「共感」について:かいりせんせいから | もうひとつのおうち

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小さな「できる!」をもっと大きく。虹色の個性を持つ子ども達と笑顔で歩む毎日の記録。

こんにちは。ころんのかいりせんせいです。
しばらく更新されていないサイトを見ると、お花を放置してしまい枯れてしまった荒れているお庭を想像してしまいます。

このままでは、葉っぱも生えない乾いたお庭になるのはまずい!と思い、これから少しずつ肥料を与え、お水をあげていこうと思います。

前回の更新日を見ると、「かいりせんせい」になってそろそろ2年です。
もう2年、まだ2年。その2年間でも考えることはたくさんありました。
もちろんこの先はまだまだ続きますが、ふと振り返って思ってきたことを書けたらいいなと思います。

またご覧になって頂ければ幸いです!

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ころんでよく聞く言葉。そして、自分が大事にしている言葉。
それは、「共感」。
話せるお子さんも話せないお子さんも、みんな「気持ち」を持っていて、時々「気持ち」を爆発させます。レッスンの中だと、お勉強のスタート時によく起こります。

以前ならそこで「嫌だね」とか「お勉強したくないね」と言っていました。それが相手の状態を表す「共感」の言葉と考えていました。また、「頑張ろうね」と励ましていることもありました。

ところが、これはお子さんの今現在の目に見える状態を表しているだけで、「共感」ではないと感じました。また、「頑張ろうね」という励ましでお子さんが動いても、それは相手からの言葉で、自分から出たわけではないし、その中には「頑張ろうね(だからやろう)」のようにカッコ書きで大人のやって欲しいことを一方的に伝えていることが多いです。

では、「共感」って何だろう?と考えた時にこんな風に整理しました。

「共感」は、お子さんの心を整理することば。
そのことばは、お子さんの言った言葉やその時の態度を表すのではなく、お子さんの隠れている本当の気持ちを表すこと。お子さんが「いやなこと」や「にがてなこと」をしたくないのはなぜだろうかと大人が頭の中でいっぱい考えて、それをお子さんの言葉で、そのまま伝えること。

言葉の少ないお子さんは、表に出ている態度を言うのではなく。
言葉がよく出て達者なお子さんは、その言葉をそのまま言うのではなく。

見える態度、聞こえる言葉をそのまま返すのではなく、お子さんの本音をこちらが考えてお子さんに伝えます。

遊びを中断されて「いや」を伝えるお子さんには、「まだあそびたかったのに、じゃまされた」「お片づけしたくない」。難しいことをするのを分かってて「いや」を伝えるお子さんには「お勉強って難しい」「失敗したくない」。こんな風に伝えます。

理由は人それぞれだし、同じ理由でもお子さんが思っている言葉なので、こちらの表現方法も、このお子さんはこんな風に言うかなと想像して、人それぞれです(「じゃまされた」→「せんせいがとめた」)。

そのまま伝えることはとても大切で、「~でしょ」のように押し付けないことを気をつけます。それが合っているか分からないし、合ってたとしても押し付けれると反発しちゃいますからね。

始めは頑なに拒否していたお子さんが、何度も伝えると徐々に柔らかくなっていきます。そうして、お子さんが自分でぽろっとその本音を言います。その時にこちらが大きく頷いてあげると、次の行動に移ります。きっと、お子さんが自分のことを考えてくれたと理解し、心の中を整理し、次のステップを踏み出そうとしているんだと思います。

もし、本人が思っていることと違うことを言っても、気持ちが柔らかくなることで自分の本当の気持ちを言います。だから、正確に気持ちを言い当てることではなく、大切なことは、その子が今思っていることを一生懸命考えて、励ましや同情のようなこちらの気持ちを含めずにそのまま伝えることが大切だと思います。

「大丈夫」「できるもんね」という励ましはお子さんの心を動かす力になりえます。でも、いつまでもそれに頼るのではなく、大切なのはお子さんが自分のことを「大丈夫」「できるもん」と心の中で思うこと。「大丈夫」「できる」のような言葉の意味を知り、自信が芽生え始めれば、なるべくこちらからその言葉かけはしません。本人が自分で言うようにします。

本当の気持ちを人に言われることで、客観的になれます。客観的になり、少し自分の中で距離を置いて、頭の中を整理すると、自分なりに解決しようとします。

大人だって正論をぶつけられたり、説得されても反発することが多いです。解決策を自分で知っていて、それでも、何かの理由でしたくないのならば、まずはその理由を否定せず、その理由を伝える。
「共感」は見えることや聞こえたことをそのまま言うのではなく、「こう思っているのかな」とこちらが考えないといけないので、とても大変です。だけど、お子さんが、自分で気持ちを整理し、心の中でスイッチを自分で入ると、迷いながらでも自分で動きます。

今回は、「共感」をお子さんが自分で一歩を踏み出すための心の整理の声かけとしてお話ししていきました。
大人に言われて行動するより、自分で考えて行動に移すお子さんの表情は清々しています。そんな時のお子さんはとても誇らしいですよ。


おおしま かいり