飛鳥Ⅱ 大桟橋

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 2017年(平成29)1月19日(木)曇りのち晴れ

 

 温泉でも行くかと候補を考え、その一つに麻布十番温泉を思いつく。しかし今はない。今はないが、脳裡には思い出が浮かんだ。アルバイト先の店長との口論後、 バイトを辞め帰宅した。この頃、バイト先から歩いて20分ほどの所にあるアパートで一人暮らしをしていた。帰宅後、この顛末を会社経営する知人に報告をすると、 手伝いを頼まれることに。その後気分は一新し、部屋でくつろいでいると、来客が―― (元?)バイト先の先輩Mさんであった。当時バブル真っ只中であったが、 今のように便利な小道具はなかった。Mさんは、以前話していた僅かな情報だけを頼りにアパートを探し当てた。部屋にあがってもらい、二人で話した。というより、 私は一方的に店長のダメ出しやら、既に新しいバイトの決まったことなどを話し続けた。Mさんは納得した。そして微笑を浮かべ、最後にこう言った。

 「本当は、説得しに来たんだけどね……」
 これ以降、バイトの話しをすることはなかった。というより、突然Mさんが訪れ、私が一方的に話していたこと、そして最後にMさんの言った一言までは記憶として残っているのだが、 これ以後の会話は思い出せない。しかし、どういう話の流れがあったのか、二人はアパートを出、30分ほどかけて歩き、麻布十番温泉に行き、 お互いひとっ風呂浴びたという行動の事実は確かである。結局、私は辞めるのをやめ、この後1年近く掛け持ちを続けた。この間には、就職を決めたMさんの送別もあった。 そんなこともあったな。思いついた麻布十番温泉から、これらを振り返っていた。Mさん、懐かしいな……。実家は平安時代から続く旧家であることと、名字を覚えていた。 小道具を駆使すると、Mさんはすぐに出てきた。便利なご時世である。ご実家に寒中見舞いを出すと、Mさんから返信が!

 「~~かい」
 この言い回しが非常に心地良いものである。今、自分にこのような言い方をする者は皆無である。何十年かぶりの接点にもかかわらず、 なんかずっと兄貴でいてくれていた感は半端なく、本当に心地が良い。そして、自分が忘れていたことまで思い出して書いてもらえていた。あのときMさんは大学生であったが、現在、 次男が既に大学生とか。

 「また色々知らせてね」
 私は返信した。嫁募集中であること、体脂肪率が27%になったことなど。