既に何度も宣伝してますが、先月26日に予算委員会第六分科会で質問をいたしました。文字にするとこういう議事録になります。自分で読んでみて「ああ、こういうふうになるのか。」と妙な感慨があります。国会の議事録は基本的に発言したままを書き残していただきます。ただ、「あのー」とか「えー」は残らないようになっています。きっと、衆議院記録部の中で議事録作成の内規みたいなものがあるのでしょう。なお、衆議院と参議院では速記のあり方についても若干の違いがあり、速記者の育成システムからすべて異なっているそうです。そういうところは効率性の観点から統合しないとねぇ、といつも思っています。


 議事録の内容については、そんなに変なことを言っているつもりはありませんが、一部「舌禍の要素があるから気をつけろよ」というご指摘は賜っています。素直に受け止めたいと思っています。


 色々と言い訳はしません。すべて転載します。ご批判はそのまま承ります。


【議事録】

○緒方分科員 民主党、緒方林太郎でございます。
 この第六分科会で質問させていただく機会をいただきまして、本当にありがとうございます。そして、お忙しい中、小沢大臣を初めといたします各省政務三役の皆様方にも御礼を申し上げたいと思います。
 まず一番最初に、少し大きな話から、気候変動枠組み条約での二五%削減ということでございます。
 これは釈迦に説法でありますが、一九九〇年比で二五%ということでございますが、御承知のとおり、これをすることによってだれが一番得をしているかというとヨーロッパでありまして、EUが冷戦直後の共産主義の非効率な施設をたくさん抱えていることによって、一九九〇年比であっても、当時、京都議定書での八%というのは比較的楽にやれたという事実であると思うんです。逆に、日本は、そこは乾いたぞうきんを絞るような状況での六%ということで、非常にきつかった。
 これは、環境問題というよりも産業政策ということでひとつ考えていただきたいと思うんですが、私の町、北九州は鉄鋼産業が非常に強い町でございまして、鉄鋼産業の世界の構図を見てみると、今一番大きいのがミタル・アルセロール。ミタル・アルセロールという会社は、半分ぐらいがヨーロッパで鉄を生産していて、半分は全然、途上国でやっている。ほかの鉄鋼産業で大きなところというと、中国、韓国、アメリカ、どこも制限がかかっていない。ヨーロッパで制限がかかっているミタル・アルセロールも、制限が結構緩い。そうすると、日本だけが、日本の鉄鋼産業だけが何となくばかを見ている感じが非常にするわけであります。
 私は交渉の戦略としてぜひお考えいただきたいと思うのが、一九九〇年、もうこのゲームに乗っている国というのはEUだけです。世界全体で見ても、これはヨーロッパのゲームでありまして、こんなものは廃棄して、アメリカ、中国も、最近出てきた提案というのは、すべて二〇〇五年とか二〇〇三年とか、そういった年での計算。当然です、一九九〇年というのは今から二十年前で、もう今はそれでやる必要ないと思うんですね。やはりEUというのを、連携することも必要なのかもしれませんけれども、私は、締め上げることがあってもいいと思うんです。
 EUというのは、環境の分野で、彼らはビューティーコンテストが得意でありまして、いかに自分をビューティフルに見せるかということに物すごく意を用いているというのが私の率直な感想です。日本はそういうところがなかなか苦手なわけでありますけれども、やはりここは、日本は、EUだけではなくて、アメリカとか中国とかと連携をして、そろそろ基準年を、例えば二〇〇五年、二〇〇八年、二〇一〇年、どこでもいいと思います。
 日本の方針として出している、世界全体で公平な負担をというときに、まずもって、この一九九〇年に設定していること自体がEUとの関係で公平な負担になっていないと私は思うわけでありますが、小沢大臣、いかがでございますでしょうか。


