Hard Boiled Shanguri-la

「この世は天国か地獄か」と聞かれたら、私はとりあえず天国だと答える事にしています。この世に天国を求められない人間はロクな死に方をしないだろうと思うからです。肯定というのは難しく、長く険しい道程です。せめて明日は晴れだと祈りたいものです。


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 朝6:50に起きて、ドリンクバーにて2杯ほどコーヒーを飲み、まとめておいた荷物を持って外へ出る。今日もいい天気で、まだ気温がそれ程高くなく温和なのがいい。この時はまだ夜勤をやっていなかったので、寝る時間帯の時差に悩まなくて済んだ。国際通り沿いのマックにて朝マックをほうばりながら今日行く場所を決める。前記にもある通り、当時の私は沖縄に何があるのか前知識がほとんどなかったので、とりあえずガイドブックに大きく載っているところに行ってみる事にする。識名園というのが先日行った首里城の南辺りにある。これも世界遺産とされているので、そちらに今日は行く事にした。

 国際通りを終点まで行き、そちらから南下する。バスで行けばすぐなのだろうが、直接行ったところでまだ開園していないだろうし、何より私は歩くのが好きだった。ゆっくりゆっくりと変わりゆく見知らぬ土地の景色を眺めながら、見知らぬ街の風の香りを感じ、見知らぬ人の騒めきを聞く。そして更にその先、そこで出会った見知らぬ人達と話をする楽しみに漸く出逢えるようになるのはあと2日後の事で、まだその時の私は極端に異郷の人見知りだった。1000km歩けば歩く旅の良さが見えてくるという。その歩く旅の達人から見れば私なんぞ本当のひよっこ中のひよっこだった。
 与儀公園の前を通過する。沖縄の街を見ていて思ったのが、やはりここは異国だなという事である。街路樹は椰子の木だし、ガジュマルのような蔓の絡まった樹がいたるところにある。赤瓦の民家が建ち並ぶ中に所々空き家や空き地があり、ほぼ必ずと言っていい程門の所に狛犬のように二匹対になったシーサーがいる。そういえば沖縄のライオンズマンションの門番はシーサーだと聞いた事がある。まあ、ライオンもシーサーも元は同じなのだから問題はあるまい。あとよく道の角っこにある謎の文字「石敢當」。なんでも風水の護符だとかで、これがあるお陰で邪気がここから逃げて行くそうである。そして一番違うのが墓。本土のように墓石が鏡餅状に重なっているのではなく、それ一つが大きな仏壇のようになっている。墓場の側を通りかかり、見慣れぬ風景にびっくりしたものだった。
 沖縄の道はクネクネと蛇行している。国道や県道を道なりに歩いていても、いつの間にか別の路線に入っていたりする。先ほどの右への分かれ道が続きの道だったという事がよくあった。そして私が行く今回の道はアップダウンが激しい。まだ開いていない店の隣を通り抜けて、目的地へと急ぐ。沖縄の店はチェーン店が少ない。コンビニは普通に展開しているが、飲食店はマック、吉野家など数えるほどしかなく、「●●食堂」という個人経営の店が多い。夜には居酒屋も兼ねていたりする。飲んだくれて家に帰る時に使うのは専らタクシー(ゆいレールしか電車のようなものは走っていないからである。しかも那覇の国際通り+αのみなので、沖縄の他の部分には電車文化のようなものはまずないと言っていい。本土に来て、まず困ったのが切符の買い方だったと言う今帰仁出身の人もいるくらいだ)だ。
 なぜかここに来る前日に観た友人達の芝居を思い出しながら、ゆっくりゆっくりと道を進んでいた。旗揚げ以来ずっとやってきた作演出がやめてしまい、別の人が作・主催が演出で再出発したばかりだったので、全く期待していなかったところを、カウンターを喰らったかのような出来だったので、びっくりした事がずっと頭から離れなかったからだろう。約6年ぶりにそこで知り合った皆と飲めた。この旅行が終わった後10月の公演の初日打ち上げでまた彼らと一緒に飲んで以来ずっと彼らとは飲んでいない。その10月の公演で彼らは新たな方向性を見つけたそうだ。硬派な社会派の芝居をする劇団として、今もその方向性は変わっていない。
 話が横道に反れた。ある程度歩くとやはりもう疲れたので(歩く旅の達人には到底なれないのがここからもよくわかる。しかしねえ、私の旅は時間が限られているからね)道行く人に聞き、識名園近くまでいけるバスに乗る。園内に入ると、緑色の池を渡る橋や道が至る所にあり、池のないところは亜熱帯の樹々に囲まれている。中国や日本風の庭園なのに、その樹々を見るとここは沖縄だなあと感じてしまうのだ。あと石でできた水場の湧泉もあり、ここで水を汲んでいたという。建物の屋根は赤瓦でできていた。屋敷の内部は武家屋敷のようではあるが、その赤瓦を見るとやはり沖縄である。六角堂は中国的なものを匂わせるが、そこを見ると明らかに中国とは一線を画している。外国使臣歓待や国王一家の保養のために造られただけあって、中は広々と日本間が続いていた。諸外国の違うものに触れながら、段々とその地のオリジナルなものを作り上げて行く。デビューしたばかりの新人漫画家が既に売れている有名な漫画のパロディをやりながら、連載が進むに連れて画力のみならず独創性を発揮していくのに似ていた(ん?  変な例だなあ)。クレオールなチャンプルー文化である沖縄の成立過程を見ているようで非常に興味深かった。
 樹々が生えている方に行くと、「ハブに注意」の看板が。確かにハブは恐ろしい。ドラマ版寅さんはハブに噛まれて死んだ事を思い出した。ハブに噛まれて死んだフランス人将校もいたそうだし、岩場の穴の中にいるのを子供が手を突っ込んだ時に噛まれた場合、十中八九死ぬのではないか?  ハブの大きさにも寄るだろうが。ハブにはこの時出会わなかったが、地面におそろしく大きなカタツムリを発見した。めちゃくちゃデカイ!  俺が知っているのと比べて5倍はあるぞ。この後名護に行った時、雨に降られた日にたくさん同じくらい大きなのに出くわした。ここら辺のカタツムリはとても大きい事がわかった。

