ゴールデンウィークのお休みはいかがでしたでしょうか?
プレスクールで1日3時間過ごす中で、お友だちを見て動くことが出来るように、せんせい1人に対して2人のペアをお子さまの相性を考え、設定しています。また、お友だちを見てもらうための工夫を重ねることをなによりも大切にしています。
「学ぶ」という言葉の語源は「真似る」だといいます。何かを学ぶとき、真似から始めるといいと知ってはいても、それが子育てとなるとなぜか指示をして、教えたりやらせたりというようになってしまいがちですよね。
もうひとつのおうちでは、できる限り指示をしません。その代わりに、お子さまたちになにをしてほしいかがわかりやすいように、お手本を見せるか、お手本となるお友だちに注目して真似してみようと思えるような声かけを心がけています。
同じスモックを着ていることで一体感が生まれ、お友だちのお顔に目が行きやすくなるようです。ボタンができる子はまだ難しい子を、早く終わった子は周りのお友だちをと自然にお手伝いをすることも見られるようになりました。トイレにはオマルが並べて置いてあり、誰か1人が座るとお友だちも真似して座り、終わるまで楽しそうにおしゃべりをしています。
朝の自由遊びで使うものもお揃いのお道具箱に入れ並べているので、隣を見るだけで何をしたらいいかがわかります。お支度が終わる頃、「お絵かきをするので、クレヨンとスケッチブックを持ってきてね」などと一度だけ全体に伝えて待ちます。そして、1番に動き始めたお友だちに注目が集まるような声かけをしていると、だんだんと同じところで真似しながら遊び始めるので面白いです。
4月の工作では、シンプルにチョンチョンと絵の具をつけて半分に折って開くデカルコマニーを何度もやりました。色をつけることに注目できるように「チョンチョン」と繰り返し声を出し、真似っこに誘い込みます。みんながやり始めるとお友だちが使っている色を使いたくなって、「かして」のやりとりに発展することも多いです。
リトミックでは、ピアノの音に合わせて、椅子の周りに円になって、お友だちと一緒に歩いたり、走ったり、ジャンプしたり、寝たりします。みんなが同じ動きをしているので、なにをしたらいいのかわかりやすく、今まで全く真似をしなかったというお子さまも自然と真似っこを楽しめるようになってきていて、うれしいです。
サーキットでは、片足を上げてバランスを取れるようになるために椅子の背を跨いで歩いたり、平均台を渡ったり、マットで横転や前回りをしたり、トンネルをくぐったり、回転椅子で回ったり、フープを辿ってジャンプしたりと身体を動かします。
朝の会では、「おはなしのうた」の手遊びをしてから、見開き1ページ毎に1つの動作や音の真似ができるよう、工夫しながら読み進めます。その後は「おはようのうた」や季節のお歌を振り付け付きで歌います。みんなが確実に真似するまで待つようにしているので全てがのんびりです。「お名前は?」、「何歳?」、「誰と来たの?」をメインに少しずつ他の質問も交えてインタビューもします。
4月のお歌は、「おはながわらった」、「せんせいとおともだち」、「あなたのおなまえは?」でした。身体の部分の名前を覚えるために「かみなりどん」もやっています。おうちでも楽しそうに手遊びをしたり、口ずさんだりしているお子さまもいて、お歌の時間はみんなの大好きな時間です。
お弁当の時間には、トイレに行って手を洗い、コップに水を入れて歯ブラシを用意、ランチョンマットを広げ、右側にはカトラリー、左上にはデザート、左下にはお手拭き、真ん中にお弁当箱を置きます。早く終わった子はその日のペアのお友だちのお支度のお手伝いをするのも手順が決まっているので簡単です。
お弁当のお歌を歌って、お当番さんの号令に合わせて「いただきます」のご挨拶をします。食べている間は、同じおかずを見つけては「トマトおんなじ〜」などと見せ合いっこをしたり、お茶で乾杯をしたりと楽しそうです。食べ終えたら、歯磨き、うがいをして、トイレに行ったら、帽子を被ってお外に行きます。
その後は、ペアのお友だちと手を繋いで、歌を歌いながらペースを合わせて公園へ向かいます。手を離したら立ち止まり、手を繋げるまでペアのお友だちと一緒に待ちます。遊ぶ前には、肩に手を置いて電車になって移動したり、せんせいの声かけて集まったり、幼稚園生活の中で必要になるであろうことも練習しています。
公園では、だるまさんがころんだや追いかけっこ、かくれんぼなどの集団遊びをしたり、遊具で遊ぶことを楽しんでいます。1番目に遊び始めたお子さまの動きを実況中継しているだけで、クラスのみんなが同じ場所に集まっていくように楽しそうなコメントをします。
