女子サッカーでは、なでしこジャパンがアジア予選で敗退し、リオ五輪への出場の道を絶たれた。男子のU23は五輪へは出場したものの、資金難から航空機の手配が出来ず疲労困憊でピッチに立ったナイジェリアに、ノーガードの打ち合いの末に敗れて一次予選で姿を消した。そして、この9月1日からは、男子ワールドカップのアジア最終予選が始まった。

1998年以降、アジア最終予選の初戦に負けて本大会に出場したチームはない。文字通り負けられない戦いの始まりである。二次予選は無敗で勝ち上がり誰もが勝利を確信していた。だが結果は違った。資金力を武器に強化を進めるUAEに敗退してしまった。ロシア開催のW杯出場は本当に大丈夫なのだろうか。

戦いはタイ、イラク、オーストラリア、サウジアラビアへと続く。タイだけが、やや劣るとはいえ侮れない。高い経済成長の基、スポーツ界でも底上げが著しい。リオ五輪では金2個を含む6個のメダルを獲得している。シンガポール戦のように日本は引かれると弱い。アウェーでもあり引き分け以下なら状況はかなり厳しい。

そもそも日本代表は2大会も3大会も続けて同じ顔ぶれで戦っている。これでは進歩がない。研究されて丸裸にされてしまう。若返りで戦力アップを計る他国とは雲泥の差だ。しかも欧州組はチームを一時離脱してのトンボ返りで連係の確認も出来ない。一ヶ月もスペインと中国で合宿を張ったUAEとは何もかもが違い過ぎる。

確かにサッカーW杯は世界最高峰の大会であろう。国と国との名誉をかけた戦いであると同時に自身を売り込む格好の場でもある。多くの選手にとっては、欧州のビッグクラブの目に留まり、高収入と夢を実現する大会でもあるのだ。

だが日本代表の場合はどうだろうか。ほとんどが欧州組だ。しかもリーグ戦に出られるか否かのボーダーラインにいる者が多い。W杯予選に出ている間にポジションを奪われたのでは溜まったものではない。ロナウドやメッシのように不動の地位を築いているならまだしも、ベンチからさえ外されてしまうかも知れないのだ。

ヤンキースの松井は日本代表よりもチームを優先した。WBCや五輪といった国際試合は全て辞退した。これと同じ願望が根底にあるのではないか。サッカーでも欧州でレギュラーになれば少なくとも年間で2億円は稼げる。移籍契約に代表優先の項目が含まれるにせよ、招集によって、これらを失ったのでは元も子もない。チーム事情よりも本人の意思が透けて見える。

日本は、いつまでも代表メンバーを固定し過ぎる。それもベンチウォーマーが仕事の欧州組ばかりだ。すべて悪いとは言わないが、時には総入れ替えも必要ではないか。一時は弱体化するにせよ、でないと若手が育たない。向上心が芽生え、夢を叶えようとすればするほど、モチベーションも上がる。谷間の世代で最弱と酷評のU23を代表に据えるのも手だが如何だろうか。