Hard Boiled Shanguri-la

「この世は天国か地獄か」と聞かれたら、私はとりあえず天国だと答える事にしています。この世に天国を求められない人間はロクな死に方をしないだろうと思うからです。肯定というのは難しく、長く険しい道程です。せめて明日は晴れだと祈りたいものです。


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 今日のマスターは名古屋から来た音楽プロデューサー?のような人。よく知られている歌謡曲のカバーを新人ミュージシャンに歌わせて、稼いでいるそうだ。故あって沖縄に来て、長々と過ごすうちにここのスタッフになったと言う。
 「おれねえ、臭いにとっても敏感なのよ。臭い奴はダメだね。この前シャワールーム掃除してたらさ、外人達が入った後らしくて、毛と臭いが本当に酷くってさ・・・・」
 おいおい、何でそんな否定的な話から突然話し始めるんだ? 音楽プロデューサーとしてはどうだかわからないが、客商売としてはどうなのだろう? 自分は繊細な事に敏感だという事を言いたいのかもしれないが・・・・そういえば夕食の時、自分専用の水を買って持ってきていた。沖縄の水は自分に合わないのだそうだ。確かに水道水はイマイチだ。山原以外あまりいい山がないからだろう。
 「そういう人ってこういう集団生活できないんじゃないの? ここはお客さん選べないだろうからそういった人沢山来るだろうし・・・・」
 「・・・・・」
 今になって思うと、この言葉が彼の琴線に触れてしまったのかもしれない。客の一人の私にとっては知った事ではないが。
 客には神戸から来た保険屋さん、秦野から来た人、関西から来た学生カップル、IT会社員など、様々だ。保険屋は今日斎場御嶽(せいふぁうたき)に行ってきたそうである。昨日来て今日一日かけて斎場御嶽とその近くの港から渡ってすぐにある神の島久高島に行ってきたそうだ。とてもいいところだという事をトクトクと語っていた。特に明日行く場所がなかったので、行ってみる事にする。ちなみに平和記念公園には昨日行って来たそうだ。私と違って平和祈念資料館にも言って来て、そこで平和のありがたさを改めて感じたそうだ。彼女の話を聞いて、次回の旅行でまた平和記念公園に行き、資料館へ行ってみる決心をした。明日は午後の便で帰るのだが、それまでにちと時間があるという。どこか近場にいいスポットはないかと聞かれ、豊見城の辺りにある旧海軍司令壕はどうかと提案しておいた。バスの時間がうまい具合に合うかどうかは調べてなかったのでわからなかったが。
 「横浜の人ってお洒落ですよね。」
 「・・・・・!?」
 お洒落と言われたのは初めてだ。勿論これは私本人の事ではなく、あくまで横浜一般の人を指しているのだろうが。泡盛は飲みなれていないのか、かなり酔ってきている。飲めば飲むほど饒舌になって来ていて、しかしこちらの話はあまり聞いていないようで、あるいは酔いが回って聞いてもすぐに忘れてしまっていて、同じ事を何度も何度も聞いて来る。3歳年下だという事が話の中で判明した。ずっと私が年下だと思って話していたようで、びっくりしていた。この頃から私は実年齢よりも若く見られるようになってきた。20代の頃は2~4歳は年上に見られていたというのに・・・・顔に年輪が刻まれていないからだろうか。
 「どこから来たんですか?」
 「神奈川は横浜です(さっき言ったじゃないか)。」
 「横浜の人って遊び人が多いですよね。」
 「さっきお洒落って言ったじゃないか(でも裏返せばそういう事になるのかもしれない)。」
 「あれは・・・・口から出まかせです。」
 「・・・・・」
 その後彼女は何度も何度も同じ事を聞いてきて、2時のここが閉まるまで一緒に居た。客室に帰る途中の階段で、財布を忘れた事に気づき、私が保護者のような形で付き添い、屋上まで取りに帰った。カウンターの上に置きっぱなしになっていたのだった。
 「財布はちゃんとポケットにしまっておかないと。客の中に悪い奴がいたらどうするの?」
 「・・・・・」
 客室に戻り、彼女はウンともスンとも言わず自分の寝床に帰っていった。それ以降彼女とは会っていない。元気でやっているだろうか。確かめようにも名前も聞いていないし、今頃その当時の事など忘れているだろう。
 時間は少し遡る。マスターが音楽関係の仕事をしていると知ったので、聞いて見たいことがあった。隣では保険屋さんがフラフラしながら別の人と話をしている頃だ。
 「沖縄は音楽が盛んだと聞いたのですが、ここら辺でライブが見れるいい店ありませんか? ライブハウスみたいなとこ。」
 「全然ダメだよ。確かにねえ、ここの人達は元々音感が良く、それを育てる土壌もあるんだけどね、構成や段取りがメチャクチャ。これで2000円なんか全然とれないって感じでね・・・・」
 おいおい、何で客のおれが敬語で貴様がタメ語なんだよ? しかもおれは6歳年上なんだぜ。それにおれはただのここに訪れた観光客なので、歌がうまくてそれを育てる土壌があるのならばそれで十分なのだよ。だからそういった事は聞いていないんだけど。
 その後楽器ができるかどうかという話になった。他の人は大なり小なり楽器が使えるという。しかし私は・・・・
 「おれはダメだなあ。エアギターくらいだよ。」
 「へえ、じゃあ君、何かの大会で優勝でもしたことあるの?」
 おめえの言ってるのは「できる」の範囲内じゃあねえよ、と音楽を生業にする者として多分言いたかったのだろう。私が同じ音楽業界の者ならばそれでもかまわないのだろうが、ここはゲストハウスで、私はそこに泊まりに来たただの観光客である。それにこのタイミングでなぜこんな事を突っ込むのだろうか。彼は自分の立場や相手の立場を全く考えていない。責任を負う宿主でもなく、ただの腰掛けだからこそこういった事も平気で行えるのだろう。もう彼とは二度と会いたいとは思わなかった。
 その時に限らず沖縄を旅行していてよく思うのが、フレンドリーさと無礼さを混同している者が多いという事だ。客が敬語なのに向こうはタメ語というのがよくある事例だ(向こうが自分よりずっと年上ならばそれもありなのだろうが)。上記の日替わりマスターはフレンドリーさすらない。一体どういう社会を渡って来た者なのかがわからない。ここでは「いちゃりばちょーでー」でも、そうでない社会から来た人間で、その社会の常識を踏まえているという事を完全に忘れている。いや、元々そういった常識がない世界から来た者もかなりいる。でもまあ何というか、そういった人たちも受け入れてくれるのが沖縄の温かさなのだろうが。
 その日他の人達とも話したのだがよく覚えていない。上記の二人の印象が強すぎたためだろうか。