○小沢国務大臣 委員の御指摘のような議論というのは、私もよく承知をしているところでございます。
 大事なことは、いわゆる削減していく目標数字、本当にCO2を削減していく、こういうことに関しては、二〇二〇年、九億二千八百万トンまで下げなければいけないという意味では、九〇年比でいえば二五%になりますし、二〇〇五年比では三〇%になりますが、そこの削減すべき量に関しては同じだということですね。
 ただ、それが責任問題というような話になっていって、さらにはまた、それでクレジットというような形で、各国がもし達成できない場合にはそれを買っていかなければいけないという数字に関して言うと、そこのところは、今委員が御指摘のように、EUは、九〇年であればかなりそこは容易であるし、二〇〇五年だときついとか、そういう話になってくるわけであります。そこは、まさに国際交渉のポイントになるわけであります。
 ですから、私としては、私は今、環境省としての思いは、日本が国際貢献で削減していく目標というのは、九〇年比でも二〇〇五年比でも同じなので、そこは変わりません。ただ、国際交渉をこれからやっていく上ではどういうふうにしていったらいいのかということに関しては、外務省を初めとする、きょうは経産省の増子副大臣もいらっしゃっていますが、そういった関係省庁と今後よく協議をして、これから対応ぶりは考えていかなければいけない、こう思っておるところであります。
 いずれにしても、しかし、表示に関しては、最近は、九〇年比幾つ、二〇〇五年比幾つという両論併記も私どももやらせていただいているところでありまして、最後は、いわゆる国の責任を決めていく最終段階の国際交渉のときにどの物差しを使っていくかというのは大変重要な外交交渉の一つだ、こう思っております。


○緒方分科員 ありがとうございました。
 どうしてもやはり地元で話を聞くときの、アルセロールとの競争ということで、そういったお声を賜ることが本当に多いし、私も昔外務省に勤めておりましたので、EUの人たちがどういう人たちかというのは大体わかるわけでありまして、非常にビューティーコンテストの得意な、こういう場で言うのがいいかどうかわかりませんが、非常にこうかつな人たちなので、お気をつけくださいというのが率直な気持ちです。
 ちょっとテーマをかえたいと思います。
 我が町は、環境モデル都市ということで、今、環境省そして経済産業省とさまざまな形で協力をしながら環境問題に取り組んでいます。もともと、七色の煙とか死の海とか言われたものが町中で取りざたされ、私の生まれたころはもうそうではなかったですが、少し前の写真などを見てみると、本当に黄色、赤、青、そういう煙が出ていて、それを克服するために、環境で頑張ろうと。その意識は、我が党の元国会議員であります北橋健治市長以下皆で、本当にこれほど環境に入れ込んで頑張ろうという町は全国にないんじゃないかと思うぐらい頑張っているわけであります。
 その関係で、今いろいろな取り組みの中で、一つスマートグリッドというものに取り組みをやっていきたいというのが、これは北九州での今本当に大きなテーマになっておりまして、町の人がこれだけスマートグリッドという非常に技術的な話を知っている町というのもそんなにないんじゃないかと思います。ハイレベルの送電網であるとかそういったものを整備することによって、恐らくこれから、太陽光エネルギーであるとか風力であるとか、そういったものから出てくるさまざまなエネルギーをいかにうまくマネージしていくかということで、本当に町中での関心が高い。
 今、実証実験について、経産省の方で応募が進んでいるというふうに伺っています。まだ応募が進んでいる段階なので、増子副大臣の方から、よし、おたくでやりますよと言うことは難しいということは重々承知をしつつ、町全体で一生懸命頑張りますので、副大臣から温かい答弁をいただきたいと思います。


○増子副大臣 緒方委員からここで御陳情いただいたような感じがいたしておりますが、北橋市長は、かつて私たちと一緒に政治改革を含めて頑張ってきた仲間で、今、環境モデル都市として、北九州、新しい都市づくりに邁進していること、心から敬意を表しております。
 その中で、緒方委員の方からもございましたスマートグリッド、まさに今環境大臣の方からもお話がありましたとおり、CO2削減二五%を目指して低炭素社会をつくる中で、再生可能エネルギーを導入することは極めて重要な課題でございまして、その中で、スマートグリッドというものを私たちはきちっと整備しながら、新しい都市づくりを進めていきたい。
 ただ、これは単なるエネルギーだけではなくて、交通インフラの整備だとか、さまざまな熱効率の有効活用とか、あらゆるものを活用しながら、新しい都市づくりをしていくときに、スマートコミュニティーという形の名前のまちづくりを私たちは進めていきたいというふうに思っております。これについては、経産省はもとより、環境省やあるいは総務省を含めたさまざまな省庁と連携をとりながら、一つのモデル都市をつくりたいというふうに考えております。予算も、まあまあの予算を確保いたしております。
 全国的には、今、大体まだ、締め切りはきょうになっておりますので、正式には数が確定いたしませんが、多分、今のところの私どもの予想では、二十から三十ぐらいの都市が最終的には申し込みをされてくるのではないだろうか、そんな気がいたしております。その中から私どもとしては、限られた予算の中でどれだけ有効なスマートコミュニティーのまちづくりというものをやっていくか、その中でスマートグリッドというものを実証実験するときに必要なものかということになれば、できれば四つか五つぐらいの都市を選定して、新しいまちづくりの実証をスタートしてみたいというふうに思っております。
 北九州も多分名乗りを上げていただくんだろうというふうに期待をいたしておりますので、十分他省庁とも連携をとりながら、我が省としても精査しながら、この指定をしながら、新しいまちづくり、低炭素社会に向けた環境対応のまちづくりに私どもは努めていきたいというふうに思っております。


