『東の狼』@ハバナ映画祭(2017年12月10日鑑賞) | MARYSOL のキューバ映画修行

MARYSOL のキューバ映画修行

【キューバ映画】というジグソーパズルを完成させるための1ピースになれれば…そんな思いで綴ります。
★「アキラの恋人」上映希望の方、メッセージください。

3日前の夜、ハバナから無事に帰宅しました。
これまでと違って、映画館の闇に身を沈めるより 街中に出てハバナの変貌を見たい、と出かけましたが、報告の第一報は映画の話題。

日本での公開を待ちわびていた『東の狼』をハバナ映画祭(8~17日)で見てきました!
 

映画祭開催中、本作はあちこちの映画館で上映されていましたが、初日は10日(日曜)の

シネ23y12(映画通の行くシネのイメージ)。 時間は昼の12時半と夜8時の2回。

         写真はウェブから拝借。

 

私は午前中はマリアナオ地区に遠出していたので、夜8時の回で見ることに。
でも思ったより早く戻れたので、昼の回を見ると言っていた友人ミゲルに会うため、映画館前で待ち伏せすることにしました。

果たして映画が終わると、観客が三々五々出てきました。
ゾロゾロ ゾロゾロ 
想像以上に多い!! 中にもまだたくさんいる…スゴ~イ!
言葉少なだけれど…
女優さんや映画関係者、批評家の姿も (ミゲルを探すより、ついそちらに目が行ってしまう)

 

やはり監督がカルロス・キンテラだから?
それともキューバ人監督が日本で撮った初めての映画だから?
いずれにせよ、注目作であることは確か!

 

…と嬉しい興奮を覚えながら、キョロキョロしている私を見て
何か言いたそうな人や、実際に
「あなた日本人? 映画で日本の女性がファン・フォルメルの歌を歌ったのよ!」

と興奮気味に声をかけてくる人もいました。

(いったいどんな映画なんだ?)

私は話したくても、ミゲルを見逃がしてはならぬと気が気でなくて…
挙句の果て、彼には会えませんでした。

 

さて、待ちに待った8時の回。
昼よりは観客数が減ったものの、まずまずの入りでした。
私は最後列の真ん中辺に着席。 

 

    『東の狼/LOS LOBOS DEL ESTE』 言語=日本語/スペイン語字幕付き

        
ストーリー ※東京国際映画祭サイトより 

 かつて船乗りとして世界を旅したアキラは今、奈良県東吉野村で猟師会の会長を務めている。彼は100年以上前にこの地で絶滅したとされる幻のニホンオオカミに執着していた。
独断でオオカミ捕獲に向け、猟師会の資金を使い込んだため会長職引退を宣告される。仕事も仲間も失ってしまったアキラは孤独の中で、船乗り時代に訪れた”キューバ”で恋に落ちた女性への想いや、オオカミへの想いを拗らせていた。彼の妄想は吉野の森のごとく果てしなく広がり、やがて「オオカミは東吉野の魂や」と、取り憑かれたようにニホンオオカミを求め森深くへと入り込んでいくのだった。

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日本の山深い村で展開する孤高の猟師(名前はアキラ)の物語と、彼の人生に刻印されたマルシア(『キューバの恋人』)がどうリンクするのかスリリングなうえ、その結実としてラストに示されるアキラの決断(深い思い)に衝撃的な感動を覚えました!

 

それは、(エキゾチック感はあるものの)キューバ人監督が撮ったとは思えないほど日本的空気感に満たされていたスクリーンが、一挙に〈新世代のキューバ映画〉へと転換した瞬間でした。

 

「あ、これはキューバ映画なんだ!」と気づくと同時に、

「これが監督の『キューバの恋人』の解釈なんだな」 「ああ、黒木監督の思いは伝わったんだ」

と安堵しました。

 

とはいえ、今や日本人でさえ知る人の少ない映画『キューバの恋人』。
いったいキューバの観客に伝わるだろうか?と思った瞬間、

場内から拍手とブラボーの声が!!

 

あまりにも意外で嬉しくて、息が止まり全身が震えました。
もうこの体験だけで、ハバナに来た甲斐がありました。

 

私の居場所はここにある―

闇の中で久しぶりにそう感じました。

 

追記(2018年2月7日): 「死なき祖国を」 

https://ameblo.jp/rincon-del-cine-cubano/entry-12350749117.html