LOLLIPOP(ロリポップ)が面白いプロジェクトを教えてくれたのでご紹介します!
#PleasrDAO announces an #NFT release for #WuTangClan's unique album "Once Upon a Time in Shaolin."🎶This single-copy album, never released digitally, will be partially distributed to NFT holders over time.💎 pic.twitter.com/43gUnvMqIN
— LOLLIPOP🍭#BSC#LPOP (@LollipopBsc) July 16, 2024
詳しく調べてみると、どうやら
「世界に1枚しか存在しない音楽アルバム」だそう!
たった1枚だけ制作され、
ダウンロードもストリーミングも不可という幻のアルバムです。
今回は、この話題について色々深掘りしていきましょう。
Once Upon a Time in Shaolinとは?
これは、アメリカのヒップホップグループWU-TANG CLAN(ウータンクラン)の7枚目のスタジオアルバムとして1枚だけ(2枚組のCD1組)制作されたものです。
6年間かけて秘密裏に録音された楽曲を2014年にCD化、
モロッコのマラケシュにあるホテルの金庫で厳重に保管され、
2015年にオークションで販売されました。
2103年まで商業利用ができない契約のうえ、
スイスの製薬会社(オフィスはニューヨークにあるらしいが)のCEOマーティン・シュクレリ氏が200万ドルで落札したといいます。
ちなみに、タイトルの意味は
「むかしむかし、少林寺で」ですが、
WU-TANG CLANのメンバーは、自身の地元スタッテン・アイランドのことを少林寺と呼んでおり、
アジア系の武闘の総本山みたいな意味合いで使っていたそうです。
WU-TANG CLANとは何者?
ニューヨーク出身のラップグループWU-TANG CLANは、
RZA・GZA・METHOD MAN・RAEKWON・OLD DIRTY BUSTERD・GHOST FACE KILLER・INSPEKTAH DECK・MASTER KILLER・U-God・CAPPADONNAの10人で構成されたアーティスト集団です。
(人数はどんどん増えているらしい)
中二病みたいな名前の人ばかりだけど、
それぞれがソロアルバムを出してはヒットするくらい実力があるそうで、
ラップ界のアベンジャーズみたいな感じらしいです。
グループ名にもWu-tang(武闘)という単語が入っている通り、
彼らはカンフー映画にかなり影響を受けています。
WU-TANG CLANのプロデューサーはストリーミングサービスによって音楽の価値が下がったと嘆いており、
新たなアルバムを芸術作品として制作することを決意。
彼らは、音楽が無料で聞き放題になってしまったが
現代アートは何百万ドルもの価値が認められているとし、
音楽を本来の芸術作品としての価値に戻したいと考えました。
そこでアルバムが収録されていたデータのファイルを削除、
CDに焼き付けた1枚だけを銀色の宝石で飾った箱に収め、
約150人が出席するお披露目会に展示します。
このイベントに参加した者は録音機器を所持していないか検査されたのち、
約13分間の演奏を楽しんだそうです。
マーティン・シュクレリ氏が逮捕される
Once Upon a Time in Shaolinを落札したシュクレリ氏は、
2018年に証券詐欺で有罪判決を受けてしまいました。
彼が所有していたアルバムも差し押さえられ、
身元不明のバイヤーに売却されてしまいます。
これは約7億円もの罰金をかせられたシュクレリ氏を救済するためにアメリカ連邦政府が決めたことでしたが、
WU-TANG CLANのファンをはじめ、
多くの音楽愛好家が落胆することに…
しかし、売買に携わっていた弁護士によると、
1~2ヶ月で誰が買ったか明らかになるとされていたようです。
そして2021年8月、ついにその正体が判明します…
幻のアルバムをNFTコレクター集団が購入!
シュクレリ氏から没収されたOnce Upon a Time in Shaolinを取得したのは、
NFTのコレクター集団PleasrDAOでした。
デジタルアーティストも所属していたというこの団体は、
「アルバムを人々に還元したい」と表明。
また、PleasrDAOの広報担当は「ミュージシャンやアーティストを仲介する業者や音楽の利権を求める者に対する究極の抗議」として購入したと話しています。
シュクレリ氏に対しても「インターネットにおける究極の悪党」と表現し、このアルバムをそんな奴から救出してやったのだと考えているようです。
WU-TANG CLANのファンのため、
本当に音楽を愛する人々のためにできるだけ広く楽しんでもらいたいとしていますが、
このアルバムは一般公開を禁じられています。
いっぽうリスニングパーティーなどで部分的な再生ができるということで、イベントなどに利用される可能性はあります。
しかし、本来の目的は誰か一人が利益を得るものではなく、
音楽を本来の価値に戻すということです。
儲けるためじゃなく、
みんなが音楽の価値を見直すことのできる使い方を、
PleasrDAOは模索していました。
シュクレリ氏が公開しちゃった!?
一般公開はできないけど、
みんなでこのアルバムを有効活用するにはどうしたら良いか…
PleasrDAOが一生懸命考えていた矢先、
なんと前の持ち主であるシュクレリ氏が勝手に一般公開しちゃったもんだから大炎上!!
Xを通じ、約5000人の視聴者にOnce Upon a Time in Shaolinをライブ配信してしまったというのです。
もちろん現在の持ち主の許可を得ていませんから、
PleasrDAOは激怒し、シュクレリ氏を相手取って訴訟も起こします。
許可なく再生されたことによってアルバムの価値が低下したと主張しました。
その結果、地方裁判所の判事はシュクレリ氏に対しアルバムの配布を一時的に差し止める命令を出しています。
PleasrDAOがNFT化!
PleasrDAOは、Once Upon a Time in Shaolinの一部を所有する権利をNFTとして販売することに。
購入者は5分間のサンプルを取得でき、購入されるたびにリリース日が88秒早まるというルールが設けられました。
初めアルバムに設定されていた購入者との法的契約では、
2103年まで完全版の販売を禁止されています。
制作から89年間ほとんどの人がフルで聞けないということになり、
WU-TANG CLANのなかには
「そんなの音楽じゃない」
「そんな(ピー)を聞きたい奴がいるなら、無料で配ればいい」
と述べたメンバーもいたようです。
ただ、ギネスブックはOnce Upon a Time in Shaolinを
ビートルズやプレスリーを上回る「世界で最も価値のあるアルバム」として認定しており、
制作したメンバーが思っている以上に
音楽としての価値が高いことが認められています。
NFT化することによって所有権が明確になり、
それなら部分的に少しずつ配布しても良いんじゃないかという結論に至ったのでしょう。
購入する人が増えるほどにリリースまでの時間も縮まっていくので、
俺たち大人も生きているうちに聞くことができるかも!
勝手なことをしたシュクレリ氏は訴えられましたが、
アルバムのアートワークについて「あれは俺のパクリだ!」と主張した別のアーティストがいて、
実は彼の方こそWU-TANG CLANのロゴを無断使用して販売していたことが判明して訴訟が却下されるという事件も起こっていたとか。
なんだか色んなドタバタ劇が繰り広げられているみたいですが、
音楽としての価値は素晴らしいと言われているようです。
こういうエピソードもブロックチェーンに刻めたら面白そう(笑)