(そらは右下の木陰で茫然と海を眺めている)
中部横断自動車道から三保の松原までの道中は雨であったが、現地に到着すると運よく俄かに晴天となった。
三保の松原は名勝とはいえどこかうらぶれている。ユネスコの世界遺産登録の恩恵もここまでは及んでいないらしい。
「できたての安倍川餅試食できるよ~、わんちゃんも寄ってきな~、できたての安倍川餅~」
土産屋のおじいさんの呼び込みも妙にもの哀しい。
高名な「羽衣の松」も三代目とかでパッとしないのだが、そらは何が気になったのか、その近くの石碑に一目散に向かっていった。
ググってみると、この碑はフランスのダンサーエレーヌさんの追悼碑だそうだ。
エレーヌさんは日本の能にインスピレーションを受け「羽衣」をフランスで演じたそうだが、いつの日にか日本を訪れたいとの念願もかなわず35歳の若さで夭折してしまう。
彼女が夫に残した遺言には「せめて髪の毛と衣装を三保の松原に埋めて欲しい」とあり、それを聞き及んだ地元の有志が碑を建てたという。
三保の松原は世界遺産から除外されそうな雲行きであったが、かろうじて踏みとどまれた遠因には、
この悲しく、美しい物語の存在があったように思える。
それにしてもフランス人は何故日本好きが多いのだろうか(フランス人の日本愛の記事は → ここ)。
左:羽衣の碑 1952年建立
右:能「羽衣」(国立能楽堂「能楽図帖」)
松林を過ぎて海岸に出ると、そらは度肝をぬかれたようで中々前進しない。無理やり波打ち際まで連れて行ってみたが、どうも海は苦手のようで対面はわずか1分たらずで終わってしまった。
(うわ、なんだこいつ → さようなら~)
愛犬が去った砂浜には、足跡だけがさびしく残されていた。
寄せ返す 波のしぐさの やさしさに
いつ言われてもいい さようなら (俵万智)
(三保の松原で拾った小石と老師のジャガイモ 食えるのはどれでしょう?)