○緒方分科員 ありがとうございました。
 本当に町中で、市長、市議会議員、県議会議員、さらには市の商工会議所、青年会議所と、皆で全力で頑張っていく所存でございますので、御高配よろしくお願いを申し上げます。
 そしてもう一つ、環境モデル都市ということで、今、我が町が頑張ってやろうとしていることの中に、アジア低炭素化センターというプロジェクトがございます。
 これは、既存の寄せ集めということではなくて、新規に、アジアに向けて、これまで我々が培ってきた技術であり、そして人材でありといったものを移転することによって、アジア全体で、北九州はアジアに向けたゲートウエーということでも頑張ろうとしておりますので、アジア低炭素化センターという形で、先ほど言いました環境モデル都市のプロジェクトの一つとして、まだ端緒についたばかりのところでございますけれども、これは外務省と協力して、経済協力の部分もあると思います。そして、総務省と協力する部分もあると思います。しかし、やはりその中核となるのは環境省でございまして、まだ詳細が伝わっていないところはあるかもしれませんが、我々の取り組みをぜひ御理解いただきまして、後押しをしていただければと思っております。
 政務官の方から一言いただければと思います。


○大谷大臣政務官 政務官の大谷でございます。
 北橋市長を先頭にしての北九州の取り組み、本当に敬意を表したいと思います。
 日本が環境立国となってソフトパワーを拡大していくという局面からも、北九州に頑張っていただいて、日本の国内のお手本、そして何よりも、アジアの中でこんな取り組みをすることができるんだというお手本をぜひとも示していく、そんな大切なセンターになるのであろうと思っております。
 平成二十二年度にできていくということで、今まさに構想から実行に移っているところだと思いますので、やりとりをさせていただきながら、可能な限り、協力連携を探っていきたいというふうに思っております。


○緒方分科員 ありがとうございました。多分、恐らく、北九州市、聞いて喜ぶのではないかと思っております。
 今、アジアへの取り組みということで、ここから先があるわけでございますが、北九州市だけでこれから中長期的に、構想としては二千三百四十万トンのCO2削減を実現しようということで、非常に高い数字を抱えているわけであります。ただ、ここからは、先ほど柿澤委員の方からもありましたが、やはり、せっかく外国でいいことをやる、外国でCO2の削減をやるからには、それを幾ばくかでもクレジットとして国内に持って帰ってくるべきである、私はそう思います。
 そして、先ほど柿澤委員の方から、CDMがなかなか使いにくいところもあるということでございましたが、このCDMの使いでをよくしていくための国際交渉については、先ほど小沢大臣の方からの答弁がありまして、ぜひ頑張っていただきたいと思いますが、これは地方の方から見ておりますと、最後は国連まで書類を上げて、英語でドキュメントを書いてというのは、なかなかハードルが高いというのが正直なところであろうと思います。
 地方自治体の中でも、国際協力をやりたいなと思っている地方自治体というのはたくさんあるわけでありますが、では、それを国と国との外交交渉にまで高めていって、それを国連に上げてCDMで持って帰ってくるということになると、一地方自治体の力になかなか負えないようなところがあると思います。
 これまでも、実態ベースで、環境省を中心として経済産業省、さらには外務省ということで対応をしていただいているようなところもあるというふうに質問通告の際にお伺いをしたわけでありますが、やはり政府全体として、窓口をばしっとつくっていただいて、ノウハウを蓄積していって、こういうものというのはだんだんなれてくると様式が例えば一定化してくるとか、最初のうちは試行錯誤だと思いますけれども、そういう窓口をしっかり設けることによって、地方自治体が、ああ、そんな道があるのかと。国際協力しようと思ったら、それがお国の役に立ち、場合によってはクレジットを地方に戻すということもあるのかもしれません。
 地方同士でやったものを国同士に上げて、国同士で交渉して、クレジットをある程度とったら少し戻しますよというような、そういう体制づくりというのが私はあっていいのではないかと思いますし、逆に地方からすると、そういう窓口でもないと、どこに相談したらいいのか、きっと環境省なんだろうけれどもというので、これは予算が物すごくかかる話でもないと思いますので、少し各省で協議をしていただいて、地域間協力を促すような、一生懸命促すような、そういうインセンティブづけをする意味も込めて、窓口をつくっていただければなという思いがありますが、環境大臣、いかがでございますでしょうか。


