「角層」にしか浸透しない化粧品は使う意味がない? ~角層ケアだけで真皮から美しくなるメカニズム~ | かずのすけの化粧品評論と美容化学についてのぼやき

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先日Twitterで、

 

「化粧品が効くのは『角層』まで。角層は0.02mmしかなくて28日で剥がれてしまう層だから、ここにいくら化粧品を使っても意味がない。(だから真皮もケアできる美容医療にお金をかけよう)」

 

というような内容のツイートが拡散されていまして、

 

非常に「おいおい…💦」と思った次第です😓

 

 

 

なので今日はこちらの意見について僕なりの見解をまとめたいと思います!

 

 

 

◎「化粧品は角層までしか浸透しない」という意見について、かずのすけの見解

 

 

まず簡単に皮膚についておさらいしておきます。

 

ここから先に添付しているのはかずのすけ・白野実著【美肌成分辞典】の引用です。

 

 

 

まずは表皮と真皮の構造について。

 

 

皮膚の重要な層は主に「表皮」と「真皮」に分けられます。

 

 

 

表皮は上から「角層」「顆粒層」「有棘層」「基底層」の4つの層に分かれており、

 

 

 

 

その下に「真皮」があります。

 

 

 

私達の皮膚の表面は「角層」と言われる層で、

 

ここは0.02mm程度しかなく、これはラップ一枚程度の極薄の層として知られています。

 

 

 

そして化粧品はこの「角層」までしか浸透しない、ということになっているのですが…。

 

 

 

これについては以前こちらの記事で詳しく解説していますね。

 

 

 


化粧品は【薬機法】という法律によって「角層まで」しか浸透しないことになっています。

 

 

化粧品とは安全に使用できることがなにより大切なので、

 

肌に大きく影響を与えうる真皮や基底層までの浸透を謳うことは原則できません。

 

 

 

しかし、これはあくまで「法律上の話」でして、

 

実際には化粧品の『成分』の中には真皮や基底層に到達することが認められているものも存在しています。

 

 

医薬部外品に認可されている「美白化粧品」や「シワ改善化粧品」などはその最たる例で、

 

 

美白は基底層の色素細胞(メラノサイト)に作用する必要がありますし、

 

シワ改善はその下の真皮まで浸透しなければなりません。

 

現在ではこれが医薬部外品として公的に認可されています。

(真皮への浸透も成分によっては言えることになっています)

 

 

 

また、成分単独で見ていくと、角層より深部に浸透しているとされる成分は他にも沢山ありまして、

 

あくまで分子量や脂溶性・水溶性などが特定の条件を満たした成分のみではありますが、

 

必ずしも「角層までしか浸透しない」というのは現状の化粧品の実情とは乖離しています。

 

 

 

とはいえ、基本的に多くの成分は角層までの浸透が主ですし、

 

先程の美白成分やシワ改善成分といえどスイスイ入っていくわけではないので

 

効果自体もとても穏やかだと思います。

 


化粧品の範疇の製品であれば広告的には「角層まで」と言わざるを得ないですし、

 

角層保湿が主な機能の製品も沢山あります。

 

 

 

 

◎もし「角層まで」しか浸透しなくても十分肌は綺麗になります。

 

 

 

しかし、ここでもし化粧品が本当に「角層まで」しか効果がなかった、としても

 

実は肌の機能を考えると

 

「角層ケア」だけでも真皮から肌を綺麗にすることが可能であることが、

 

すでに化粧品及び皮膚科学の世界では当たり前とされているのです。

 

 

 

というわけで今日お話したいのは、

 

この【肌の神秘】とも言える驚くべき美肌メカニズムについてです!

