻くスタッフが全然いないのに不安を覚えるほど、
浮き世人生のオーラに包まれていた。
だけど、自分と同じものを食すのだと思うと、それだけで親近感が持てて好感へと繋がる。
私は作る計算式も導かれる答えも、どこまでも単純なのだと可笑しくなった。

そんな思い出を思い出しながら、気になってはいたもののタイミングなく外していた「ミルキーアイスクリーム」をやっと食す。

$エッセイスト料理家ROMAKOの『好きな人と好きなモノを好きな時に好きなだけ食べる』-ミルキーアイス1

♪ミルキーはママの味♪は、幼い頃いつも母の手作りおやつばかりの中、唯一に近かったくらい許された市販おやつで、
私にとって特別感満載のキャラメルだ。
アンブレラチョコレートっていうのもあったけれど、それよりもミルキーだった。
あの油紙のような包み紙で包まれた不揃いなミルキー、歯にくっついて食べづらくとも、
次は上手に食べられるはずと幼な心に思いつつ口をゆがめ舌で引きはがすのだった。
いまではすっかりミルキーも多種になって、大きさのバリエーションや、味のバリエーション、
クッキーやロールケーキになっていたりと選ぶ楽しさが加わって、そのひとつにアイスクリームもあるのだった。
いつもなら断るスプーンも、ペコちゃんの顔のデザインというだけでつけてもらい、
期待値を込めて初めてのお買い物なのに2個買ってしまう。

$エッセイスト料理家ROMAKOの『好きな人と好きなモノを好きな時に好きなだけ食べる』-ミルキーアイス2

蓋を開ければ、ミルキー色のアイスクリームが現れ、ミルキーはママの味~♪と鼻歌ってしまう。
歯にくっつくほどのアイスクリームなのか?ミルキー臭は?あの味は?

・・・お口直しにミルキーロールケーキを。