大波乱の国民議会選挙が終わり、大方の予想を覆して左派連合が勝利をおさめ、ガブリエル・アタル氏が首相を辞任、辞表を提出すると宣言して、翌日。勝利をおさめた左派連合の中から首相が任命されるかと思いきや、マクロン大統領は、依然として沈黙を続け、エリゼ宮は、マクロン大統領は、国の安定をはかるため、アタル氏の辞表を受け取らず、当面は首相を留任するように依頼したことを伝えています。

 

 考えてみれば、左派連合が勝利して第一党になったとはいえ、この党が過半数を占めているわけでもなく、大きく言えば、左派、右派、マクロン派(中間)に分断しているわけで、この国民議会を束ねていくのは、容易なことではないため、新首相の任命は、慎重を期す必要があります。

 

 基本的には、首相は、大統領の権限で任命できることになっているので、彼の采配で決定することができるとはいえ、この分断した国会の承認を得なければならないわけで、これがまた、下手を打つとまた大騒動になりかねないのは、必須で、この異なる政党の均衡をとりながら、国を動かしていくのは生易しいことではありません。

 

 欧州議会選挙の結果に対しては、驚くほど早い段階で、国民議会の解散・選挙を決定してしまったマクロン大統領も、今回は慎重に事を進める覚悟でいるようです。

 

 とはいえ、異例の若さで首相に就任したガブリエル・アタル氏も当初は、マクロン学校のミルク(哺乳瓶)で育った・・などと揶揄されるほど、マクロン大統領にビッタリだったにもかかわらず、わずか半年でマクロン大統領との間には距離が生まれているとも言われ、要は、彼の人気を利用して、新体制を整えたに見えたマクロン大統領はマクロン自身の不人気をカバーするには至らず、結果的にアタル氏の立場は微妙なものになってしまいました。

 

 フランスは、今週末にはパリ祭(革命記念日)、そしてオリンピックという一大イベントが控えているため、ここで、大暴動が起こりかねないようなことは避けようとしているという見方もあります。

 

 首相任命に法的な期限はありませんが、次回の国会開催は7月18日の予定になっているため、その前までには、新首相が任命されることが予想されています。

 

 いずれにしても、どの政党も過半数には達していないために、今後、どのような議決に対しても、すんなりとはいかないことが予想され、それを統治していく首相、そして大統領にとっては、茨の道となることが予想され、すでに一応勝利をおさめた左派連合にしても大統領陣営にしても、さらに連立を企てようとしているものの、どこがどこと連立するのか?また、すでに連立で成り立っている左派連合の中においても、常にバランスが問われる問題でもあります。

 

 これまでのマクロン政権では、様々な改革が行われ、強引などころがあったとはいえ、一応、議決、あるいは議決せずに決定してきたことなどもあり、黄色いベスト運動や年金問題などなど、大暴動のタネになることもいくつも起こりました。

 

 しかし、マクロン大統領自身が暴動など意に介さずに恐れず突き進む・・歴史に残るような問題をいくつも提供しようとしているとしか思えないようなところもありましたが、今後は、現時点では大統領陣営は第一党ではなくなったために、これまでのようにはいきません。

 

 とはいえ、マクロン大統領の支持者たちは、この分断された国会の中、右派あるいは左派の最も穏健派との連立を訴え続けていると言われていますが、現段階では、交渉が思うように進んではおらず、いわば「埃をしずめてはっきりと情勢を見えるようにしている」状態であると言われています。

 

 マクロン大統領と閣僚、国会の間の均衡をとりつつ国を統治していける人物とはどんな人物なのか? 一時は隆盛とみられた右派がほんの少し停滞したことで、なんとなくホッとしているものの、今後も目が離せない時が続きそうです。

 

 

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