[マッケンナの黄金] | 力道の映画ブログ&小説・シナリオ

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J・リー・トンプソン監督。ヘック・アレン原作。カール・フォアマン脚本。ジョセフ・マクドナルド撮影。クィンシー・ジョーンズ音楽。ホセ・ファシリアーノ主題歌。69年、アメリカ映画。


スカパー、ザ・シネマの録画にて鑑賞。伝説のアパッチ族の黄金を巡るアドベンチャー西部劇。ラストには特殊効果を使用した大スペクタクルが挿入されている。公開当時は70mmのスーパーパナピジョン、シネラマ劇場で公開された。


主人公であるマッケンナを演じたグレゴリー・ペックは自らの主演作の中で、[宇宙からの脱出]と共に失敗作にあげているが、観直してみるとかなり豪華なキャスト、鷹の目、先住民の老人を謝って殺し、黄金の地図を見るマッケンナ、観る側を引き込んでいく謎めいたオープニング。前半は海千山千の連中が黄金に取り憑かれたように集まり、追ってくる騎兵隊とアパッチ族、そしてマッケンナを巡る女性の嫉妬、様々な要因を盛り込みながら、物語が展開。そして、クライマックスは大スペクタクルを迎える大活劇であり、かなり面白い娯楽映画だ。


1872年、保安官のマッケナ(グレゴリー・ペック)はアパッチ族の老人プレイリー・ドックに狙われ、逆に撃ってしまい、探していたアパッチ族の黄金の地図を手にするが燃やしてしまう。アメリカの南西部。荒涼たるキャニオンにある小屋は異様な雰囲気に満ちていた。インディアンが隠した黄金を探し求める無頼漢ジョン・コロラド(オマー・シャリフ)と騎兵隊上がりのディブス(テリー・サヴァラス)などの部下の一団、それに、黄金の谷への道を知って捕虜にされた保安官のマッケンナ。古くからの因縁でコロラドはマッケンナへの復讐を思っているのだが、殺せば黄金の谷への道が分からなくなる。もう1人の捕虜である判事の娘インガ(カミラ・スパーヴ)は、直前にコロラドに父を殺されていた。そして、そのインガにマッケンナの気持ちが傾いているのを悟った、マッケンナの以前の恋人ヘシュ・ケはいつかインガに復讐しようとしていた。こうした内部の葛藤の外に彼らには、共通の敵があった。アパッチ族の襲来を防がねばならないのである。そこへさらに黄金にとりつかれた町のおえら方たちも現れた。こうして黄金を求めて集まった20名ばかりの男女の間には、欲とエゴを中だちとする不気味な均衡が保たれていた。だが、フロンティアたちの黄金への夢はそれ自体が彼らに血を流させ、互いに殺し合いをさせる要素であった。マッケンナとコロラドの命を賭けた死闘が、そしてインガとマッケナへ想いを抱く先住民の女ヘシュ・ケ(ジュリー・ニューマー)の戦いが……。


この他にもイーライ・ウォラック、エドワード・G・ロビンソンやリー・J・コッブなど、大した役ではないのだが、豪華な配役がなされており、勿体ないくらい。黄金の存在をマッケナ自身は終始否定しているのだが、その噂を前にして、遂にインガまでが、欲望をあらわにしてくる。人間の欲望の醜さと駆け引きを巧みに描き込み、観る側を引き込みながら、見せていくJ・リー・トンプソン監督の演出の上手さが秀逸。

スペインロケが中心だったようだが、お宝が眠ってる谷は映画の舞台にふさわしい地が選ばれている。キャメラは迫力を出すために、登場人物の視線で撮影されたり、不安定な吊り橋を渡る場面や谷に馬で下るシーン、水中撮影など工夫が施されている。また、音楽をクィンシー・ジョーンズが起用されていることも楽しめた。


J・リー・トンプソン。[ナヴァロンの要塞]など。