よもや極右政党が政権を握りかねない事態に今回のフランスの国民議会選挙は、本当に心配していました。選挙権のない身としては、如何ともしがたく、「自分でなんとかできないことに心を煩わしても仕方がないと、もうなるようにしかならない・・」とまな板の上の鯉の気持ちでした。

 

 第一回の投票では極右政党が有利な位置を占めており、充分に第二回の投票までぶっちぎりとなる可能性はありました。

 

 第一回の結果を受けて、左派政党と環境保護主義政党などが連合政党を組み、各政党は、票割れを防ぐために候補者の一部を撤退させる等の対策をとっていましたが、結果、新人民戦線(NFP)が最多数の議席を獲得するという大逆転というまさかの結果になりました。

 

 大手各紙もこぞって、「誰も予想していなかった大逆転!」と驚きを隠せない書き方をしています。たしかに、結果的には、極右政党は、過半数どころか1位でも2位でもなく、3位という結果になりました。

 

 私自身も、個人的には、この結果を予想していなかったので、言い方は悪いですが、作戦が功を奏したとはいえ、この連合政党の勝利は「漁夫の利」っぽい感じがしないでもありません。

 

 マクロン大統領は、この選挙にあたって、「フランス人が賢明な選択をすることを信じている」と、あくまで強気の声明を発表していましたが、さすがに民主主義の国と言われるフランスが極右に向けてまっしぐらに進むことはありませんでした。しかし、反マクロンの国民の感情が消失したわけではないことを彼はどの程度受け入れているのでしょうか?

 

 今回の極右政党は、SNS(特にTikTok)などを巧に使って、若い党首を前面に押し出し、ソフト路線イメージに移行しようとしていたのですが、それはあくまで広告的なイメージ戦略で、根本的なポリシーは、変わっていないのです。

 

 そのソフトイメージが盛り上がりを見せていたところに、マクロン大統領には、ガマンならない!という気持ちが拍車をかけた結果が当初の欧州議会選挙の結果に繋がったものと思われますが、そこで留まっておけばよかったものを国民議会解散・選挙などという暴挙に出たのですから、「またマクロン大統領!思いあがって、なにをやりだすのか!」という国民の気持ちが第一回の選挙結果に表れていたのかもしれません。

 

 フランスの国民議会の選挙は2回にわけて行われますが、多分に第一回の結果とは違った結果が第二回には表れると言われており、今回、多くの人が予想外だった!と語っている結果も、第一回の結果からはかけ離れたものです。

 

 しかし、後になって考えてみれば、「マクロン大統領は嫌だ!でも極右に偏るのも嫌だ!」となれば、左派連合に流れることは充分にあり得ることであったのではないかとも思われます。この投票を2回行うというやり方は、一回、投票してみて、その結果を踏まえて、あらためて熟慮して結果を出すという意味では、とてもよい方法なのではないか?と、今回、あらためて、思いました。

 

 時として、その時の流れに踊らされてしまう感情から、有権者側も次の投票までの間、多くの政党の討論会などを見ながら、本当のところを見つめて、本当に自分たちは何を求めているのか?候補者たちの本音を注意深く見極めていくのには、一度、立ち止まって、もう一度ゆっくりと考える・・そんな機会があるのはとても大切なことだと思うのです。

 

 なんなら東京都知事選挙ももう1回やってくれたら、違う結果が出るかもしれません。

 

 そして、もう一つ驚くべきことは、投票率の高さで、今回の第二回選挙は、学校も夏休みに入り、7月バカンス組の多くはバカンスに出てしまっているタイミングにもかかわらず、投票率は、おそらく67%を超えるであろうという投票率の高さです。ということは、多くの人がバカンス前に不在投票をして出かけたということだと思われます。

 

 フランス人は黙ってガマンするということはしない国民ですが、最低限、大多数の人々は、投票の義務は果たしているということは、さすがだな・・と思うのです。投票に行かないことは、恥ずかしいことだという感じです。

 

 この結果を受けて、ガブリエル・アタル首相(35歳)は翌日、大統領に辞表を提出することを発表しています。

 

 とりあえず、極右が政権を握らなかったことに移民の一人としては、ホッとしています。

 

 選挙の結果如何では、また大変な暴動でも起こりかねないと思っていましたが、少なくとも、その日の夜は喜びに沸きあがっていました。

 

 

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