仮想通貨取引を行って利益が出たら税金を支払わなければいけません。
基本的には20万円を超える利益が出た場合に課税対象となります。
しかし、場合によっては20万円以下でも税金を支払わなければいけないケースもあるのです。
今回は、仮想通貨取引で課税対象になるのはどのような時か、仮想通貨にかかる税金の種類や税負担を少しでも軽減させるための方法などを解説していきます。
■仮想通貨取引で課税対象になるのはどのような時?
はじめに、仮想通貨取引で課税対象になるのはどのようなケースなのかご紹介します。
・仮想通貨を売った時
仮想通貨を売った場合は、その時点で所得が発生することになります。
売った時の価格と取引価額(仮想通貨を手に入れるためにかかった手数料などを含む金額)との差額が所得額となるのです。
(仮想通貨の売った時の価格)-(仮想通貨の1単位あたりの取得価額)×数量
上記の計算式で算出できます。
・仮想通貨で決済を行った時
仮想通貨を使って商品やサービスを購入した場合は、決済を行ったタイミングで所得が発生することになります。
商品などを購入したのに所得が発生するのはおかしいのではないかと思うかもしれません。
しかし、仮想通貨を一旦売ってから日本円に換金して商品やサービスを購入するため、所得を得ているというのは間違いではないのです。
このことから、支払いに使った仮想通貨の時価が購入した時よりも上がっていれば、その差額が所得となります。
(商品の価格)- (仮想通貨の1単位あたりの取得価額)× 数量
上記の計算式で算出できます。
・マイニングやステーキング、レンディングで仮想通貨を手に入れた時
マイニングやステーキングで報酬を得たり、レンディングの利子として仮想通貨を手に入れたりした場合にも所得が発生します。
マイニングやステーキング、レンディングの利子などは上記でご紹介した売却とは異なる方法になるものの、利益が出れば所得になるため税金も納めなくてはなりません。
・仮想通貨で他の仮想通貨を買った時
ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨を使い、他の仮想通貨を買った時に所得が発生する場合があります。
なぜかというと、仮想通貨で決済を行った時と同じような扱いになるためです。
■こんなケースでは20万円以下でも申告が必要
年末調整を行っているサラリーマンは、雑所得が20万円以下だと申告をしなくても問題ないとされています。
しかし、全員が20万円以下なら申告をしなくても良いというわけではありません。
どのようなケースだと申告が必要になるのでしょうか?
・給与所得が2,000万円を超えているケース
1年間の給与所得が2,000万円を超えている場合は、年末調整の対象になりません。
そのため、自分自身で申告しなければいけません。
経営者や役員として仕事をしている人が当てはまる可能性が高いです。
このような場合は、仮想通貨で得た利益も含めて申告するようにしましょう。
・複数の会社から給与所得を受けているケース
複数の会社から給与所得を受けているケースも、申告が必要となります。
ダブルワークをしている人などが該当するでしょう。
このようなケースでは、年末調整を行っていないことが前提条件となるので覚えておいてください。
アルバイトなどで得る収入と雑所得を合計すると20万円を超えるケースが多いため、申告が必要となるのです。
・扶養控除を受けている主婦や学生
扶養控除を受けている主婦や学生が申告しなければいけない場合もあります。
それは、給与以外に48万円以上の所得があった場合です。
2019年までは38万円以上の所得があると確定申告が必要でしたが、2020年からは基礎控除が48万円に引き上げられました。
■仮想通貨にかかる税金にはこんな特徴が!
所得税は、給与所得や事業所得、譲渡所得などに分けられます。
仮想通貨取引で得た所得は、基本的に雑所得に分類されます。
雑所得にはどのような特徴があるのでしょうか?
・総合課税
給与所得など他の所得の合計額に課税されます。
仮想通貨取引で手にした所得は、他の所得と合計した金額に課税されるという仕組みになっています。
1年間の給与所得は600万円、仮想通貨取引による給与所得が400万円だった場合、合計所得は1,000万円です。
この金額から各種控除額などを差し引き、課税されます。
FXや株式で得た所得に関しては、申告分離課税となります。
申告分離課税は、他の所得と合計することなく支払うべき税金の金額を計算するのです。
・累進課税
累進課税は、所得額が大きくなるほど税金の金額が大きくなります。
最高で45%もの税金が課せられます。
住民税や復興特別所得税も含めるとおよそ55%にもなるのです。
・損益通算禁止
事業所得などの利益が出ていて仮想通貨取引で損失が出たとしても、相殺はできません。
給与所得を得ている場合も同様で、相殺できないので注意が必要です。
他の投資なら損益通算ができるので同じように考えてしまいがちなので、特に注意すべきポイントです。
・損失の繰越控除禁止
株式投資の場合だと、損失は3年間繰り越せるという仕組みになっています。
翌年以降に利益が出たら控除できます。
しかし仮想通貨の場合は、繰り越しができません。
これも、損益通算と同じように注意すべきポイントとして挙げられます。
■税金の負担を少しでも減らしたいなら…こんな方法がおすすめ!
仮想通貨によって得た利益が増えると、税金の負担も大きくなってしまいます。
そのため、負担を少しでも軽減したいと考える人も少なくありません。
最後に、税金の負担を少しでも減らすために知っておきたい方法をご紹介します。
・手数料などを経費にする
仮想通貨の取引を行う時に、手数料などがかかります。
それらを経費として所得から差し引けば、所得額が少なくなるので納税額も減るという仕組みです。
手数料のほか、勉強のために買った書籍代、セミナーの参加費、ウォレットの使用料といったものを経費として計上できます。
スマホやパソコンの購入費用が経費として認められる場合もあります。
しかし、セミナーの参加費があまりにも高い場合などは認められないこともあるので、それも考慮する必要があることを忘れないようにしましょう。
・利益を20万円以下に調整する
仮想通貨の取引で得る利益を20万円以下に調整すれば、確定申告が必要なくなります。
つまり、納税せずに済むのです。
お小遣い程度の利益を得られればいいと思っているなら、売却を急がないなどの対策を講じるのがおすすめです。
・損益通算を利用する
先ほど、損益通算はできないと説明しました。
しかし、これはFXや株などの利益とは損益通算ができないという意味になります。
仮想通貨同士であれば、損益通算が可能となっているのです。
保有する仮想通貨が含み損になっていて、他の通貨で利益が出ている場合に活用できる方法です。
50万円の利益が出ている通貨と40万円の損失が出ている通貨で損益通算すると、差し引きした利益が10万円になります。
手にした利益は10万円となるため、課税対象から逃れられます。
また、仮想通貨は前述したように累進課税なので、利益が多くなるほど納税額も増えてしまうため、損益通算を利用するのは効果的だと言えるでしょう。
仮想通貨で利益を出した場合、20万円以下であれば他の投資や副業と同じように課税対象とはなりません。
しかし、状況によっては20万円以下でも確定申告が必要となるので気を付けるようにしましょう。
確定申告を怠ると脱税とみなされてしまい、罰則を受けなければいけなくなります。
税金の負担を少しでも減らしたいと感じているなら、手数料などを経費にしたり、利益となる金額を調整したりするなどの方法を実践してみてください。