和也は、鉄板の上のもんじゃ焼きを コテでもってこねるばかりで一向に口に運ばない。

 

『和ちゃんって 大ちゃんのこと好きなの? よくちゅぅキスマークはしてるよね。

 

ねぇ、例えばさ  Hしたいって思うくらい好き?』

 

『分かんない。』

 

 

Kissなんて体を触り合う延長上に過ぎない。もちろん好きでなければスキンシップなんてしたいと思わないから、智を好きなんだろうと思うし、触れられることも嬉しかったりするんだろう。

 

だけど体を繋げるとなるとやはり、なかなかのハードルを越える必要がある。

それを智としたいか?その欲望と覚悟があるのか?と聞かれても、素直にそうですとは言えなかった。

 

和也は“好き”の迷路にはまり込んでいた。

 

少しの沈黙のあと、

 

『もうさ、和ちゃん。オレにしといたら?』

 

雅紀の黒目がちな目が真っすぐに和也を射た。

 

 

 

そして自分の唇を和也の唇にゆっくり寄せた。

 

 

重なる寸前、

 

 

『え?どゆこと?無理なんだけど?』

真顔の和也が雅紀を制止した。

 

 

 

『あひゃひゃ。だからぁ、そーゆ―ことだよ。』

雅紀は 和也から顔を離しうそぶいた。

 

『大ちゃんとHしたいか分からないけれど、オレとはちゅうキスマークも無理なんでしょ?

やっぱ 和ちゃんが1番 男の子同志であることに拘ってるんじゃない?だから 大ちゃんの言葉に引っ掛かったのかもよ?』

 

だって大ちゃんてソコ、多分深く考えて発言してないでしょ。と

 

 

『…』

 

『でもなんか不思議だね。』

 

『なにが?』

 

『丸って大ちゃんと誕生日が同じじゃん?その丸が和ちゃんのこと好きで…ほら、五関くん。あの子、確か大ちゃんの大ファンだったでしょ。で、和ちゃんと誕生日一緒だよね?

11月26日生まれは和ちゃんを好きになって、6月17日生まれは大ちゃんを好きなっちゃったりするんだよ!? 呪いみたいー!!』

 

 

『てめ!…呪い言うな!』

 

いや、もしかしたらホントに呪いかもしれない。こんなに智に囚われて自分じゃどうしようもないなんて。

 

和也は雅紀に悪態をつきながらも、妙にこの呪いというワードが妙にしっくり来るのを痛感した。

 

…さすが まーくん、侮れない汗

 

『そうそう、6月17日生まれはオレと親友になるって パターンもあるんだよね。』

 

 

確かに。。。汗 

 

 

 

 

 

 

『あんまり意固地にならないで、次会った時は普通でいなよ♡ 』

 

 

和也は黙って頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

つづく。