こんにちは。社会保険労務士の樋口です。

 

 令和元年5月、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律案」が可決、成立しました。
 

 この法律案には、下記画像にもありますように、「労働施策総合推進法」の改正も含まれていて、この法律の中でパワハラについて定義し、その防止をするための措置を講じる義務を事業主に課すなどの規定が設けられました。

 

 まず、パワハラについて、同法第30条の2において、「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されること」と定義しました。また、主として下記3点が明記されました。

 

①事業主は、パワハラを受けた労働者からの相談に応じ、雇用管理上必要な措置を講じる。

②厚生労働大臣は、事業主が講ずべき措置等に関して、必要な指針を定め公表する。

③厚生労働大臣は、①の違反是正の勧告に従わない事業主名等を公表することができる。

 

 上記①~③の内容は、平成29年1月に施行されたセクハラ・マタハラ防止規定をほぼ踏襲した内容となっています(男女雇用機会均等法、育児・介護休業法)。

 

 なお、一般的には「パワハラ防止法」と言われたりしていますが、そのような名称の法律はなく、「労働施策総合推進法」にパワハラ防止規定の条文を追加・変更したものとなっています。施行時期は、大企業が令和2年4月、中小企業が令和4年4月を予定しています。