まだお若かったのに。
謹んでご冥福をお祈りいたします。
プレステ『ポポローグ』のED歌唱、アニメ『ポポロクロイス物語』のOP作詞作曲歌唱、そして『ポポロクロイス牧場物語』のED歌唱。
節目のタイミングでいつもご縁をいただき、沢山の方に愛される作品に関わらせていただいたことに、改めて心から感謝申し上げます。
ここからは、少しポポロのお仕事の思い出を書いていきたいと思います。
思い返せば、初めてのメジャーのお仕事が『ポポローグ』のED歌唱でした。
当時はまだデビュー前だったため、「利衣」という名前で参加しました。
茨城弁では「い」と「え」が逆になることがあり、「りーちゃん」と呼ばれていたことからそうなりました。
レコーディングから発売まで割と時間がかかったと思うので、歌ったのは20歳の時かな。
実は、レコーディング前に私が長い風邪を患ってしまい、数週間声が出ない状態でした。
なんとか当日に間に合わせ、久しぶりに声を出したのですが、がっつり休んだのが功を奏したのか、思いがけず澄んだ声が出てほっとしました。
作詞は田森さん、作曲は佐橋佳幸さん、編曲が佐橋さんと石川鉄男さん。
可愛くて美しく、感情豊かな曲で、歌っていてとても気持ちよかったです。
音楽チームは、佐橋さん、石川さん、エンジニアの飯尾芳史さんなど、私自身のデビュー前の制作を一緒にしていただいていた方々でした。
サントラは曲数も多いしとても大変で、ホテルの大きな部屋に機材を持ち込み、みなさん何日も籠って曲作り。
私もお邪魔したことがあって、多分キーを合わせたり仮歌を歌ったりしたのかな。
とてもワクワクする、クリエイティブな空気感でした。
98年のデビュー後には、高校生の時に書いたオリジナル曲「夏気球」を、テレビ東京系アニメ『ポポロクロイス物語』のOPに選んでいただきました。
書き下ろしではない楽曲の採用は異例だったかもしれません。
アニメ放送用に、一部歌詞を変更したバージョンを作りました。
その際、プロデューサーさんを介して、田森さんと歌詞に関するやり取りが何度かあったと思います。
アニメのOPを担当したことで、初めてアニメ雑誌の取材もしていただいたのですが、実は記者の方とちょっと険悪になってしまったことがありました。
アニメの話ばかりで音楽のことを聞かれないので、ムッとしちゃったんです。
本意じゃない言葉を求められているような気がしてしまったのかもしれません。
若さゆえに頑固で…大変申し訳なかったです。
当時、アニメ『るろうに剣心』が大人気で、その制作チームが『ポポロクロイス物語』も担当すると聞いていました。(記憶違いだったらごめんなさい)
『るろうに剣心』のテーマソングはソロアーティストやバンドが担当していました。
アニソンの概念が変わり始めた頃だったかもしれません。
「夕方の放送になる」と聞いていたのだけれど、実際は朝早い時間の放送となりました。
そのため、視聴者は小さい子供たちが中心。
それ自体は嬉しいことですが、想定していないことだったので戸惑い、また、「夏気球」はリリースまで長くいろんなことがあった曲だったので、本当にこれでよかったのかな?と、思い悩む日々も続きました。
ただ、このタイアップをきっかけに私を知っていただいた方も多く、皆さんが『ポポロクロイス物語』とともに「夏気球」にも深い思いを持ってくださっていることを少しずつ知り、とてもありがたい気持ちになりました。
あの頃子供だった世代の方に「見てました!」と言っていただくことがあると、感慨深いです。
沢山のポポロシリーズがリリースされ、『ポポローグ』とアニメから17年が経った2015年には、『ポポロクロイス牧場物語』のED「新たなる旅立ち」の歌唱を担当しました。
石川鉄男さんと、久々に一緒にスタジオに入っての作業。
物語に合わせ、母なる包容力を表現するような歌い方、ちょっと不思議な発音など、石川さんのディレクションのもと、歌い方をこだわり抜きました。
懐かしさもあり、新鮮さもあり、楽しいレコーディングでした。
田森さんとは、歌詞について何度もやり取りさせていただきました。
普通の歌の歌詞と違い、作者の田森さんならではの独特な言葉や表現があったので、質問したり、提案もさせていただいたり。
リリース時にネットで拝見した田森さんのメッセージの中では、メモリアル的に久々に私の歌唱となったことにも触れてくださっていて、細やかに気遣ってくださるお人柄を感じました。
いつかお会いできたらと思っていたのですが、叶わなかったのはとても残念です。
ただ、田森さんが遺してくださった物語と、そこに添えさせていただいた歌は、これからも沢山の方の心の中で生き続けると信じています。
思い出されるままに書いていたら、長くなってしまいました。
田森庸介さん、素敵なご縁を本当にありがとうございました。
どうぞ、安らかにお眠りください。



