第7回 国道212号旧道 大石隧道 大きな樹木の幹のように

明治時代に建設された大石隧道。壁面はコンクリート等で固めるられてはいません。
地盤が剥き出しの、素掘りの隧道なのですが

剥き出しの地盤は、よく見る荒々しい岩肌ではなく、限りなく「土」に近いものでした。
崩れ落ちた土砂は、まるで隧道内に運び込まれたかのように、積み重なっています。

隧道内にこの土砂を運び込んだのは、誰でもなく、全て自然の力です。
雨や風や振動が毎日こつこつと隧道の周囲の土や岩を崩し落としているのです。

崩れ落ちた地盤の形と、崩れて降り積もった地盤が絶妙に調和した世界。

さぁ、隧道の反対側の出口の前まで来ました。
ひときわ息を呑む、緑の世界が待っていました。

隧道が身に纏う、緑を帯びた肌。

それはもう到底岩石のような無機物には見えず、
まるで数百年を経て成長した、大きな樹木の幹のように見えます。