東日本大震災の発生時のことだ。あまりの揺れに動けない。震度6強の烈震は尋常ではない。あわてて電柱につかまる。人々の叫び声が聞こえる。その時である。ふと目にした光景は今でも忘れられない。
必死で掴まっていると、その先で数羽のカラスが、一心不乱に辺りをつついでいる。一時、ガァーと鳴いたものの、直ぐに収まり、また餌を食べ続けている。動じる気配などまるでない。今思えば、一瞬の騒動も人々の叫び声に反応しただけであって、地震など眼中になかったのではないか。カラス様、恐るべきである。
自然界には様々な災害がある。人間社会にとって地震は最凶だが、鳥獣には、さほど大きな問題ではない。風雨(雪)の方が遥かに恐い。地震は一瞬だが、暴風雨なら、大地震を上回る振幅に長時間曝される。豪雨だって収まらない。餌をつついでいる場合ではない。種の存続にさえ深刻な影響を及ぼしかねない。だから、地震には、あまり驚かないのではないか。
だが火山噴火や津波を伴う場所は違う。危機を察して行動する。事前に、その場を離れる。勿論、営巣は控える。インド洋の大津波では野性の象には被害がなかったそうだ。暴風雨や豪雪を前に、昆虫は営巣位置や時期をずらすことで知られるが、人間以外には、こうした本能が備わっているのだろう。
こうして見ると人間は弱い。人間社会ほど脆弱なものはない。古来より『大地震の前にはネズミが消える』の言い伝えが数多く残る。近年でも、この報告が最も多い。如何に科学技術が進歩したところで、人工構造物の脆弱さは、ネズミにさえ見抜かれている。野ネズミも、崩れる山肌や断崖、水没する海沿いや河川敷からは逃げ出すが、平野部から離れることはない。安全を確信しているからだろう。それが、人類の自信作でもあるビルや家屋からは、我先にと逃げ出してしまう。これが何を意味するだろうか。
木を見て森を見ず、のことわざがある。これとは逆で、人は、なにか肝心なものを見落としているのではないか。森(自然界)を観ても予知にはならない。鳥獣の異変は、天敵や縄張りを侵した外敵への威嚇であり、雨嵐を前にした対処本能である可能性が高いからだ。
だが方法はある。それも身近にある。家屋に寄り添う生き物からも可能だ。さすがに、ネズミは少ないだろうが、家屋に寄生するのはネズミだけではない。古民家ならツバメが巣作りをする。春先、恒例の行事がないなら、それこそおかしい。一軒のみならず周辺でも同じなら危機迫る確率は一段と上がる。
もう一つ、ゴキブリはどうか。究極の嫌われものだけに、この報告は極めて少ない。だが、これほど生活を共にしてきた仲間もいない。それも高等生物だ。なにをバカな! と思うだろうが、ゲノム数も予想に反して多い。その辺りも下等生物とは違う。さすがに数億年も生き抜いただけのことはある。しかも高性能のセンサー付きなのだ。
生命体の頂点を自認する人類も、こと地震予知に関しては、ゴキブリにだって及ばない。
(/。\) ガクッ!!
必死で掴まっていると、その先で数羽のカラスが、一心不乱に辺りをつついでいる。一時、ガァーと鳴いたものの、直ぐに収まり、また餌を食べ続けている。動じる気配などまるでない。今思えば、一瞬の騒動も人々の叫び声に反応しただけであって、地震など眼中になかったのではないか。カラス様、恐るべきである。
自然界には様々な災害がある。人間社会にとって地震は最凶だが、鳥獣には、さほど大きな問題ではない。風雨(雪)の方が遥かに恐い。地震は一瞬だが、暴風雨なら、大地震を上回る振幅に長時間曝される。豪雨だって収まらない。餌をつついでいる場合ではない。種の存続にさえ深刻な影響を及ぼしかねない。だから、地震には、あまり驚かないのではないか。
だが火山噴火や津波を伴う場所は違う。危機を察して行動する。事前に、その場を離れる。勿論、営巣は控える。インド洋の大津波では野性の象には被害がなかったそうだ。暴風雨や豪雪を前に、昆虫は営巣位置や時期をずらすことで知られるが、人間以外には、こうした本能が備わっているのだろう。
こうして見ると人間は弱い。人間社会ほど脆弱なものはない。古来より『大地震の前にはネズミが消える』の言い伝えが数多く残る。近年でも、この報告が最も多い。如何に科学技術が進歩したところで、人工構造物の脆弱さは、ネズミにさえ見抜かれている。野ネズミも、崩れる山肌や断崖、水没する海沿いや河川敷からは逃げ出すが、平野部から離れることはない。安全を確信しているからだろう。それが、人類の自信作でもあるビルや家屋からは、我先にと逃げ出してしまう。これが何を意味するだろうか。
木を見て森を見ず、のことわざがある。これとは逆で、人は、なにか肝心なものを見落としているのではないか。森(自然界)を観ても予知にはならない。鳥獣の異変は、天敵や縄張りを侵した外敵への威嚇であり、雨嵐を前にした対処本能である可能性が高いからだ。
だが方法はある。それも身近にある。家屋に寄り添う生き物からも可能だ。さすがに、ネズミは少ないだろうが、家屋に寄生するのはネズミだけではない。古民家ならツバメが巣作りをする。春先、恒例の行事がないなら、それこそおかしい。一軒のみならず周辺でも同じなら危機迫る確率は一段と上がる。
もう一つ、ゴキブリはどうか。究極の嫌われものだけに、この報告は極めて少ない。だが、これほど生活を共にしてきた仲間もいない。それも高等生物だ。なにをバカな! と思うだろうが、ゲノム数も予想に反して多い。その辺りも下等生物とは違う。さすがに数億年も生き抜いただけのことはある。しかも高性能のセンサー付きなのだ。
生命体の頂点を自認する人類も、こと地震予知に関しては、ゴキブリにだって及ばない。
(/。\) ガクッ!!