 

 

 

◎死んだ細胞『角層』とは?主な角層の役割

 

 

まず角層は「ケラチノサイト(角化細胞)」という細胞によって作られています。

 

 

基底層で生まれたケラチノサイトが有棘層→顆粒層と徐々に上に登っていき、

 

分化を繰り返すことでお肌の水分(NMF)やセラミドなどの保湿成分を作り、

 

その残渣が最終的に「角層」となって、やがて剥がれ落ちます。

 

 

これが「ターンオーバー」と呼ばれる肌の一生ですね。

 

だいたい28日周期と言われていますが、実際には年齢や人によって様々です。

 

 

 

最後の角層ではケラチノサイトには細胞たる「核」が存在せず、細胞分裂もできないようになっているため、

 

この状態を指して『死んだ細胞』と呼ばれています。

 

 

実際角層を構成するケラチノサイトはもう何も細胞活動を行うことができず、

 

垢となって剥がれ落ちるのみですからね、

 

これそのものは死んだ細胞といって過言ではないでしょう。

 

 

 

 

 

角層のよく知られている主な機能

 

以下のようにNMFやセラミドなどを保持して、

 

肌の水分を蓄え、外界からの刺激などを通さない皮膚バリアとして働くことです。

 

 

 

ちなみに、肌バリア機能の最も重要な要素とも言える『NMF』や『セラミド』は

 

ケラチノサイトが分化するときに副生成物として生成されるもので、

 

適切なターンオーバーが行われないと正常な角層は育まれません。

 

 

 

これはとても重要なことなので絶対に忘れないで下さい。

 

 

 

◎死んだ細胞の集合体『角層』は生きている!?角層ダメージが真皮に伝わる仕組み

 

 

 

しかし勘違いしてはいけないのは、

 

『角層』という層自体はまだまだ生きているということです。

 

 

 

角層が何も感じない層であったとしたら、とても嬉しいことでして、

 

角層にどれだけ刺激を与えても誰しもがみんな美肌を保てることでしょう。

 

 

しかし実際には角層を多少削るようなことをするだけで肌荒れが起こる人が多数いて、

(中には全然荒れない人もいますが…w;)


僕なんかはそうですが、人によっては「繊維」と触れているだけで肌荒れが起こることもあり、

 

ただの接触だけでも過敏に刺激を感じ取れるような肌質の人もいるのです。

 

 

これは角層という層に何らかのセンサー的なものが存在していないと説明ができません。




そしてこの働きをしているのが、『ランゲルハンス細胞』という細胞です。




ランゲルハンス細胞は比較的最近見つかった皮膚細胞の一種で、

 

近年その特性が次々に解明されている面白い細胞です。

 

 

この細胞は簡単に言えば『皮膚の刺激センサー』ですね!


基本的には有棘層という層に陣取っているのですが、

 

なんとこの細胞は表皮を自由に移動することができ、

 

肌に侵入してきた刺激物質や紫外線、乾燥、細菌など様々なものを知覚して、

 

それそのものや伝達信号を真皮まで運んでT細胞等の免疫細胞に受け渡すという働きをします。

 

 

 

しかも、近年ではこのランゲルハンス細胞が、

 

人の肌質や角層バリア機能の状態によって角層直下まで伸びてきて

 

より感覚が過敏になることが分かっているのです。

 

 

最近では、アトピー肌質の人の肌ではこのランゲルハンス細胞がすごく活発化していることも明らかになっているとのことで、

 

アトピー性皮膚炎の皮膚バリアと表皮樹状細胞

 

 

働き者なのかお節介さんなのかよくわからない細胞でもあります…😅

 

 

 

 

つまり適切な保湿を怠って角層のバリア機能が低下すると、より早めに危機を察知しようとランゲルハンス細胞が活発化するため、

 

刺激やダメージを知覚しやすくなってしまうということです。

 

 

 

◎刺激やダメージを知覚すると免疫機能によって「炎症」が起こり、ターンオーバーが促進され、肌機能がさらに低下…

 

 

 

するとどうなるか、というと、

 

免疫機能によって「炎症」という反応が起こりやすくなります。

 

 

刺激を受けると痒くなったり赤くなったりしますよね。

 

あれです。

 

炎症は外部の刺激物などを退治するための生理反応なのですが、

 

敏感肌やアトピーの場合はこれが過剰反応を起こしてるような状態です。

 

 

 

炎症が起こると、皮膚は基底層に信号を送りダメージを負った角層を早く剥がそうとします。

 

これによってターンオーバーが促進されます。

 

 

不要な皮膚が早く剥がれるのは一見良いことですよね。

 

確かに不要な皮膚のみが剥がれてその後正常な皮膚が作られるのであればいいのですが、

 

ターンオーバーが促進されると

 

急ごしらえで生成された角層では肌バリアを担っているNMFやセラミドが十分に作られないという弱点があります。

 

 

これでは「バリアの弱い薄い角層」ができてしまうため、

 

肌の乾燥や敏感肌や、様々な肌荒れの根本原因を作ってしまう…

 

 

というわけです。

 

 

角層のバリアが弱まれば肌荒れも起きやすくなり、

 

肌荒れが増えればそのダメージが真皮に蓄積してシワ・シミを増やすことにも繋がります。

 

 

 

 

◎健全な角層なくして美肌なし!