○小沢国務大臣 委員の御指摘、十分理解をするところでございます。
 二点申し上げたいと思います。
 一つは、先ほど柿澤委員との議論も、お話がありましたが、CDMをできるだけ使い勝手をよくしていく、あるいはまた、我が国にとっても、それが産業界あるいはまた地方自治体が頑張ることによって、そういった形でのインセンティブになるようなものにしていく、こういう話が重要だというのが一点でございます。
 それからもう一点は、実は、今もお話の中にありましたが、既に環境省としてはそういった窓口は設けているわけでありますが、結論からまず最初に申し上げますと、委員から御質問もこういうふうにあるように、多くの皆さんたちになかなか知れ渡っていないというところはあろうかと思っております。でありますので、大いにここはさらに頑張ってまいりたいと思います。
 その上で、実態だけ申し上げておきたいと思いますが、環境省は、平成十五年から、京都メカニズム相談支援事業というのを行っておりまして、そこでCDM事業に関する相談窓口を設けております。
 具体的には、社団法人の海外環境協力センターというところに委託をして業務を行っておりまして、ウエブサイトへのアクセス件数は一応年間十九万件ある、こういう話なんですね。実際に相談として行った件数は、年間二百八十件。
 その中には、北九州の、いわゆるインドネシアでの廃棄物コンポスト事業という話もございまして、その相談も行った。しかし、当時はコンポストがCDMの対象になっていなかったので、それは成立しませんでしたけれども、そういった経緯もあるようでございます。
 いずれにしても、まだまだ、もっと広く知らしめてというのはそのとおりだと思っておりますので、努力したいと思います。


○緒方分科員 ありがとうございました。
 本当に地方で、やはり私も自分の町から二千三百四十万トンと聞くと、そんなに頑張るのならという気持ちがありましたので、そういうところを後押ししていただければと思います。
 そして、もう一つ環境の問題で、増子副大臣の方にお伺いをさせていただきたいんです。
 現在、この呼び名が私は好きじゃないんですけれども、くず鉄の金額が下がっていないんですね。国内での建築需要がまだ景気の関係でそれほど高まっていない中、うちの町にはいろいろな形のくず鉄、くずという言葉がよくないと思いますけれども、スクラップしてリサイクルするというシステム、工場があったり、そういう業者の方がたくさんおられるわけですが、緒方さん、下がらないんですよと。何でですか。中国と韓国に出ていっているんですと。
 中国と韓国にどんどんくず鉄が出ていって、自分たちは、本来であれば日本の国内で、これは貴重な資源だから、この貴重な資源、日本が持つ貴重な資源の一つだと思います。これが、売れるから売るけれども、本音としては、これがどんどん外国に出ていっていることに対して、内心じくじたる思いというのは実はあるんだ。本来であれば、トン当たり二万円ぐらいまで下がるんじゃないかと思っていたら、いまだに三万二千円ぐらいで売れるから、ありがたい、ありがたいと思って売っていると。
 実は、くず鉄をもう一度鉄に直すとき、電炉で処理をするわけでありますが、これは、通常の高炉で鉄をつくるよりも、大体CO2の排出量が四分の一だと言われています。CO2削減の観点からも、このくず鉄というものを国内で使っていく。今、くず鉄でつくる鉄の、なかなか品質が、今一生懸命それを改良しているというふうに伺ってはいますけれども、そういったことも含めて、日本の貴重な資源であるこのくず鉄を有効に使っていく。できれば外国に余り出ていかないように、私は質問通告のときは、輸出税や輸出クオータを課してはどうかなんというちょっと無理筋なことを言いましたけれども、そこまで行かなくても、CO2削減の観点から、そして日本の貴重な資源を守る観点から、このくず鉄を産業政策、環境政策の中心に置いていただけるようにお取り組み願えないかと思います。
 増子副大臣、いかがでございますでしょうか。


