政府調達でもう一つ。いつも昔から気になっているものの一つとして、国際競争入札対象機関の清掃サービスはどうなっているのだろうか、ということがあります。政府調達協定で清掃サービスは対象になっており、かつ、日本は国際競争入札に付さなくてはならない対象機関が他国に比して広いです。


 清掃というサービスはどんな建物でも必要であり、清掃員の方は少々の場所でも入っていくことになります(それ自体はサービスの性質上、当然のことです。)。しかし、中央官庁のみならず、各都道府県庁、政令指定都市庁、独立行政法人、国立大学法人、一部のかつての公社等(NTT、JR、郵政、JT等)まで対象なわけですから、その施設にかなりの自由度を持って入ることができる清掃員の業者の方について、本当に無防備な国際競争入札でいいのか、もっと言えば、邦人企業であったとしても、その社員(派遣社員を含む)の背景についてはよく精査すべきであると思います。端的にいうと、安全保障から経済についてまで幅広い分野でのスパイのおそれがあり得ると思うのです。


 今、政府調達協定には米欧に加え、イスラエル、韓国、台湾、香港、スイス、カナダ等も入っています。そういった国の企業が、条約上は自由に一定額以上の清掃サービスに参入できるわけです。協定には安全保障除外等がありますので、ある程度の所は除外しているはずですが全部ではないでしょう。自分達が対外的に秘密を扱っているという意識の低い行政機関はまだまだあります。


 勿論、外資だからスパイの恐れがあり、国内企業だからそういう恐れがないなんてことはありません(私はそういう外国嫌いの発想には絶対に立ちません。)。日本のエージェントを間に噛ませれば、そんなものはすぐにクリアー出来ます。最終的には、雇用主が邦人企業であろうと、外資系であろうとも、清掃サービスに入る人間の個々の身元チェックというものが大事になります。


 ただ、あくまでも一般論として、アメリカの行政機関の清掃に日本の清掃業者が入っていけるとはとても思えません。それは客観的に大した秘密を持っているとも思えない行政機関でもダメでしょう。それは特に外資悪玉論とかいったことではなくて、最低限の安全保障であると思いますね。


 昔、ある大使館で、恐らく清掃関係者であろうと思われる人物が大使室の机の引き出しを開けようとした形跡が発見されたことがありました。清掃関係者というのは、その派遣された施設の中でかなり自由度が高く動くことができ、かつ、普通に仕事をしていると強く意識しないので、注意が至らないことが多々あります。


 「議員会館って、どうだったっけな」と思います。