『水の時計』 初野晴 | 鈴と空のブログ

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たまに真面目なことをかいたりもするかも。

水の時計 (角川文庫)/初野 晴
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横溝正史ミステリ大賞受賞作
綾辻行人氏・内田康夫氏・北村薫氏・坂東眞砂子氏
全選考委員激賞!


医学的には脳死と診断されながら、月明かりの夜に限り、
特殊な装置を使って言葉を話すことのできる少女・葉月。
生きることも死ぬこともできない、
残酷すぎる運命に囚われた葉月が望んだのは、
自らの臓器を、移植を必要としている人々に分け与えることだった―――。
透明感あふれる筆致で生と死の狭間を描いた、
ファンタジックな寓話ミステリ。
――――― 2002年版 帯より


個人的評価 : ★★★★☆


なかなか面白かった。

気分が乗るまでに少々時間が掛かってしまったり
人間関係などミステリ的な部分がわりと簡単だったりで
文句無く大満足!とはいえないんだけど。


個人的に一番残念だったのは
タイトルにもなった『水の時計』というのが
イマイチピンと来なかったこと。
これは私の読解力・理解力の問題のせいかもしれないけど。


角膜のレシピエントの話は痛ましい。
レシピエント本人ももちろんだけど、彼女の姉も父も母も。
確か相当珍しい症例だったと思うけど、
最近現実にもあった話だし余計に辛い。
もちろん病気だからってことで簡単に許されることじゃないけど、
そこまで追い込まれる前に誰かの助けを得られてれば、と。


一番好きだったのは心臓のレシピエントの章だろうか。
ここの最後が一番グッと来た。


「幸福の王子」。
話として(筋程度は)知ってはいるけど、
ちゃんと読んだり見たりは多分してない。
オスカー・ワイルド作だというのも
この『水の時計』を知るまでちゃんと認識してなかったな。
オスカー・ワイルドというと『ドリアン・グレイの肖像』の印象だったので。