刑事さんが「お待たせしました。準備が出来たので、ご案内します」と呼びに来た。
今日は何回、心臓をドックンとさせるんだろう。
ずっとお化け屋敷にいるみたいだ。
私が立ち上がると、皆して立ち上がろうとした。
が、刑事さんが「親族の方以外は立ち会えません」と言った。
夫の顔を見ると「大丈夫か?」と心配してる表情だった。
私は軽く頷き、口角を上げてみせた。
歩き出そうとすると、やはり叔母がついて来ようとした。
私は慌てて「叔母さん!私1人で確認しますので、ここで待っていて下さい!」
「ううん。○○ちゃんの最後を見に行きたいの。」
そう言った叔母の目はすでに赤かった。
もうこれ以上、言っても聞いてくれなさそう。
もし、叔母が倒れ込んだら私がしっかり支えようと覚悟を決め、二人で刑事さんの後ろをついて行く。
警察署の離れの遺体安置室の前についた。
そこには数人の刑事さんが待っていた。
恐る恐る、中に足を踏み入れる。
目の前にある台の上に妹は乗っていなかった。
「死後四日ほど経っているので、こちらの装置にて温度管理をしています。」と刑事さんの指し示す方へと顔を向けた。
その装置は棺桶のふた回り程の大きさだった。
棺桶同様、顔の部分だけが開いていて、そこから確認する様になっている。
想像していたのと違った。
実際、私がこういう場面に立ち会うのは
これが初めて。
母が亡くなった時に立ち会ったのは妹だったから、話しか聞いてなかった。
妹の話じゃ台の上に母が寝ていたと…。
だから想像と違う今に戸惑ってはいる。
触れる事も出来ないのか…っと思うけれど、
こっちでよかったかもしれないと思う気持ちもある。
「どうぞ、こちらの小窓から確認をお願いします」と刑事さんに託され、小さい脚立を登った。
ドクドクドク…と速い鼓動が全身に響き渡る。
もう体なんて暑いのか寒いのか分からない。
血管が蔓延ってる所がジーンジーン…とする。
走馬灯の様に妹の顔が頭の中で駆け巡った。
私は体を前のめりにし、装置の中を覗き込んだ。
(あっ…)
この瞬間、時が止まったかと思った。