○増子副大臣 お答え申し上げます。
 緒方委員御指摘のとおり、大変、くず鉄がどんどん海外に流出しているということ。ちなみに、平成二十二年の二月の第四週、直近の平均価格が二万九千百三十一円というふうになっておりまして、一時よりはかなり下がりましたけれども、それでもまだおっしゃるとおり結構高い値段だ。今まで、韓国、中国、台湾に、平均五百万トンぐらいの輸出でしたが、ここに来て、九百万トン近くに実は輸出量がふえているということ。それは、とりもなおさず、国内の景気が極めてここしばらく悪かったということが大きな原因でございます。
 何といっても、このくず鉄を初めとした鋼材は我が国にとって大変重要な材料でございますから、これらを何としてでも国内にとどめるような政策を私どもしっかりと取り込んでいかなければならない、そういうふうに思っております。
 アジアでは鉄スクラップの需要が拡大する一方なので、なかなか国内の景気がよくならないと、そこに私どももとどめ置くことができないという大変大きな問題がありますので、まずは景気回復のために、全力を尽くして景気拡大に努めていきたいということを考えております。
 一方で、より高級な鋼材の生産においても鉄スクラップというのは極めて重要であり、その利用促進を進めるように、私どもとしては、品質を向上させること、あるいは研究開発をさらに進めていくということ、これらをあわせて、今後ともこうした取り組みをとりながら国内での需要をふやすための最大限の努力をしていきたい。今お話しのとおり、環境との関係もございますので、この鉄スクラップ、くず鉄の国内需要がさらに促進されるように、今申し上げたとおり、景気回復と同時にさまざまな品質向上や研究開発も含めて取り組んでいきたいということで考えておりますので、御理解のほど、よろしくお願いをいたしたいと思います。


○緒方分科員 ありがとうございました。
 環境ということでも、少しテーマの違う話をさせていただきたいと思います。
 イギリスに、世界遺産でキューガーデンというところがございます。これはなかなか立派なお庭でありまして、ここは何で世界遺産になっているかというと、実は、世界じゅうあちこちから植物であるとか種子とかいうものを集めて、そのコレクションが物すごい。これは、実はイギリスが大英帝国時代の植民地政策の一環でもあったというふうに、例えば、アフリカでとれた何かをインドに持ち込んでインドで栽培してとかいう話、植民地政策の一環から進んだものであるというふうにも思いますが、今、いろいろな形で、希少な植物、そして種子、種苗、そういったものが絶滅していこうとする中、国策としてこういったものをやっているというのはすごいな、さすが大英帝国だなと私は思ったわけでありますが、我が国でも、やはり今、種苗さらには植物、そういったものを日本の財産として確保するようなことというのが、生物多様性ということからも、あってしかるべきじゃないかな。
 これは本当に一大プロジェクトになると思います。そして、農林水産省の所管物資であったり環境省の所管物資であったりといろいろ分かれているところはありますが、国全体としてこういった取り組みの力をマックスにできるようにお取り組み願えないかなと思いまして、まず、佐々木政務官の方からお願いいたします。


○佐々木大臣政務官 種の保存ということはまさに国家戦略だ、私もそのように認識をいたしております。
 私も、つい先日、つくばの研究所を視察させていただきましたが、そこの農業生物資源研究所というところが中心になって、農業生物資源ジーンバンクというものを今組織してございます。ここジーンバンクでは、植物、微生物、動物、DNA、こうした部門でそれぞれ組織をさせていただいているところでありますが、このバンクではこれまで、植物で二十四万三千点、微生物で二万六千点、動物で九百八十九点、DNAで二十八万点程度の遺伝資源の保存、そして管理を行っているところでございます。
 ここを視察させていただいて、基礎研究というもの、あるいは原種の保存というところは、やはりこれは国がやらなければならない大切な分野だと私は思うんですね。それを、今度、具現化していくといいますか具体化していくというのが、むしろ都道府県とかそういったところの研究所にお願いをして、こうした資源の提供を行って、そして新品種や新商品開発をしていく、やはりこういうシステムが必要なのではないかというふうに思ってございます。
 これらの収集、保存、さらに強化を図ってまいりたいというふうに考えております。


