11月は紅葉の季節、、かと思いきや、そうでもない。霜月だというのにまた夏日到来である。それも1日だけではない。数日に渡って続いている。街中ではTシャツのみならず手持ち扇風機までが活躍する事態に。異常気象というが、この一言で片付けられるものかどうか。何やら嫌な予感も。この先には一体、何が待ち受けるのだろうか。

【エルニーニョ現象の発生状況】

(気象庁より)

 気象庁によると太平洋赤道域東部の海面水温が平年より高くなるエルニーニョ現象が発生しているとか。それも4度以上高くなる可能性まであるらしい。文字通り希代の『スーパーエルニーニョ』である。それも暫く衰えそうにないというから恐ろしい。気象や地象、それに経済といった分野への影響は大丈夫だろうか。


(気象庁より)

 では、これまでには、どんなことがあったのだろうか。直近では2014年から2016年(の春)にかけてが顕著だった。海水温は平年より3.1℃も高い状態が続いた。

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【2014〜16年のエルニーニョでは】

◆2014年はアジアへの影響が大であった。中国だけでも干ばつや暴風雨、洪水などにより、その被害は約5800万人に及んだ。

◆2015年は低緯度一帯を中心に異常高温が続出。 インドネシア西部や南米北部では異常少雨に。 インド(5月)とパキスタン(6月)では熱波により、東アフリカ南部(1月)、アフガニスタン(2~4月)、インド(6~9月、11~12月)などでは大雨や洪水によって甚大な被害が発生する。

◆2016年だって然り。暴風雨、洪水、干ばつ、熱波など750件の損失事象が観測され、これは過去10年間の平均値である590件を大幅に上回った。これらの災害では約8700人が犠牲になったものの、前年(2015年の2万5400人)よりは減少する。

✻〈この年の7月には熊本地震も発生〉

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〈以下、過去記事と一部重複〉

 このエルニーニョ現象、厄介なのは気象変動ばかりではない。過去を遡っても、かなりの確率で大地震を誘発しているように見える。先ずは下記を御覧頂きたい。

(エルニーニョ期間//大地震)

 ☆期間内に発生の大地震
 ★該当なし/M6以下は除く

 ☆1951~52/ 1952 十勝沖地震 M8.2
 ☆1953~53/ 1953 房総沖地震 M7.4
 ☆1957~58/ 1958 択捉沖地震 M8.1
 ☆1963~64/ 1964 新潟地震 M7.6
 ☆1965~66/ 1966 与那国島地震M7.3
 ☆1968~69/ 1969 色丹島地震 M7.8
 ☆1972~73/ 1974 伊豆半島地震M6.9
 ☆1976~77/ 1978 伊豆大島近海M7.0
 ☆1982~83/ 1983 日本海中部 M7.7
 ☆1986~87/ 1987 日向灘地震M6.6
 ☆1991~92/ 1994 北海道東方沖M8.2
 ★・・・・/ 1995阪神淡路大震災M7.6
 ☆1997~98/ 1998 石垣島南方 M7.7
 ☆2002~03/ 2004 中越地震 M6.8
 ☆2009~10/ 2011 東日本大震災M9.0
 ☆2014~16/ 2016 熊本地震M7.3

 上記は、1950年以降に発生したエルニーニョ現象の期間と大地震の相関だが、記憶に残る被害地震は2年以内であり、阪神淡路大震災を除けば全て1年以内に発生している。確率は(16分の15で)94%にも達する。偶然といえば偶然だが、こんな偶然はあるだろうか。

 そもそも、エルニーニョ現象とは、南太平洋の東西で気圧がシーソーの如くに作用する南方振動のことである。海洋では赤道太平洋の海面水温や海流が変動する。だから、こうした時期には異常気象に連動して様々な異変が見られる。暖冬や大雪も、こうしたことに起因するのではと考えられている。

 ならば地象への影響だって無縁ではあるまい。エルニーニョの発生期間に大地震が日本列島に集中するのはなぜか。気圧や海流、海水温が変化するなら、プレートや断層にも相応の力が加わると考えるのが自然だろう。トリガー下にあるなら、こうした条件でさえ十分に危険ということだ。

 因みに、赤穂浪士の討入りは、元禄15年12月14日(1703年01月30日)とされ、いずれの物語も降り積もる雪景色を背に描かれている。真実の有無はともかく、この年は関東地方に甚大な被害を与えた元禄地震の年でもある。ならば、この年もエルニーニョ現象の只中であり、大雪に元禄地震、宝永地震を経て富士山の大噴火(1707年)に至っていたとしても不思議ではない。

 〈大地震の発生には特質がある〉

(1)エルニーニョ現象の期間に限って多い。

(2)太平洋側に雪が降る年に多い。

(3)黒潮が蛇行するなら更に多い。

《過去記事》


 現在は、これらの全てに該当しそうな状況にある。既に日本各地で異常気象が頻発。『前列がない』といった事象ばかりが相次いでいる。ここ数日の夏日などは、その典型であろう。一体、この先には何が待ち受けるのだろうか。寺田寅彦の名言を持ち出すまでもなく「天災は忘れた頃に・・」が現実にならねば良いが。