 朝になった。2時までやっていたのだから、保険屋ほどでないにしろ100円につられてかなりの量の泡盛を飲んだはずなのに不思議と二日酔いになっていない。むしろ心地よい目覚めだった。泡盛はあまり二日酔いをしないらしい。先日行ったjefに行き、ぬーやるバーガーのセットを頼む。ゴーヤバーガーにポークランチョンミートの挟まった豪華版だ。不思議な食感を楽しむと開南のバス停へ・・・・と、もうバスは行った後じゃあないか。前日にちゃんと確認していない私が悪いのではあるが、次のバスまであと2時間近くもあるぞ。代わりに那覇市牧志第一公設市場をうろついてみる事にした。
 肉やら魚のみならず、色々なものが売っている。特に肉屋では、生てびち、つまり豚足が生々しく丸ごと切株で置いてある。あと豚の顔の生皮も飾ってあったりで、心臓の弱い人は見るのに注意が必要だ。沖縄では豚をたくさん使う。雑菌がたくさんいるという内臓もちゃんと洗って中身汁として調理したり、捨てるところがないくらいだ。昔まだ沖縄が貧しかった頃、野菜だけでは足りない動物性タンパク質を辛うじて豚でとってどうにか凌いでいたと言う。無駄な栄養がないから沖縄の人は長寿なのだそうだ。今は別の県に抜かされてしまったが、当時は日本一の長寿県であり、日本一という事は世界一だった。もっとも今は体に悪いものがたくさん入ってきているし、栄養過多なので、若い世代が年をとった時、今のお年寄り達程は長生きできないだろうと言われている。
 二階には食堂もあり、数年後サーペンティーナの公演で沖縄を訪れた時、初めに訪れ、皆で食事をするところとなる。公演自体はこの公設市場の裏にある児童館前広場にて行った。ここら辺一帯は昔闘牛場だったらしい。初めはお客さんが全然入らず苦労したものだが、ちょうど沖縄を訪れていた弟に泊まっている宿にチラシを配ってもらったりして、楽日の頃は児童館の子供達も手伝って宣伝してくれて、満員になるようになった。どうやら周りを行き交う人達には児童館内部のイベントだろうと思われていたらしい。野外劇というのも含めて今まで行った事のない経験ばかりになった。
 
 さて時間はあっという間に過ぎた。南城行きのバスに乗る。二日目に訪れた佐敷の辺りを通り過ぎ、安座間サンサンビーチの前に辿り着いた。なんだ、あすこからすぐそこの場所にあったんじゃないか。ここで一泳ぎしてから目的地の斎場御嶽へゆく。琉球王国最高峰の聖域と呼ばれている場所だけあって、不思議な場所だった。石が素朴に置いてあるだけの祭壇なのに、何かしら寒気のようなもの、霊的なものを背中に感じるのである。岡本太郎もここで何か感じたらしい。他の、沖縄の人達の作った文化とは格が違うのだそうだ。大きな岩と岩の間を通り抜けて海辺へ。樹々の間はからは海が臨め、その先には島が見える。久高島だ。保険屋さんが行って来たという神の島だった。今回は行かなかったが、次回の旅で訪れる事となる。
 その二回目に訪れた時は専ら自転車を宿で借りて移動していたのだが、ここに来るのは距離的な問題もあってか今回と同じようにまたバスを利用した。起きる時間が遅れて、またバスを乗り過ごした。二度も同じ失敗を繰り返すとは、とんだマヌケである。今回と同じバスで来たものの、ここに着いたのは久高島へ行くフェリーがちょうど出た後だった。仕方がないので、またここ斎場御嶽に行くことにした。サンサンビーチで時間を潰し、昼食をとって知念岬に行った。変わった形をした小さな蟹が沢山いる場所だった。海があらゆる方面に見渡せる。絶景であると同時に、地球が丸いのだと実感できる場所でもあった。
  時間を調節して久高島へ。一周数時間で回れてしまう小さな島である。斎場御嶽がそこから見えるというクボー御嶽は立ち入り禁止だった。他にもここには立ち入り禁止の場所がいくつかある。ゆっくりゆっくりと回りたいが、フェリーの関係でそうも行かない。宿を引き払ってここに泊まれば良かったなと思ったりもした。一通り回った後最終フェリーで安座間港へ戻る。バスは出た後だった。フェリーとバスの時間が微妙にズレているのである。夕食の時間が間に合わない。初めて夕食の取り置きの電話を宿にかけた。
  さて初回の話に戻ろう。二回目と同じように知念岬を回り、ゆっくりしてからまたバスで帰って来た。今日の夕食はソーキの煮つけだった。例の如くお代わりは自由だったが、遅れてくる女の子のため取り置きがされていた。
 
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