僕はおばあちゃん子だった。

僕が子供の頃はバブル真っ只中で、うちの親は印刷会社をやっていて、夫婦共働きでいつも家にいなかったのだ。

母親の料理を初めて食べたのが中学生になってからだ。

カレーがすごく不味かった記憶がある。


それは置いといて、
おばあちゃんはとても厳しい人だった。

鹿児島で女学校の先生をやっていたとか何とか。
礼儀や作法に厳しく、普通に打たれたりもした。

明治生まれの強い女性だった。

僕はそんなおばあちゃんに、女性についてのいろいろを教わった。

思えばうちの家系は、女が強く、男がダメダメな家系だ。

おじいちゃんなんてひどい浮気者で、他所に子供がいたりした。

うちの父はと言えば、全然働かない。

きっとおばあちゃんは、そんな男共に嫌気がさし、僕だけはまともな人間にしようと思ってくれてたのかもしれない。

「おばあちゃん!今のところまともな人間ではないよー!」

きっとおばあちゃんがまだいたら、女装してる自分を見て「仕草がなってない」とか言われたんだろうなぁ。

浪費家の父のバイクに乗る姉と僕。