若き日に全巻を読破しようとした本である。当時は何か禁断の書のように思えていた。読んでみると学術的な本であるばかりではなく、極めて真面目と言うか社会を鋭くえぐった書物と言う感覚だった事を覚えている。(もう1度読み返す気もありませんけどね。)

1950年代にはソ連が躍進していて、その思想の原点がこの書物だと言われていたので、かなり読まれていたのではないかと思う。健康保険や生活保護と言う概念も社会主義国家に習ったもので、日本が成長していく過程で唯一成功した社会主義国家と賞賛されるようになったと記憶している。昭和27年に生活保護世帯が200万世帯を超えていたと聞いて確かにそんな時代だったのだろうかと思う。そして、59年後の平成22年にやはり200万世帯を超えていると知ると、景気循環説の正しさまで実感してしまうのである。

共産圏国家が破綻すると「資本論」は日本ではほとんど聞く事はなくなってしまったのだが、しかし、時に触れて思い出す文章もある。「能力に応じて働き、必要に応じて分ける。」と言う言葉である。

資本主義的な「生活保護」と言う言い方にも若干抵抗を覚えるものの、必要に応じて分けると言う概念からはそれもやむ終えない事だと思う。共産主義国家が僅かに残る将軍様とやらの国家になった時に、成功した社会主義国家と言われた日本も財政破綻の道を直走っているかと思うと1950年代ってどんな時代だったのかと温故知新と言う言葉を思い出してしまう。


1950年代                  2010年代

テレビ(白黒)が普及し始める。      デジタルTVに切り替わる

ソビエトの台頭                中国の台頭

アジア・アフリカ諸国の独立        民主化活動の活発化

核開発競争                 核拡散