3歳で右目、9歳で左目を失明。14歳で右耳、18歳で左耳の聴力を失う。

全盲ろうにして世界初の東京大学教授になった福島智氏が絶望の中で見出した本当の幸福とは?

 

コミュニケーションはぼくの命。

ぼくの命はいつも言葉とともにある。

指先の宇宙で紡ぎだされた言葉とともに。

 

〈幸福の土台は希望と交わり〉

人は苦悩の中で希望を抱くことで、生きる意味を見いだせる。

人は交わりを伴ったコミュニケーションを行うことで、他者との関係性を生み出し、それによって生きている実感を持てるようになる。

 

〈コミュニケーションの喪失〉絶望と希望の狭間で揺れ動く

盲ろうの世界は宇宙空間に一人だけで漂っているような状態。その真空に浮かんだ私をつなぎ止め、確かに存在していると実感させてくれるのが他者の存在であり、他者とのコミュニケーションです。他者とのかかわりが自分の存在を確かめる唯一の方法だ。ということです。P21

 

「さ と し わ か る か」母は私の指を点字ライターのキーに見立てて、そう伝えたのです。私はたまたますぐに読めましたので、答えました。「ああ、わかるで!」このコミュニケーション方法を私と母は「指点字」と名付けました。のちに、この方法は少なくとも広く公にされたものとしては、世界で初めて私が用い始めた新しいコミュニケーション方法だということがわかりました。P22

 

〈盲ろう者となった自分に生きる意味はあるのか〉

人は無意味には死なないし、死のうとも思いません。無意味に死ぬことを積極的に求める人は一人もいないはずです。おそらく自殺する人であっても、その人なりの何かしらの意味を見出したのでしょう。死であっても意味が必要なのですから、生きるうえでは絶対に意味が欠かせません。また、生きる意味を見いだせれば、生きるという行為は間違いなく輝くはずです。P45

 

 

〈コミュニケーションによる他者の認識が自己の存在の実感につながる〉

他者とのコミュニケーションによって人間は初めて他者の存在を知り、他者の存在を実感します。他者の存在が実感できることによって、初めて私たちは自己の存在をも実感できるのではないかと思われる。P107

 

〈指先の宇宙で紡ぎだされた言葉とともにある命〉

盲ろう者となり自由に言葉を交わすことができなくなって、コミュニケーションが水や空気や食べ物のように、生きるうえで絶対必要なものだなと私は痛感しました。「コミュニケーションは心の酸素」と私は言っているのですが、コミュニケーションがない人は窒息してしまうのです。P113

 

〈指先の宇宙〉

ぼくが光と音を失ったとき、

そこには言葉がなかった。

そして世界がなかった。

 

ぼくは闇と静寂の中でただ一人、

言葉をなくして座っていた。

ぼくの指にきみの指がふれたとき、

そこに言葉が生まれた。

 

言葉は光を放ちメロディを呼び戻した。

ぼくが指先を通してきみとコミュニケートするとき、

そこに新たな宇宙が生まれ、

ぼくは再び世界を発見した。

 

コミュニケーションはぼくの命。

ぼくの命はいつも言葉とともにある。

指先の宇宙で紡ぎだされた言葉とともに。

 

株式会社イーチアザー

私たちは、身体に障がいのある人・病気の人・ご老人・妊婦・こどもなど、
社会的に弱い立場にある人達をいたわる社会が実現するような活動を行います。