岡田副総理が「役所による議員への質問取りについて見直したい」と話していました。正しい問題意識だと思います。この負担軽減がなされれば、役所の仕事は2-3割は確実に削減できます。


 国会では委員会の質問者が決まると、質問者が「こんな感じの質問をしようと思います」と概要を役所に連絡します。すると、役所から課長補佐、係長クラスが「んで、具体的にはどんな内容ですか」と聞きに来ます。これをレクと呼んでいます。レクの中では、誰に質問するのかということまで細かく調整をします。私は与党議員ですから答弁内容重視で、基本的に誰が答弁しようがあまり関心がないので「誰でもいいですよ。政府参考人答弁はどんどん答弁者になって構いません」と言うようにはしています(野党議員になれば少し変わるかもしれませんが)。そして、それが終わったら役所は答弁作成作業に入っていきます。


 これだけだと「大したことないじゃないか」と思うかもしれません。主な問題点は2つ。一つ目は、委員会が立つかどうか、質問者が誰になるかといった話が決まるのが遅い、二つ目は実際にレクが始まるのが遅い、この2つの要因のせいで役所は多大なる残業が求められます。


 ただ、一つ目は日程そのものが国会対策の駆け引きになっている現状では、解消のための妙案が思い浮かびません。委員会開会は2日前に必ず設定する、なんてことがルールとして可能になればいいのですが、今の国会ではちょっと難しいです。


 ということで、二つ目の点の解消について私なりの解決策を提示したいと思います。これらを組み合わせればかなりスピードアップできるはずです。


1. 質問出し時間の公開
 これは心理的な要素に関わりますが、バッター立ちが決まってから実際にレク開始までの時間を内閣官房のサイトで公開するようにすれば、議員は心理的には「急がなくては」と思うはずです。議員側の反対は強いような気がしますが、かつて自民党政権でも検討したことがあったように記憶しています。


2. 電話会談形式
 これはいつかチャレンジしたいと思いつつも、なかなか実現しないものです。いわゆる多数の人間が入ってくることが出来る電話会談のシステムで、議員+関係省庁の担当者全員でレクをやるということです。
お互いの顔が見えないというハンディはありますけども、わざわざレクのための議員会館まで来る必要がないというメリットはかなりあると思います。

 問題は電話会談のシステムの費用負担を誰がやるかということでして、数十人が入ってきて、30分くらい電話会談をやると5000円近い追加負担(除電話代)が生じます。これを実現すれば、役所側の負担軽減は5000円なんてものではないのですが、かといって私が負担しようという気にもなりません。いわゆる公共財的な意味合いがあるので、役所と国会でシステム整備してくれないかなと思ったりもします。


3. スカイプの活用
 2.と同じなのですけども、複数の者で入ってくることが出来るスカイプを活用してレクをやるというのも一案かと思います。少しPCのシステムが重くなるという弊害はありますが、顔が見えるということとタダであるというメリットがあります。ただし、役所は外部のソフトのダウンロードが厳しいらしいですから難しいのかもしれません。


 ともかく、私も役所時代幾度となく質問取りで待たされました。レクが1時間遅れるだけで霞が関全体で数十万円以上の追加負担が生じます。それはすべて税金から出る残業代で賄われます。だからこそ、自分自身のレクが遅れることによって、役所の残業時間、タクシー代を増やすというのは言語道断と思わなくてはなりません。役所を長い時間待たせて困らせることが政治主導だと言わんばかりの狂った議員が時折います。そういう議員は本当に首を絞めたくなります。


 私はこれまでレクが遅かったことは一度もありません。質問の中身は大したことがないかもしれませんけど、この姿勢だけは自慢しています。行政改革を語る議員は質問出しをできるだけ早くやるべし、当たり前のことです。