 

 

一言でまとめれば、

 

角層が荒れれば真皮も含めた肌全体が荒れる、ということです。

 

 

だからこそ僕は昔から言ってますが、

 

「美肌を保つ」というそれだけであれば、角層ケアのみでも十分美肌を保つことができます。

 

  • 角層を乱さない低刺激な洗浄
  • NMF・セラミド・皮脂などの適切な保湿成分の補給(低刺激であれば尚良し)
  • 紫外線を通さないUVケア
  • 活性酸素などから肌を守る酸化防止

 

これらを適切に行うことができれば、角層を美しく保つことができるため、

 

結果的に肌全体も美しく保てるわけです。

 

 

別に真皮や基底層に無理に成分を届ける必要などありません。

 

「バリアを保つ」それだけで肌は綺麗になるんです。

 

 

 

むしろ浸透促進は肌バリアを一時的に破壊して行う場合もありますので、

 

これをやりすぎることはかえって肌バリアの損傷に繋がり、

 

結果的に肌荒れを招いて美肌から遠のく可能性も孕んでいます。

 

 

美白やシワ改善などの高浸透成分などではそういったリスクも多少はあるということをある程度認知しておくと良いかもしれません。

 

 

本当に敏感肌でそういった美白化粧品やシワ改善化粧品を使うと刺激を感じてしまう、

 

という場合は素直に諦めて角層ケアに徹するというのも一つの選択肢だと僕は考えています。

 

 

ちなみにかずのすけもあまり美白やシワ改善をがっつり使えない肌質なので、

 

基本的なスキンケアはセラミドケア一本です。

 

 

セラミドなんて角層にしか効果ない成分の最たる例ですが、

 

それでも僕は並の人よりは肌が綺麗だと自負しています😉

 

 

 

(ちなみに、肌荒れしなければDNAの損傷も少なく済み、これが果ては老化の抑制にすら繋がると僕は考えています。)

 

 

 

◎美容医療でしかできないことは美容医療を頼るべきだが、化粧品でできることなら化粧品でやればいい

 

 

というわけで角層にしか届かない化粧品でも美肌になることができるよ、という話でした。

 

 

 

もちろん、僕はこれまでADMっていう難治性のシミをレーザーで治療してますし、

 

ヒゲも医療レーザーで脱毛しています。

 

 

今後何かあれば美容医療を頼ることは普通にあると思います。

 

 

でも、

 

美容医療って基本的にはレーザーや化学薬品などで細胞を一旦破壊して自己治癒能力で肌を修復しよう、っていうものが多いので、

 

その分のリスクはとても大きいです。

 

 

フォトフェイシャルとかイオン導入とかみたいなリスクの低い施術ももちろんあるけど、

 

どれにおいても化粧品よりは肌負担はありますから、

 

化粧品でできることなら化粧品でできるだけ対応した方が僕は良いと思っています。

 

 

まぁ美容医療はあくまで「治療」なので、化粧品でできないことをする為にやるものですよね。

 

健康な肌を保つとか、より美肌にするとか、そういうところは化粧品の領分ですから、

 

適材適所でどっちものいいとこ取りをすれば良いのではないかと僕は思います💡



あと、化粧品も使いまくればいいというわけではないし、高いものを使えばいいというわけでもありません。

 

自分の肌に不足している必要最低限を適切に補給する、というのが一番大切だと僕は考えています。

 

簡単なようでとても難しいことですので、そのコツ等については今後もブログや動画等で解説していきたいと思います😉




というわけで、今日の内容について拙著に簡単な漫画があったので

 

こちらをご紹介して今日はおしまいといたします!






 

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