16日(火)のブログでは、本当は5269日本コンクリートの銘柄紹介をする予定でした。実は原稿も前日段階で既に完成していました。
 しかしその後気になる点が見つかったので銘柄紹介は無期限延期となりました。とはいえ同銘柄を買われた方も少なからずおられるようなので、今回は日本コンクリートの今現在の私の見立てを書きます。

 まず、16日(火)に投稿を予定していた原稿をそのまま載せたいと思います。5日前にタイムスリップしたと思って読んでみて下さい。

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 今日は新たな期待銘柄を紹介したいと思います。先週金曜日のブログで「証券コード5から始まる銘柄で~」~とお伝えしていたのでもう調べられたという方もおられるでしょう。5269日本コンクリートという銘柄になります。

 まず主要指標はPER18.8 / PBR0.6 / 配当利回り3.1%。PERはやや高めですが後述する配当性向の高さに起因するものなので特に問題ではありません(配当性向が高い銘柄の方が業績に比して株が買われるのでPERが高くなる傾向があります)。肝心のPBRは0.6と、今流行りの1割れという条件にしっかり当てはまっています。

 続いて直近の業績ですが、これは絶好調と言っていい水準です。そもそも1Q時点の経常利益が6.38億円だったのですが、前年同期が1.56億円だったので何と4倍超もの大増益でした。実は私はこの1Q決算をチェックして時点で日本コンクリートをA評価しており、購入&当ブログで紹介することも真剣に検討したのですが、しかし私の「1Q決算銘柄」は「2Q決算銘柄」に比べてその後の成績があまり良くないという事情を踏まえて購入判断は2Q決算確認後にすることにしました。

 そして先週2Q決算が発表されたのですが、2Q期間の経常利益は何と8.62億円で、超絶好業績に見えた1Qの6.38億円を2億円以上も上回るというものでした。当然ながら大上方修正が入り、この決算を受けて翌日の株価はストップ高付近まで急上昇しました。というか数字だけで言うとストップ高にならなかったのが不思議と思えるほどに素晴らしい決算だったと思います。

 なぜストップ高にならなかったのかですが、私は増配が発表されなかったのが大きな要因ではないかと思っています。日本コンクリートの今期配当性向は90%という大盤振る舞いを公言しているため、大上方修正はすなわち大増配を意味します。しかし今回の2Q決算では、大きく上方修正しておきながら増配は見送るという「片手落ち」状態となってしまっています。配当をケチられてしまっては株主としては好業績の意味はありません。

 ですが私は、今回の増配見送りにはしっかりと理由があると見ています。ズバリそれは、コンピュータウイルスによる被害の影響で増配発表を後ろ倒しにしているのではないか、というものです。というのも同社は昨年中にコンピュータウイルスの被害を受け、それによって1Q・2Qの決算発表自体が遅れてしまっているのです。具体的には、本来なら2Q決算発表は11月前半の予定でしたが、それが1月11日と約2か月も後ろになってしまいました。そして続く3Q決算発表は今の所2月中旬が予定されており、もうあまり期間がありません。決算発表とはあくまで直近の業績及び将来の業績見通しを発表する場なので、2Q決算では取り急ぎ業績の発表のみを行い、配当額に関しては3Q決算以降に後回しするというのは理由として理解できます。

 いずれにしても日本コンクリートは大上方修正だけしていて未増配状態なので、配当性向90%なら今後大増配ということになります。具体的な数字と言うと今の所の今期配当は13円になっていますが、先週の上方修正でEPSが22.1円まで上がっているので配当性向90%なら22.1円×90%=19.9円で6.9円の増配。しかも2Q決算では大上方修正が入ったとはいえ通期見通しに対する進捗率は65.2%とmだ保守的に留められている感があり、今後更なる上方修正や増配の可能性も高そうです。

 上記の増配期待度だけでもかなり魅力的なのですが、他にも業態的にNTT向けの電柱関連が主力なので今後は能登半島地震の影響による受注増が見込まれること、自動車関連株ではないのでポートフォリオに幅を持たせられること、守旧的にも買い残がほとんど無く貸借倍率も1.5倍と理想的であること、株単価が約400円と買いやすいことなど推しポイントは沢山あります。直近は株価が急上昇しているので短期的には調整を経る可能性もありますが、ポテンシャルとしては期待度AAと考え、タイミングを見つつ強気で買い足していきたいと考えています。


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 という原稿だったのですが、投稿当日の最終チェック段階において気になる点が見つかったので投稿を見送りました。
 その気になる点とは何かと言うと、配当性向が本当に90%なのかどうかがちょっと疑わしいということが明らかになったのです。

 というのも、日本コンクリートの今期配当性向90%の根拠は期首におけるIRに求められるのですが、そこでは以下のような記述になっています。

「配当につきましては~(中略)~株主還元強化として年間 13 円(配当性向 90%程度)を見込んでおります」

 IRでは確かに「配当性向90%」の文言があるのですが、この書き方では「今期の最終的な利益」に対して配当性向90%が実施されるかどうかは不透明と感じざるを得ません。つまり、あくまで「期首時点における通期の利益見通しに対する配当性向90%」として今期配当13円と設定しました、今後上方修正があったとしてもそれに合わせて増配するとは言ってませんよ、とも取れます。配当性向90%という大前提が崩れると、当然ながら話は全く変わってきます。

 という訳で、日本コンクリートが今後配当性向90%を守る気があるのかどうか要追加調査ということになってしまいました。配当性向90%という確信が持てればやはり高評価なのですが、もし今後増配のつもりが無いとなると評価一変です。また、16日(火)段階での株価は416円でしたが、現在は477円と約15%も値が切り上がってしまいました。たった数日で割安度はかなり薄れてしまっています。

 まあPBRや業績面や需給面からの期待はあるのですが、真の配当性向が不透明であることと株価が急上昇してしまったことを踏まえると、今この瞬間の評価はBぐらいが妥当なのかなという気がします。いずれにしても、配当性向90%というのが本当かどうかを調べていかなければならないというのが今の状況です。