「何かあったらいけないから、部屋の中に入ってみてくれ。」

 
 
と部長に命令された温水課長と私。
ここで一言、
 
 
「それは辞めた方が…
私なら、知らない間に会社の人に家の中に入られるのは嫌です。」
 
 
 
というと、
 
 
 
「だから尚更おかしいじゃないか。
家まで行くと何回も留守電に入れたり、電話をしているのに応答が無い。
部屋で倒れている可能性だってあるぞ!
 
 
 
って言われて、
んじゃ、部長が自分で行ってくれよ!
って心底思いましたが、結局、温水課長とお部屋に入る事になりました。
 
 
 
ただ、大家さんに事情を話したら、
「本人もしくは家族の許可が無いと、部屋の鍵を渡せない」
と言われ、そこから女性のご家族にも連絡を取り、
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
なんだかおおごとになってきたぞ…滝汗
 
 
 
 
 
と。
最後にもう一度だけ、
「今から部屋の中に入るので、
もしこの留守電を聞いていたら、折り返し連絡くださいあせる」と入れました。
正直、私は、
部長に怒られて仕事が嫌になって、彼氏の家にでも行ってるんだろうって。
もしくは実は有給で携帯を家に置いたままリフレッシュがてら田舎の方にでも行っているんじゃないか、って。
ポストにチラシも溜まっていたし、これだけ「家に行く」と行っているのに連絡が無いって事は、自分の家にはいないんだろうって内心思っていたので、
 
 
 
 
 
 
 

 
だから、部屋に入った時の光景を見て唖然としました。
 
 
 
ご家族の許可を取り、大家さんも一緒に部屋のドアを開けると、
外は快晴なのに、カーテンを閉め切っていて、部屋の中は薄暗い状態でした。
 
 
 
「…いらっしゃらないですね。
一応、電気付けますか?」
 
 
 
と言って電気を付けると、私はまず台所に目がいきました。
シンクに食べ終わった食器がいくつか入っていて、「あ、イッタラのお皿かな?」とかどうでも良い事を考えていたと思います。
そのあと、遠くに見える机の上に空のグラスと手紙があるのを確認して、そのまま部屋の一番奥のベッドに目をやりました。
綺麗に布団が敷かれていて、
やっぱり部屋にいないじゃん。と。
靴を脱いで部屋の中に入るまでもなく、お部屋は明らかにもぬけの殻でした。
 
 
「やっぱりいないですね。」
 
 
 
って言おうとした瞬間に、
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「おい!
あれ…もしかして髪の毛じゃないか…!?」
 
 
と温水課長が私の肩を揺すりながら少し大きな声で言ったので、ビックリして、
 
 
 
「なにが!?どこに!?」
 
 
ってテンパリ過ぎて思いっきり課長にタメ口で答えると、後ろから大家さんが、
 
 
 
「ほんとだ!
あれ、髪の毛です!!あそこです!」
 
 
 
と言って指をさしたので、慌てて振り返りました。
 
 

 
→続く。
 
  


完全に自分用ですが…癒しグッズです照れ


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