「HOKKAIDO SUPER JAM '83」について今年もまた思い出してみることについて。 | …

i am so disapointed.

1983年8月6日、札幌の真駒内屋外競技場にて、「HOKKAIDO SUPER JAM ’83」という野外ライブイベントが行われた。RCサクセションとサザンオールスターズが同じライブイベントに出演するということで、地元ではひじょうに話題になり、その前の年の秋に開局したばかりのFM北海道でもCMをよく流していた。山下達郎「Melodies」、マルコム・マクラレン「俺がマルコムだ!!」など買わなければいけないレコードが多かったこともあり、チケットがなかなか買えず、それでもFM北海道ではまだCMをやっているのでまだ買えるのだろうと思っていたのだが、やっとミュージック国原にチケットを買いに行ったところ、もう売り切れていると聞かされて絶望的な気分になった。それでもすぐに気持ちを切り替え、7月5日に発売されたRCサクセションの「OK」とサザンーるスターズの「綺麗」はどちらもすぐに買って、じゅうぶんに楽しんでいた。後援企業の一つであったそうご電器の関係者からチケットが工面できるという話が回ってきてすかさず買ったのだが、それで同じ学年の大学生や工業高校の男子達と遊んだり旭川市内のディスコに出入りしているらしい女子と一緒に行くことになった。

 

早朝に旭川駅で待ち合わせ、汽車で札幌に行き、PARCOなどを見た。カルチャー・クラブの「ポイズン・マインド」が聴こえてきて、とても自由な気分になった。それから真駒内屋外競技場に行くと、忌野清志郎や仲井戸麗市のファッションを真似たような若者達がいたりもした。当時のRCサクセションの事務所に所属していた小山卓治がオープニングアクトを務めることになっていたが、その前にウェスト・ウッドというバンドがウェストコースト・ロックのような音楽をやっていた。小山卓治はブルース・スプリングスティーン&Eストリート・バンドのようなタイプのロックをやっていて、なかなか良いと思った。

 

サザンオールスターズはその年の春にヒットさせたシングル「ボディ・スペシャルⅡ」で一気に会場を盛り上げ、次には最新アルバム「綺麗」から弘田三枝子に捧げた「MICO」、そして、前の年のアルバム「NUDE MAN」に収録され、研ナオコがカバーしてヒットした「夏をあきらめて」、さらには「綺麗」の1曲目に収録された新機軸を感じさせる曲「マチルダBABY」、レゲエ調の「星降る夜のHARLOT」、そして、あの超人気曲「いとしのエリー」に続いて、「NUDE MAN」から「Plastic Super Star」、シングルのセールスが低迷していた頃を象徴する楽曲「Big Star Blues(ビッグスターの悲劇)」、「綺麗」から高田みづえのカバーでヒットする昭和歌謡テイストの原由子ボーカル曲「そんなヒロシに騙されて」、シティ・ポップ/AOR的な「EMANON」、1981年のアルバム「ステレオ太陽族」からテレビドラマ「ふぞろいの林檎たち」でも後によく流れることになる「My Foreplay Music」、同じアルバムから「ラッパとおじさん(Dear M・Y’s Boogie)」、「綺麗」からジャムセッション的な「ALLSTARS' JUNGO」、そして、デビューシングル「勝手にシンドバッド」に「綺麗」から「YELLOW NEW YORKER」、ラストは同じく「綺麗」から大団円的な「旅姿六人衆」であった。

 

新旧の楽曲をバランスよく織り交ぜた、エンターテインメント性の高いセットリストであり、演奏であった。このセットリストは明確に記録が残されているため、これだけ細かく書くことができたのだが、RCサクセションのステージについては、当時の取材記事しか資料がない。この記事で取り上げられている曲数でも結構あるのだが、サザンオールスターズのセットリストと比較すると少ないようにも感じられ、おそらく他にも何曲かやっていたのではないかというような気もする。

 

それでも現在、分かっている範囲内で記録すると、オープニングがアルバム「ラプソディー」の1曲目にも収録されていた「よォーこそ」である。かつて、RCサクセションのライブというのはこの曲ではじまるのがお決まりだったようなのだが、この頃にはあまりやらなくなっていたらしい。そして、最新シングル「OK」から「ドカドカうるさいR&Bバンド」で、まさにこういったシチュエーションのために書かれたのではないかというぐらいのハマりようである。この頃には外はもうすっかり暗くなっていて、気分もより盛り上がってきていた。ライブの定番曲「Sweet Soul Music」に続いて、最新アルバム「OK」収録曲だが書かれたのはかなり以前だというレゲエ調の「お墓」、「君が僕を知ってる」「つ・き・あ・い・た・い」「スローバラード」「トランジスタ・ラジオ」「SUMMER TOUR」と有名人気曲が続いていき、「OK」から熱いラブバラード「指輪をはめたい」が最後で、アンコールではサザンオールスターズのメンバーと入り乱れて「雨あがりの夜空に」で忌野清志郎と桑田佳祐がお互いを讃え合い、花火が上がるという大団円である。

 

このライブの以前から地元では事前番組のようなものが放送されたりもしていて、忌野清志郎と仲井戸麗市がプロレス的にサザンオールスターズをぶっ潰してやるなどといっていたのだが、それを聞いていたファンがラジオ番組にこの内容を投稿して、桑田佳祐が激怒するということもあったようだ。しかし、ステージ上ではお互いを讃え合い、かなり良い感じだったということができる。

 

桑田佳祐が打ち上げで語っていたとされるところによると、RCサクセションのステージを見て泣いてしまったらしい。そして、今日は完敗だったが、来年は自分達の前座で出てください、というようなことを言ったらしい。この後、忌野清志郎と桑田佳祐は少しずつ親交を深めるようになっていき、その間には泉谷しげるがいたりもしたらしいのだが、80年代後半のクリスマスに放送された伝説のテレビ番組「メリー・クリスマス・ショー」での共演にもつながっていったのだろうか。そういった意味でも、貴重なライブだったといえるのかもしれない。

 

それにしても、RCサクセションの正確なセットリストがいまだに解明できていないことがまあまあ残念ではあるのだが、どなたか記録してはいないものだろうか。

 

とはいえ、分かっている範囲でプレイリスト化して、やはりこの日はこれを聴くのである。小山卓治のセットリストは本人の公式ウェブサイトに記録されているのだが、日付が8月3日となっていて、おそらくこれは間違えている。