(野辺山「最高地点」からの八ヶ岳)
この日我々が向かったのは野辺山。
毎年訪れる野菜直売所「コスモス」でリンゴを買うついでに、レストラン「最高地点」で新蕎麦とカレーを食っちゃおうという目論見である。
11時開店の「最高地点」に11時20分に到着した。
店内には蕎麦好きのお客さんがすでに5組入っていて、人気店であることが窺える。
(窓際のテーブルはちょうど満席 皆さん例外なく蕎麦を注文していた)
天もりそばとミニカレー丼を頼んで待つ間、店内をウロつくと怪しげな占いが。
(「鈴占い」表札の1375はJR最高地点の標高を示している)
「無料です!」につられてコロコロとやってみると見事「大大吉」。
今日もいい日になりそうだ。
やがてミニカレー丼が登場。カツカレーと比べるといささかショボいシロモノだが、ここのカレーの旨さを味わうにはこれで十分。
(ミニカレー丼450円 アイスクリーム用のスプーンがついてきたが普通のスプーンに代えてもらった)
続いてこの日の主役天もりそばがやってきた。
(エリンギ、レンコン、海老、サツマイモ、ナス、カボチャ、オクラで1200円)
旨い。揚げたての天ぷらと新蕎麦がぴったんこ。この日ばかりはカレーが新蕎麦の引き立て役である。
それにしても蕎麦の量が多いところにもってきて、天ぷらの量がハンパではない。
ついいつもの癖で猥雑物から、つまりサツマイモ、カボチャ、レンコンを一掃したのだが、この店に限っては好きなものから食った方がよさそうだ。
「2023年新蕎麦の儀」もこれにて無事終了し、「最高地点」から数100m北にある野菜直売所「コスモス」へ。
ちょうど昼どきとあっておばさんは店先にいなかったが、奥に向かっておばさん、おばさ~んと呼ぶと、よっこらしょとばかり姿を現した。
おばさんは去年から杖をつくようになっていたが、さらに足は悪くなっているようだ。
「おばさん、またフジ買いにきたよ」
「ありがとうね。2日にね、フジもサンふじもおいしいのがたくさん入るよ」
(10個入りが何袋か陳列されていた 無袋栽培のフジを「サンふじ」というらしい)
おばさんは今日は止めときな、と言わんばかり。
ところが試食させてもらうとすこぶる美味い。
(試食したリンゴは持って帰るのがお約束)
サンふじを1袋、ついでに白菜、トマト、ブロッコリー、玉ねぎを買ってお会計してもらった。
(紙に書いて計算するおばさん コスモスには電卓のような近代装備はありません)
「・・・3160円だね」
「じゃあ1万と60円ここにあるから。100円は今クルマから持ってくる(←ゴルフ練習用に大量の100円玉を備蓄している)から、おつりは7000円だよ」
「はいよ。ありがとうね」
クルマに向かいながらふと考えた。
サンふじが1200円、あとは200円かそこいらのものばかりだから、3000円もしないのではないだろうか。一昨年の「時そば」騒動が脳裏に去来した。
「おばさん、3160円もしないんじゃないかな~」
「どれどれ、もう一回やってみるね。・・・あ、2160円だね」
「じゃあおつりは8000円だよ」
「ごめんね。ごめんね。お詫びにそこの大根持ってって」
「そんなのいいって」
「いいから。いいから。さっき来たばかりのとれたてだよ」
おばさんの好意に甘えて大根を1本いただいた。
鈴占いの霊験あらたか、「大大吉」はどうやらこれだったらしい。
「ありがとうね。また来てね」
「また来るよ。おばさんも元気でね」
「はいよ。ありがとうね」
「コスモス」に来るとなぜか心が温かくなる。
身体は新蕎麦と天ぷら、ミニカレーでまたもや「ちいちいふぐの立ち泳ぎ」状態だ。
ウォームハートとちいちいふぐ。
これが「幸せのかたち」ってヤツなのかも。そんなことをボンヤリ考えながら野辺山を後にした。










