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【進化の監視】は【しんかのかんし】
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天地創造の昔々、この地球という小さな星には『自然大魔王』と『破壊大魔王』の二人の大王だけが存在していました。両者は仲悪く何事においても常に競い合っていました。
(自然破壊でも生き延びる昆虫=想像)
ある時、破壊大魔王が自然大魔王にこう言いました。
「いつまでも闇夜ばかりじゃ退屈でつまらん。どうじゃ、このわしと進化くらべをしようではないか」「どちらが先に優れた生き物を世に送り出すかの競争じゃわい」
自然大魔王は即座に答えました。
「望むところじゃ、お前さんには決して負けやせんよ」
こうして、延々と続く進化くらべが始まりました。
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〈進化論を唱えたチャールズ・ダウィーン〉
(この世は進化論ばかりで退化論が登場しない不思議。でも人類って本当に進化してるんだろうか)
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月日が経ちました。自然大魔王は美しい野山を創り、そして数多くの息吹きを次々と生み出しました。緑の大地に育まれた美しさはそれはもう眩いばかりでした。
破壊大魔王は焦りました。やることなすこと失敗ではどうにもなりません。仕方なく、後に人間となりうる劣性な生き物を、完成には程遠い未熟な状態のままで世に放ってしまったのです。
自然大魔王は更に進化を加速させました。鳥や昆虫には空や野山を自由に飛ぶための羽を、動物や魚には聴覚や嗅覚といった優れた五感のみならず、クジラやオオカミのように遠距離交信まで可能にする優れた機能すらも備え付けました。
破壊大魔王は焦りに焦りました。なにせ人間には遠方との通信はおろか大空を飛ぶ機能さえ備わっていないではありませんか。
破壊大魔王は修繕に励みましたがその欠陥は致命的でした。仕方なく原始的な手法でその穴埋めを余儀なくされました。こうして、空には飛行機を、遠方との会話には通信機器を授けてはみたものの所詮はオモチャなのです。不具合ばかりで肝心なところではちっとも役に立たないんですから。
破壊大魔王の怒りも頂点に達しました。そして「いっそのこと自然を破壊してしまえ!」と大暴れを始めたから、それはもう大変でした。二酸化炭素を撒き散らして草木を枯らし、フロンガスを放出してオゾン層にまで穴を開けてはみたものの、結果的に深刻な影響を被るのは進化の鎧で環境の悪化に順応しうる動植物ではなく、いつだって脆弱な人間ばかりなのです。このままじゃ人類のほうが先に駆逐されかねません。
それでも懲りない破壊大魔王は「そうだ、地球が駄目なら宇宙を目指せばいいのだ」と考えました。
またまた永~い歳月が経ちました。
20××年×月××日………光子ロケットが打ち上げられてから数十年後、今日は永年の夢が叶い人類が初めて地球外知的生命体との接触の日です。現地では宇宙の進化の中で最も取り残されているとされる『原始生命体』を一目見ようと大勢の見物客が押し寄せていました。
着陸地点は意識誘導されて銀河希少動物園の檻の中です。そうとも知らず「自分は英雄」と勘違いして悦に入る宇宙飛行士。自分が見せ物になっているなんて知る由もありません。
えっ、数十光年も離れた惑星なのに、どうし人類が宇宙で最も遅れた原始生命体だってことを知っていたのかって?
それはね、地球上の樹木や植物に内蔵されている通信機能には時間的概念がないんです。ですから木々や草花などから全宇宙に配信される情報も瞬時に受信され、人類の進化のなさが逐一監視されていたからなんですよ(-_-;)。
「ドキッ!!」
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【そして猿の惑星へ】
「な~るほど、だから人間は猿より劣っとるんか」
『類人猿を代表して・・反省!!』
「でも、どうしてまたオイラが登場するわけ」
「反省なら、お前さんの方が得意じゃろが」
「ちと古〜い😩」
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【蝕まれる地球】
《上昇の一途にある世界の平均気温》
米海洋大気局(NOAA)と米航空宇宙局(NASA)の調査によると、2020年の世界の平均気温は14.88度で、16年に次いで観測史上2番目に高かったという。このうち陸上の平均気温は過去最高の10.09度を記録。暑い年の上位(1~5位)は全て2015年以降に観測されたことになる。
(同、データより)
これは近い将来、本州で露地物のバナナやパイナップルが栽培され、北海道がミカンの産地になることを意味する。正月早々から大型台風に見舞われ、マラリアといった感染症に怯える日々。そう、ここは豊かな四季に溢れた大地ではない。自然の猛威に晒されて逃げ惑うだけの亜熱帯になってしまうかも知れないのだ。人類って本当に進化しているのだろうか。






