私が高校生になっても、母はパンを焼くことを止めなかった。
止めるどころか、購買部?というくらい、学校では売切れ続出の
焼きそばパンや、お好み焼きパンを大量に焼いていた。
焼きそばパンにのっている紅ショウガだって、お好み焼きパンの上で揺れる削り節だって、
それはそれはたっぷりと薬味の役割を果たし、学校で食べるのとは違う
愛情たっぷりのパンに仕上がっていた。
でも、私は食パンやクロワッサンが食べたかった。
バケッドや、バターロールが食べたかった。
それなのに、母は焼きそばパンとお好み焼きパンを焼いた。
なぜなら、それは父が大好きなパンだったから。
ケーキを焼き、羊羹をどれだけ作っても、父はあまり口にしなかった。
でも、この二つのパンだけは、父も飽くこと無く「今日も旨い。」と口にした。
大人になってわかる、母の父を想う気持ちと、想われたい気持ち。
今は、私がパンを焼いている。
母とは全く逆の、バケッド系のパンを。
「粉に鼻息をかけないでね。」と、覗き込む私に微笑んだ母の顔が浮かんだ。
【クイックブレッド】
[A]
薄力粉 … 180g
ベーキングパウダー … 小さじ2
砂糖 … 小さじ2
塩 … 小さじ1/4
ヨーグルト … 150
<作り方>
1.ボウルにAを全部入れて混ぜる。
2.1にヨーグルトを入れ、ゴムベラなので、こねずにヨーグルトの水分が
行き渡らせるように混ぜる。
3.天板にクッキングシートを敷き、2を丸くお椀型に置き、十字に包丁などで
切れ目を入れる。
4.200度(余熱有り)のオーブンで18分焼く。
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