聖骸布血盟・上

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 読んでいたのは2月で、まさに渦中の場所だったのに、それには全く気がつかなかったという『聖骸布血盟・上』(フリア・ナバロ 、白川貴子訳/ランダムハウス講談社文庫)。


 トリノが舞台です。
 オリンピック開催地だったのでTVのトリノ特集も多かったはず。(私は見ませんでしたが、「世界不思議発見」で聖骸布の謎をやったって本当?)
 たぶん、TVや雑誌で一度はご覧になった方も多いと思います。トリノの聖骸布。
 キリスト教世界には、山ほどイエス・キリストの聖遺物というのが存在しますが、その中でもトップクラスの知名度でしょう。
 麻布に浮かび上がる男性の姿。その姿はイエスと同じ場所に傷があり、処刑後、イエスの体を包んだとされています。
 1988年に行われたC14炭素測定法による検査で聖骸布は1260年代から1390年代のもの、と測定されましたが、依然、トリノの聖骸布は謎に包まれているのです。


 キリストの聖骸布が保管される、トリノ大聖堂で火災が発生。焼跡から発見されたのは、“舌のない男”の焼死体だった。その2年前同じ聖堂で逮捕された窃盗犯にもやはり舌がなく、指紋もすべて焼かれていた。
 美術品特捜部部長マルコは、二つの事件の関連を疑い捜査に乗りだす。
 だがこれは、やがて世界を震撼させる恐ろしい陰謀劇の序章にすぎなかった……。
 聖骸布をめぐる謎と歴史のうねりが織りなす、歴史ミステリ巨篇。


 この物語は、聖骸布をめぐり、過去と現代が交錯する物語です。
 過去との交錯というと私の大好きなゴダードがよく使うのですが、ゴダードの幽玄さに比べたら、もっと輪郭がくっきりした感じ。過去の方が鮮やかに感じるくらいです。
 現在編との違いを考えると、過去話の登場人物はイエスの教えに殉じてる人であることが大きいような。


 作者はスペイン人で(ということは、たぶんカトリックだと思われる)、英米とはまた違ったキリスト教観になるんじゃないかと思うので、後編も楽しみ。