時間が経てば、人はだれでも子どもからおとなになれると思っているかもしれない。
でも実際は、子どもという、ちっぽけでHPも10くらいで、武器は木の枝で、装備は布の服みたいなじょうたいのまんま、モンスターだらけの世界に放り出されて、それで生き残ったほんのわずかだけが、おとなになれるんだ。
だから今日もあちこちで、生き抜きたい子どもたちは、当たっても気づかないくらいのへなちょこで無力な鉄砲を手当り次第撃ち続けている。
ぼくは、身体だけは生き残ったけれど、ほんとうにたいせつなぶぶんは、生き残れなかった。
世界の中心にたつおおきな墓標に、ぼくの名前もきっと小さく刻まれているんだろう。