プロ野球もやっと開幕した。今年は試合数が少ないだけに意外な展開になるかも知れない。大方の予想は、セが巨人、パはソフトバンクだが、どうなるだろう。ことにスタートダッシュに成功したとはいえ巨人は分からない。評論家のいう「圧倒的戦力」も昨年の日本シリーズではソフトバンクに完膚なきまでに叩きのめされている。経営的にも苦しいシーズンである以上、惨敗は許されないのだ。

 更には、スキャンダルの追い討ちも。原監督自身による賭けゴルフだそうだ。週刊誌によれば一回で100万円単位の金が動いたという。事実とすれば由々しき事態であろう。過去にも女性問題で1億円、子息への小遣い700万円、そして〇〇疑惑など、並外れた金銭感覚の持ち主だけにどうなることやら。

(監督の賭けゴルフをスクープした週刊誌)
(新聞広告より)

 女性問題では「原君は被害者」とする球団の温情によってお咎めなしに終えた。だが今回ばかりはそうもいくまい。額が額だけに(事実なら)最悪のケースも想定せねばならない。成り行き次第では早めの監督更迭も有り得るのではないか。その場合、誰になるのか。巨人の(監督)人事には我々の知らない暗黙のルールが存在する。そこからは、こうしたことが透けて見える。

 巨人軍への入団には2つのパターンがある。1つは他球団には目もくれず“巨人命”を貫き通すタイプ。もう1つは、特定の球団と相思相愛だったものの、巨人軍の札束攻勢と異例の好条件によって翻意させられるケースだ。ドラフト制度以降は、さすがに少なくなったとはいえ、その残像は監督選びに垣間見ることができる。

 前者の代表格は江川であり現役なら長野(現広島)と菅野だろうか。江川は阪急の指名を拒否して法大へ進学。その後、クラウンライターの指名を受けるも再び拒否して、あの空白の1日へと繋がってゆく。ロッテの指名を拒否した長野に日ハムの指名を拒否した菅野も然りだ。

 後者は枚挙にいとまがない。だが、最も有名なのは長嶋茂雄だろう。彼は立教大学時代から南海ホークス入りを熱望していた。巨人軍は、あの手この手を尽くして入団に至らしめた。その作戦たるやなんだったのか。

 最近では前監督の高橋であろう。高橋は学生時代からヤクルトの熱烈なファンであることから入団は確実と思われていた。しかし現実は厳しいもの。家業(不動産業)の倒産が人生を一変させる。60億円を超える負債の肩代わりを読売サイドが申し出たのだ。加えて更なる好条件を提示したとも言われる。

 翻意ではないが前監督の原だって似たようなものだ。父親はあの原貢である。かつて日ハムは巨人志望の菅野を強行指名した。ドラフトの指名は秘匿を原則とする。いわば建設業界の入札に近い。それを「前以て俺に何の挨拶もないのはおかしい」と、おかんむりだったという。ならば「貢」だけに、息子・原辰徳の入団に際しても、どれだけの貢ぎ物(札束と約束手形)を受け取っていたことか。

 約束手形とは将来の保証を意味する。スター候補なら監督手形だって含まれるだろう。その点、巨人命(志望)派に監督手形はいらない。手形の履行を優先する限り監督になれることもない。だから巨人の歴代監督は、翻意グループばかりで、憧れて巨人に入団した者には無縁なのではないか。理論派で、ファンの選ぶ監督にしたい候補No.1の江川であれ、コーチにさえなっていないことからも察することが出来よう。

 ならば次期監督は誰になるのか。しかし読売ジャイアンツに途中解任はない。唯一、1947年に中島治康の例はあるものの、プレイングマネージャーであったことから野手に専念しており、限りなく黒であっても今年一杯は原監督で押し通すことも。いや、約束手形なら“あの人”だって貰っているはずだ。あの人は子供の頃から熱烈な阪神(命)ファンであったことで知られる。 ただ“あの人”を承諾させるには旧態依然とした体質を改善せねばならない。さもなければ古巣ニューヨークに戻って永住してしまうだろう。

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《余談》

 昨日(25日)の早朝、千葉県東方沖を震源に震源にM6.2の強い地震があり関東地方でも最大震度5弱を観測した。

(千葉県東方沖の地震)
(気象庁データより)

 今年は本当に良く揺れる。今回は発令されなかったものの、この5月以降だけでも緊急地震速報は3回に及んでいる。1923年は6月2日に茨城県沖で強い地震があった。7月13日には九州南東沖でもあり9月1日の関東大震災に至っている。疫病(スペイン風邪)に経済不安と社会的背景まで似た状況にあることから「まさか!」にならないことを願いたいものだ。