[思い出のマーニー] | 力道の映画ブログ&小説・シナリオ

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米林宏昌監督・脚本。ショーン・G・ロビンソン原作。丹羽圭子、安藤雅司脚本。安藤雅司作画監督。
村松宗継音楽。プリシラ・アーン主題歌。14年、スタジオ・ジブリ制作、東宝配給。

日テレ地上波にて鑑賞。[借り暮らしのアリエッティ]から4年ぶりの米林監督作。ジブリが長篇アニメーション制作を小休止するという鈴木プロデューサーの発表前に制作された宮崎駿、高畑勲が一切関わらない。新しい世代によるジブリ映画。

原作はショーン・G・ロビンソンのイギリス児童文学の古典的名作。それを舞台を日本に置き換えて、アンナを杏奈に代えて描かれるファンタジーだ。

素晴らしい。[借り暮らし]がもう一つだったのでパスしてしまったが、実によくできている。喘息の発作の療養で札幌から、里親佐々木頼子(松嶋菜々子)に育てられた杏奈(高月彩良)は夏休みの間親戚の大岩清正(寺島進)セツ(根岸季衣)の道内の田舎町に預けられる。感情表現を表に出さず、自分の生まれをトラウマに青い目のハンデなどを持つ杏奈はスケッチだけを楽しみにしている。田舎町でも紹介された友人と合わず、杏奈は入江にある古い屋敷を見つけ、夢の中で何度も屋敷を訪れ、金髪の少女マーニー(有村架純)と出会う。お互いの秘密を語り合う中で、杏奈が何に苦しんできたのかを米林監督は徐々に明らかにしていき、
やがて現実世界でその屋敷の改装に関わる東京から越してきた彩香(杉咲花)と共に、この湿っ地屋敷の絵を描いている老婦人久子(黒木瞳)からマーニーの話しをきかされていく…。

米林監督は心を開かない杏奈がマーニーとの出会いとふれあいの中で信頼と友情を取り戻していく。ひと夏の少女の成長の物語として仕上げている。観ている側が見せられた杏奈とマーニーの交流。やがて、それらのい一場面一場面が久子が語るマーニーの物語に重なりっていく、構成が秀逸で、作品世界に釘付けにされた。ろくな映画を撮れない宮崎駿より、米林宏昌の方が将来性を感じさせる映画だ。第38回日本アカデミー賞優秀アニメ作品賞受賞作品。

一つだけ残念なのは背景。今や京都アニメーションやユー・フォーテーブルなど遥かに上を行く背景の作品が登場しているのを観ているだけに、14年の作品とは言え、もう少し背景的な面では描き込めたのではないまろあか。それ以外は実に感動させられる映画だ。