ここで離れている子を誘いに行ってしまうとせんせいが来てくれたことに満足して、みんなのところに行きたいと思わなくなってしまうかもしれません。そんな時にはせんせいも出来るだけ集まって遊んでいるところに留まり、その様子を離れている子にも聞こえるような声でつぶやき続けることがポイントです。
お部屋に戻るとトイレに行って、お着替えの時間。4月はパンツとズボンの着替えを重点的にやりました。ずいぶん自分でお着替えができるようになってきたので5月は上のシャツのお着替えも頑張っていきたいです。着替えの自立のためにワンサイズ上でゆとりのある着替えやすいお洋服をご用意いただいています。
トイレは3時間のレッスンの中で間隔が長い子は1回、間隔が短い子は3回成功しています。おうちでも日中は布パンツで過ごしてくださっていて、本当にありがたい限りです。これまでは時間毎に誘っていたので、自発的に「トイレにいきたい」と伝えられるようにしていきます。
時間があるときは、帰りのお支度の後、帰りの会をします。一番楽しかったことを指差しで選んだり、言葉で発表したりして、その日の活動を振り返りお友だちのお話を聞く時間です。最後には、「おかえりのうた」を振り付けの歌って、リュックを背負ってお母さまのお迎えです。
お外遊びの時、みんなが遊び込んでいて中断するのがもったいないと感じる日には、公園でのお迎えにするようにしています。お母さまに今日の様子をお伝えする間もお友だちと遊び続けることができるので、お子さまたちもうれしそうです。
お母さまもせんせいも関わらないフィードバック中の自由遊びの時間も4月の後半からは、お友だち同士で関わりながら遊べるようになってきており、笑顔で仲良くやりとりをしているお子さまたちの様子はとても微笑ましいです。
お友だち同士のやりとりを深めるために、真似をする機会をたくさん設け、真似をしたくなるようにお友だちの様子を楽しそうに伝えること。それがプレスクールでのせんせいたちの役割です。
真似をしたいという気持ちを遮ることになるので、指示を出すことはできるだけしません。もし、直接的に伝えなければいけないときには、必ず選択肢を提示しお子さまが自分で決めることができるようにします。
イヤイヤ期真っ只中なお子さまたちも選択肢があったり、自分で考えて動けるように考えられた環境設定や声かけがあれば、積極的に動いてくれることが多いです。お買い物やお洗濯、食事のお支度やお片付けもできる限りお願いしてみると、たくさん「ありがとう」と言ってもらえるので、やる気になってくれるかもしれません。
誰かの役に立って感謝されることは、心の中から溢れるやる気や自立心を育てるためにとても大切です。それは、大好きなおやつやおもちゃをも超えるほどの頑張る力になりえます。
人から言われてやったのではなく、周りを見て真似をしながらも、自分で考えてやり遂げたという経験は、どんな場所でも、どんな人とも、いつもの自分、自分らしい自分でいられるようになるために不可欠だと思います。
毎週メールで送られてくる2、3歳のプレスクールのお子さまたちの成長記録には、心からの達成感を感じられただろうエピソードがいっぱいです。お買い物カゴを自分で持ってレジまで行き、お金を払って買い物袋を持ってしっかり歩いて帰るということをしている子が何人もいて想像するだけでワクワクします。
4月は動作の真似っこが上手になったので、5月は言葉や音の真似っこの機会をたくさん作っていきます。3期生のお子さまたちがどんな風に成長していくのかせんせいたちと一緒に考えている時間がとてもしあわせです。
5月中旬からは、これまでの心理3名、言語聴覚士3名に加え、作業療法士1名、保育士1名が加わり、賑やかになります。自然な流れの中で、言語、認知、運動、社会性、自立などそれぞれの分野の課題と手立てを各分野のせんせいの専門的な視点を持って考えていくのがとても楽しみです。
昨年度から事前事後の評価と分析を外部の臨床心理士の先生にお願いしています。第三者の方の評価があるからこそ、お子さまの可能性を最大限引き出すために必要なことを細かく設定することができます。
2、3歳のお友だちと過ごす時間を楽しみ始める大切な時期。個別レッスンではなく、お友だちと共に学ぶ、真似から始まる環境を大切にしていきたいです。お子さまの育ちに必要なことは全て、工夫次第で公園遊びや工作やゲームの中で学べるはずですから。
お子さまにとっても、ご家族にとっても、このおうちがもうひとつのおうちだと感じていただけるように、また新しい月も丁寧に向き合ってまいります。
ご家庭でも真似っこ、楽しんでみませんか?
今日も笑顔で。
一般社団法人ころん もうひとつのおうち
代表理事 ますながりさ