八ヶ岳南麓の謎②「羽鳥慎一モーニングショー」を2局で放送しているのはどういうこと? | 八ヶ岳ゆるふわ日記

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八ヶ岳南麓大泉と東京を行ったり来たりの毎日。日々のよしなしごとを綴ります。

 朝の情報番組といえば一番人気はテレビ朝日の「羽鳥慎一モーニングショー」である。

 不思議なことに八ヶ岳南麓(山梨県)ではその「羽鳥慎一・・・」を4ch(YBS山梨放送)と5ch(テレビ朝日)の2局で放映している。

 

(ほらこのとおり 左:テレビ朝日 右:山梨放送)

 

 4ch(YBS)は元々日本テレビ系列だから「スッキリ」を放映するのが筋というものなのに、これは一体

どういうことなのだろう。

 

 調べてみると事情はどうやらこういうことらしい。

 

・ 山梨県の民放はYBSとUTY(TBS系列)の2局のみ。こういうケースでは地元局は系列以外のキー
 局の番組を買うことができるので、YBSは人気の「羽鳥慎一・・・」をテレビ朝日から買っている(もっとも
 買い始めたのは羽鳥MCや玉川さんが登場する前からのことらしい)。

  なおこの場合買うのは番組だけだからCMは地元局が独自のものを挿入することができるわけだが、
 スポンサーがつかないせいなのか、スポンサーとキー局の間で特別な契約があるせいなのか(全国で
 同時にCMを流せ、など)、YBSは東京のCMをそのまま流していることがある。

 

・ 「5ch(テレビ朝日)」と我々が言っているのは正確には地元CATV会社による「地上波同時再送信」と
 呼ばれるものである。

  系列放送局が存在しない場合に限り、キー局の了解を得たうえで地元CATV会社はキー局の放送波

 を受信してそのままCATVで流すことができる(当然カネは払っているはず)。この場合「そのまま」とい
 うのが絶対条件で、CMもキー局のものをそのまま流している。

 

・ YBSの場合「羽鳥慎一・・・」はテレビ伝送用のケーブルで東京から送られてきている(=私の推測だ
 が間違いないはず)からディレイ(通信遅延)はほとんど生じない。

  一方CATVは三つ峠山(標高1785m)のマイクロ波受信アンテナでいったん東京スカイツリーの放送
 波を受け、その電波を強くしてから甲府に飛ばし、さらに各CATV会社に配信している(同上)。

  そのせいで4chと5chを同時に2台のテレビで見ていると、ホンのわずかだが(0コンマなん秒位)

 5chの方が映像が遅れてくるのが分かる。

 

(御坂山塊に位置する三つ峠は東京方面の電波が拾いやすい場所らしく通信・放送各社のアンテナが林立している)   

 

 民放が我が国に初めて誕生したのは1953年のこと。日本テレビが栄えある第一号である。

 この年はサンフランシスコ講和条約の発効により我が国が実質的に主権を取り戻した記念すべき年で、日テレのほかNTT、JALなどもこの年に設立されている。

 1957年には史上最年少の39歳で郵政大臣となった田中角栄氏がテレビ放送の将来性に着目し、各県にひとつ民間テレビ局の電波免許を付与することにした。以降放送利権は田中派の金城湯池となり、角栄氏が最高権力者の地位を手に入れるための原動力のひとつとなった。

 

 その後各県民放2局体制が放送行政の基本方針となった期間が長く続いたが、経済成長とともになし崩し的に放送局は増えていき、バブル期の1985年には「各県4局化」が基本方針となった。

 2021年現在県内に地上波テレビ局が2局しかないのは我が山梨県と福井県、宮崎県のみ(徳島県は

わずか1局だが大阪府の放送が直接受信できる)。

 テレビ離れがんどん進み、そのうえCATVも充実してきているご時世、山梨県に3局目、4局目のテレビ局が設立されることはもはやないだろうから、4ch、5ch現象はずっと続くに違いない。

 

 福井県は山梨県と同じように他系列局が「羽鳥慎一・・・」を放送しているようだが、テレビ朝日系列が

ない高知、鳥取、島根、富山県では「羽鳥慎一・・・」は見れないのだろうか。

 国内に「羽鳥慎一・・・難民」がいらっしゃるとしたら、なんだか気の毒な話だ。

 

 もっとも我が山梨県は裏を返せば「スッキリ難民」なわけだから、ヒト様のことをあれこれと心配している分際ではないのかもしれない。