[望郷ぺぺルモコ] | 力道の映画ブログ&小説・シナリオ

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ジュリアン・デュヴィヴィエ監督・脚本。アンリ・ラ・バルト原作・脚本。ジャック・コンスタン脚色。アンリ・ジャンソン台詞。マルク・フォサール、ジュール・クルーガー撮影。ヴァンサン・スコット、モハメド・イグルクーシャン音楽、37年、フランス映画。

500円DVDにて再観。ジュリアン・デュヴィヴィエの詩的リアリズム作品の代表作である。この時代の映画は設定の上手さが作品の根幹を成している作品が多い。[第三の男][カサブランカ]、町や都市がの特異など状況が作品の形成に重要な役割を果たしている。この映画で舞台になるのはフランス領アルジェリアにある犯罪の街カスバを舞台としている。主人公のぺぺ・・ル・モコ(ジャン・ギャバン)は大泥棒であり、カスバを仕切るボスだ。ここにいる以上は警察の包囲網で外に出ることは出来ないという設定が秀逸なのだ。そこにフランスの香りを漂わせるダイヤを腕に巻いた妖しいギャビー(ミレーユ・バラン)がやってきて、ぺぺと恋に落ちる。これを利用してぺぺ逮捕を目論むスリマン刑事(リュカ・グリドゥ)がいて、彼女に嫉妬するぺぺの愛人イネス(リーヌ・ノロ)の存在が、ラストのキイ・ポイントになるのだ。
 デュヴィヴィエは冒頭でフランス警察のガサ入れが失敗する様子で始める。ぺぺが可愛がる若手ピエロ(ジルベール・ジル)がレジス(シャルパン)の裏切りで殺されるなど、精神的に追いつめられていく、あたりが実にリアルなのだ。虚しき悲恋映画である本作だかがサスペンス映画の要素もある。
 港、汽笛、小道具の使い方も秀逸で作品にセンスを感じさせるた。