○緒方分科員 本分科会は環境そして農林水産ということで、最後に一つだけ、WTO農業交渉についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 私は昔、外務省側でWTO農業交渉担当課長補佐をやっていたこともありまして、思いが深いんですが、今、農業交渉の中で大きなテーマとなっているのが、重要品目、センシティブプロダクトと言われるものをどれだけ指定するかということなんです。
 一つ大きいのは、センシティブプロダクトというのはもう政務官は御承知なのであえて説明をいたしませんが、関税の下げる幅をちょっと免除してあげるかわりに、割り当ての量を少し多く出してくれよというようなシステムだと思いますが、私、米をこれに入れるかなと。
 今の米の税金の輸入するときのあり方というのは、一次税率無税、マークアップをつけて、そして二次税率がキロ当たり三百四十一円ということで、通常の今のテキストのルールであれば、七割削減ということであればキロ当たり百二円まで下がってくるわけでありますが、これで持ちこたえられるかどうかという議論。
 あともう一つは、この削減幅を少し、百二円まで下げずにもうちょっと免除するかわりに割り当ての量を拡大するというと、大体消費量の四%を拡大するということですので、今七十六・七万トンですと、百十四万トンぐらいまで割り当ての量が拡大するということになるわけでございます。
 実は、一九九五年に、政府統一見解ということで、食糧部による国家貿易については、内外価格差が高くて、国家貿易である以上は全量輸入するのが基本的にWTOの考え方であるということで政府答弁があるわけですけれども、そうすると、百十四万トン、今ですら、七十六・七万トンですら、国内の市場にどれだけ圧力をかけずに頑張るかということで農林水産省は頑張っておられると思うんですが、これが百十四万トンという数字になったときには、これはどんなに、仮に例えば飼料米に回すということになったときには、特別会計はもう破綻するんじゃないかと思うぐらいであります。
 そうすると、では、本当にそうやって重要品目というものに米を入れていくことが日本の国益との関係で一番最善の選択なんだろうか。実は、自民党の政権の時代に、たしか石破大臣が、何でもかんでも重要品目をふやすんじゃなくて、重要品目をふやすというのは関税割り当ての拡大と見合いなんだから、そこは何でもかんでも重要品目をふやすということじゃないんだよということを言ったら、自民党の農林の方にぼこすかたたかれて、撤回をしたということがございました。
 けれども、この議論というのは私は本当にやるべきだと思います。交渉の話が絡むので、今、政務官の方から、では、それでやりましょうという答弁が返ってくるとは到底思っておりませんが、ぜひ、この真摯な議論、農林水産省の中でもう一度やっていただければと。今何か具体的な答弁ということではなくて、お願いということでお話をさせていただきたいと思います。政務官、いかがでございますでしょうか。


○佐々木大臣政務官 委員もおわかりで質問をしていただいているというふうに思うんですが、言われるとおり、量と関税、この両面から今いろいろとWTOの中で論議をしているところであります。
 今、いわゆるルールの論議をWTOはしているところでありますので、言われるとおり、なかなか具体な話に今触れるということは、交渉上の問題もございますが、個別の扱いというのはこの後、いわゆるモダリティーというルールが合意がなされた後に、譲許表というところの段階で論議をするというテーマになります。
 言われるように、上限関税の問題、それから重要品目の数の問題、これらがそれぞれ微妙に絡み合ってくる問題でありますので、委員会決議などもあったりして、なかなか今申し上げられることには制限がございますけれども、我が国にとって何が一番国益かというところをしっかりと踏まえて主張していきたいというふうに思ってございます。


○緒方分科員 もう終わりますけれども、米の制度については、先ほど申し上げたように、今は一次税率が無税で、マークアップをつけて、そして二次税率で高い税率を設定してそこで守って、最後、一次税率部分というのは国家貿易でやるというシステムなんですが、私、これからまた未来永劫これがずっと続くのかなというのは若干疑問がございます。
 こういった交渉と絡めて国内制度の改革というものをしっかりと進めていただいて、私が言っているのは、決して米の保護水準を下げればいいとかそういうことではなくて、米をしっかりと守っていける、未来永劫的にやっていけるようないい体制を築いていっていただくようぜひお願いを申し上げまして、質問を終えたいと思います。
 ありがとうございました。