先般から、2回、石原TPP担当相に対して、「TPPの国内実施法は、3/8に閣議決定されたもので必要かつ十分であり、それ以上の立法措置は絶対にやらないということでいいか。」という問いをしました。映像は1回目(後半のみ)2回目をそれぞれ見ていただければと思います(ページの緒方林太郎をクリックしてください。)。

 映像を見ていただければ分かりますが、石原大臣の答弁は全く要領を得ません。想像するに「そういうことは想定していない」と書いてある答弁書を渡されているのだと思いますが、何を想定していないのかがよく分かっていないので、全然関係ない答弁を自信満々にしています。さすがに議場にいた議員は苦笑していました。

 一例として、「TPPはガラス細工だ(から、もういじれない)」という答弁ですが、そんなことは分かっています、私は協定の再交渉の話をしているのではありません。「お願いだから、その手元にある答弁書をそのまま読み上げてくれないですかね。」と何度も言いそうになりました。あと、ちょっと理屈っぽいですが、今回の国内実施法はTPPの義務及び国内対策のために「必要かつ十分」かと聞いたのですが、石原大臣は、「必要条件」と「十分条件」の違いをご存じなかったようです。大学受験数学で必ず勉強するものですが。

 ということで、あまりに要領を得ないので、質問主意書を出し、今日、答弁書が返ってきました。

【質問(環太平洋パートナーシップ協定の国内実施法に関する質問主意書)】
三月八日に閣議決定された、環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案について、次の通り質問する。

一.同法律案は、環太平洋パートナーシップ協定において規定される義務の履行のため、及び同協定によって生ずる影響に対応するために、必要かつ十分なものであるか。
二.同法律案が成立した後、環太平洋パートナーシップ協定において規定される義務の履行のため、又は同協定によって生ずる影響に対応するために、追加的な立法措置を取ることはあり得るか。
右質問する。

【答弁】
一及び二について
環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案は、環太平洋パートナーシップ協定(以下「TPP協定」という。)を実施するために必要不可欠なものとして、関連する国内法の規定の整備を総合的・一体的に行うものであり、TPP協定に規定する義務を履行するため必要かつ十分な内容であり、その義務を履行するために追加的な立法措置は不要であると認識している。
また、同法律案は、TPP協定によって生ずると現時点で想定される影響に対応するためにも必要かつ十分な内容となっていると認識している。

 なかなか踏み込んだ答弁だなと思いました。というか、石原大臣もこれをそのまま読み上げれば良かったのに、と思います。アメリカのサーティフィケーションの仕組みの中で、日本の国内措置で不十分だとみなした部分を指摘して、追加的な国内立法措置を求めてきたとしても、それは「不要」と言い切っています(サーティフィケーションについてはココ)。これくらいは言ってくれないと、国会審議などできません。

 では、本件については、問題解決かというとそうでもありません。「不要」だと言っているのは「立法措置」だけです。それ以外の法改正を伴わない諸文書の存在は否定していません(聞いていないからですが)。例えば、(法改正ではなく)協定分の解釈を確定させるための口上書の交換を通じて、アメリカの追加要求に事実上応じるといった可能性はまだあります。ここは同僚の玉木議員や福島議員とも協力の上、更に明確にしていきたいと思っています。

 国会審議前に捌かなくてはならないテーマはまだまだあります。きちんと審議をする前提条件は整えたいものです。