弱酸性の洗顔は意味がない? の勘違い | かずのすけの化粧品評論と美容化学についてのぼやき

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先日↓記のような質問を頂きました。

今日、たまたま見つけたブログで「弱酸性での洗顔は意味がない」と言っていました。
弱酸性洗剤を完全否定してるんですが、それは人によりけりだと思うのです。
何となくそのサロンの商品を勧めるための口実のようにも見えるし…。
かずのすけさんはこのブログの記事をどう見ますか?
(ブログアドレスは消してます)



その例のブログに書いてある内容を、

簡単にまとめると以下のような感じです。



・ある日美容室で聞いたことによると弱酸性の洗顔は意味が無いらしい!

・なぜなら肌の表面は『弱酸性』だから!

・弱酸性にはアルカリ性じゃないと「化学反応」が起こらなくて汚れが落ちない!

・毛穴の汚れを落とすのにも「化学反応」が必要!

・弱酸性の肌表面で化学反応を起こすにはアルカリ性じゃないとダメ!



【結論】 弱酸性と「化学反応」が起こらない弱酸性の洗顔は意味が無い!





なるほど~。


これ言われると信じちゃう方、

結構居るかもしれませんね。


だって皮膚表面が弱酸性なら、アルカリ性じゃないと中和しないですもんね。


これは盲点…。。



じゃあ今度からアルカリ性の洗顔にしましょう…(´;ω;`)




…とはなりませんよね。。。




なんだか一見正しいことを言っていそうな↑の考え方ですが、


非常に基礎的な勘違いをしてます。




今日はその勘違いについてちょこっとお話しておきます。




◎「洗浄」は「化学反応」ではない


一般的な界面活性剤の洗浄機構は↓のような感じです。

東京都クリーニング生活衛生同業組合(洗剤を知る)より引用


基本的に

界面活性剤による洗浄の機構では

色々と難しい作用が働いているのですが、


『界面活性剤が汚れを包み込んで持っていく』


というほとんど物理的な機構が働いています。



つまり我々が普段行っている

洗剤(界面活性剤)による洗浄は

「化学反応」を起こしているわけではないわけです。




なので、


別に弱酸性だろうがアルカリ性だろうが、

『界面活性剤』という特別な物質であれば

汚れを包み込んで持っていくという作用は十分働くわけです。




この点を勘違いしてはいけません!



◎「化学反応」による洗浄もある?


ただし、

洗浄という機構には様々なものがあり

もちろん「化学反応が起こっている洗浄」もあります。



例えば上で言っているような

「中和反応による洗浄」

も確かにあります。


「石鹸」が皮脂の洗浄に長けた洗剤なのは、

石鹸がアルカリ性で、皮脂が弱酸性だから…

というのは事実です。


石鹸は本来カルボン酸塩なので

親水基構造を見るとそれほどの洗浄力はなさそうなのですが、


石鹸は先程の物理的な洗浄作用の他にも、

『アルカリ性』という特性があるため

『弱酸性』の皮脂の除去には非常に有効なのです。

※あとはアニオン界面活性剤はアルカリで活性化するというのもあります。


まぁ他にもこないだ書いた

「マイナスイオン洗浄剤」って

で取り上げた

アルカリ剤を溶かした溶液にも洗浄効果がある、

という話もそのうちの一つですよね。


あ、でもタンパク質の変性・分解の話はちょっと違って

これは「加水分解」という化学反応です。

カビ取りやタンパク質系の汚れ除去で効果的です。


他にも

『酸化・還元作用』による洗浄も化学反応による洗浄になります。


「漂白」はやや弱めの還元剤を使ったりするのですが、


これも有名な化学反応ですね。



◎『同質系物質の相溶性』による洗浄


あと美容洗浄では、

この『同質系物質の相溶性』による洗浄は非常に重要です。


簡単にいえば、

「油は油に溶けやすい」

という話です。



クレンジングオイルがメイクを落としやすいのは、

クレンジングのオイル成分とメイクのオイル成分が似た物質だからです。


上の人は「毛穴の汚れも化学反応が必要!」と言ってましたが、

これは厳密には化学反応ではありません。


塩が水に溶けるのを「化学反応」といいますか?

あまり言いませんよね。

単に「溶けた」だけなんです。
『溶解』という<物理変化>です)



クレンジングのメイク乳化は基本的には

この相溶性による溶解界面活性剤の洗浄機構に依存しています。


なので化学反応はほとんど起こっていないのです。

(毛穴に皮脂が詰まっている場合、アルカリ性の洗浄剤を使えば若干の中和は起こると思います。しかし上記二つの作用に比べれば微々たる影響と言えます。)




◎弱酸性の洗顔でも意味はある!


というところで話を戻しますが、


美容洗浄には「化学反応」はほとんど重要ではありません。


そもそも化学反応というのは

<不安定なものが安定化すること>

なのです。


このプロセスには何かしらの刺激や危険が伴います。

(だからカビ取り剤とか漂白剤とかはちょっと危ない薬剤になってますよね)


美容においてはこういった危険は出来るだけ避けたいため、

出来る限り化学的な反応の起こりにくい方法で洗浄をするのが

肌には負担を与えにくいのです。


(石鹸の微妙な中和反応くらいは大した問題ではないですが…)




今回の基礎的な誤解点というのは、


界面活性剤による「物理的な洗浄」を、

「化学反応」だと思っていたということ。




美容洗浄でははじめから化学反応なんてほとんど起こっていないわけですから、

弱酸性洗剤だってちゃーんと洗えます。



きちんと「界面活性剤」ですからね。




ただ、

「弱酸性であればいいんだ!」

というのはもちろん間違いです。


弱酸性だってピンきり…

ということをちゃんと理解しておかないと、、


確かに

「弱酸性の洗顔なのに意味ない!」(肌荒れ治んない!)

という感想を持ってしまうのも無理ないことかもしれませんね(^_^;)






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