 識名園を出てバスに乗り、大里公園へ行く。そこに何があるかは知らないが、ここら辺に来たのでとりあえず行ってみようというのが意図だった。しかし降りて見て、特に目を惹くものはない。でも今まで二つも連続して世界遺産を見て来たので、何もなく見えるのは無理もないかもしれない。そこから歩いて歩いて東海岸の方へ行く。途中で見つけた食堂にてソーキそばとジューシーを食す。「この肉はジューシーだ」とか言うのは聞いた事があるが、商品として見たのは初めてだ。ご飯の中に豚肉を入れた炊き込みご飯の事だ。これをおにぎりにして売っているところもある。外を出て道を歩いて行くと、マングースらしきものが通り過ぎるのが見えた。
  新里から新開に出る。そして331号線を東に歩いて行く。サトウキビ畑が見えて来た。南国情緒漂ういい風景だ。ここから先どこに行くという事もないが、海岸沿いを行けるところまで行って見る。途中であった食堂で夕飯を食し、佐敷の辺りで日も暮れて来たので引き返す事にする。那覇行きのバスに乗り、国際通り近くで降りる。長々と歩いてきたのに、帰るのは一瞬だ。文明の便利さと共に空しさも感じたりする。
 国際通りの脇道に平和通りというモール街がある。土産物屋や雑貨屋、食堂、軽食屋が所狭しと並んでいて、高円寺や上野のガード下ような場所もあった。ここに来る時はもう日も暮れていて、そろそろ今日の宿を探さねばならない。近くにガイドブックにあった安いゲストハウスを見つけ、そこに泊まる事にした。
 「ゲストハウスってこんなものか・・・・」
 そう私が思ってしまったのは、ここがベラボーに安いところだったからだ。もうちょっと高い1500円くらいが那覇では相場だが、同じ値段でもピンキリである。ここは本当にキリの方だった。一応キッチンやバストイレがあり、ネット環境も整ってはいるものの、全てが汚い。まあ、大学の部室棟にしょっちゅう寝泊まりし、ダニに身体中刺されていた私にとっては何てことないが、若い女の人にはたまったもんじゃないだろう。
先程食べた夕飯は足りなかったので、下の食堂にてまたちょこっと食し、これを今日のシメの食事とした。
 「何?  飯何処がウマイかだって?  自炊すりゃあ一番安くあがるよ。」
 泊まっている長期滞在者のおっさんが教えてくれた。確かにその通りだ。キッチン冷蔵庫が完備してあるので、連泊するならばその通りだと素直に納得する。しかし・・・・そこにはもう泊まるつもりはなかった。旅行者らしき人は他に一人も泊まっておらず、皆長期滞在者の巣のようだった。確かにここにずっと泊まり続けていれば、アパート借りるよりも安く済む。安い物価と温和な気候にどっぷりと浸かってしまい、そこから何処に行くという事もなく数ヶ月、あるいは数年居続ける事を「沈没」と言うらしい。主にアジアの方の安宿にそう言う人たちがたくさん居て、言葉が定着したそうだが、ここ沖縄にもかなりの数がいる。田舎のに行けばそうでもないのだろうが、ここ那覇はバイトもそこそこあり、物が何でも揃うので、けっこう多く、問題になっているそうだ。
 「ヨイヨ〜イ、ヨイヨ〜イ・・・・
 夜中に寝ていると、先程のおっさんが何やら掛け声をかけながら入って来る。多分酔った時の口癖なのだろう。突然始まって何かと思ったが、慣れれば何でもないのかもしれない。二段ベッドのドミトリーの上の階に私は寝ていた。彼は下の方だ。その後は静かに寝れた。やはり布団があるのとないのとでは大違いだ。ゲストハウスというものの良さを再確認した。ここにはもう泊まりたくはないが・・・・
 さて、明日は何処行こうかなあ・・・・
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